自転車旅行9.12 クーフシュタイン⇒プリーン

9月12日(晴れ)

from Kufstein to Prien am Chiemsee

◆ダート道でのリム打ちパンク

昨日よりも一段と冷え込む中をこの日の目的地プリーンに向かって走り出す。まだ明けきらないイン川沿いの自転車道から見る山は見事に美しい。遠くにある高い山には既に陽が差し眩く輝きだしているが、手前の山はまだ暗いままである。走るに連れて陽は少しづつ昇り、白黒の世界が多様な色のある世界に変化してゆく。実に幻想的で美しいものである。

山の端から陽が昇り、山々の色合いが変化してくる。またイン川の川面に映る山の景色にも見惚れる。

この日はクーフシュタインから25kmほどライン川左岸を走る。すると自転車道は途中からダート道になる。比較的路面が固いダート道なので轍を辿って走れば走り難いこともない。追い風も吹き警戒にペダルを回しちょっとスピードを出して走っていたが、ちょっとした石に乗り上げ、同時に“カーン“と硬いものに当たる。瞬時に嫌な予感がしたが、一気に前輪タイヤの空気が抜けてしまう。すぐにチューブ交換をすると予想通りチューブには二つの穴が開いている。リム打ちパンクをしてしまった。

慎重さに欠けてリム打ちパンク

◆贅沢サンドイッチでランチ

イン川沿いを右に外れプリーンへの道を選ぶ。大きな起伏はないがアップダウンが続く道になる。平坦な道に追い風が加わった川沿いの道に比べると一気にきつくなった気になる。草原を伸びてゆく道も左右にうねり丘の向こうに消えてゆく。休憩、気分転換も兼ねてちょっと早いがランチを摂ることにし、村の教会の庭で頂く。

朝、ホテルで作った二つのサンドイッチは贅沢そのもの。コツ持つの粒が表面に埋め込まれた大きめのライ麦パンにはローストビーフ、とろけるように柔らかいチーズ、ハムに野菜が挟んであり、小ぶりのライ麦パンはハムに1センチ以上の厚みがある硬質チーズにハム、野菜を挟んである。何とも贅沢なサンドイッチ。十分に気分転換を図ることができ再びプリーンに向かう。

教会の日陰で贅沢サンドイッチで美味しく昼食、周りの景色は長閑で気持ちも知らず知らずの内にゆったりしたしてくる。

◆キーム湖畔の街プリーン

プリーンはキーム湖に面した保養地で湖にはピーンと白い帆を張ったヨットが遊弋し、湖越しにはアルプスの山並みが望める。また、街の中を小さな蒸気機関車が自転車でも追い付ける速度でゆっくりと走っている。遊園地の中を走るものでもなく、れっきとした本物の機関車は100年以上の歴史があるキームゼー鉄道で距離は短いがOBB(オーストリア連邦鉄道)のプリーン・アム・キムゼー駅と湖岸の港を結んでいる。

プリーンの街をプリーン駅から港の間を走るキームゼー鉄道はおもちゃのようだが、れっきとした現役の蒸気機関車である。

泊り宿を探すのに少々苦労したが港近くにガストホフを確保し、すぐにヘレンキームゼー城観光に行く。のんびり歩いて港に向かい、島へ渡るフェリーに乗る。ヘレンキームゼー城はロマンチック街道終点の街フッセンにあるノイシュバインシュタイン城も造ったルートヴィヒ二世が造らせたものである。島に着くと北東部に位置する波止場から城の中心のノイエスパレスまで森のような道を歩いて向かう。遊歩道は何本も付けられており、観光客は思い思いの道を選んで向かうがパレスまでは遠い。

やっとたどり着いたノイエスパレスは1800年代後半にヴェルサイユ宮殿を模して造られたという立派な三階建ての建物で威容を誇っていたが、私は建物自体のスケールもさることながら城全体の構造に壮大さを感じた。パレスの正面の大きな庭の先の森は直線状に刈られ湖まで見通せる。地図で見ると裏正面も同じように湖まで森が刈り取られている。ちょうど島の真ん中に滑走路でも造ったようになっている。(走行距離 56km)

キーム湖の島に造られたヘレンキームゼー城

自転車旅行9.13 プリーン⇒ザルツブルグ