自転車旅行9.13 プリーン⇒ザルツブルグ

9月13日(天候)

from Prien am Chiemsee to Salzburg

◆ザルツブルグへの道中での悲劇

ザルツブルクへは川沿いではないので道の選び方は幾通りもある。この日もプリーン湖畔の北岸沿いからキーミングを経ていく道、南岸の8号線を付かず離れず走る道などがある。Google mapを参考にして、車の交通量が少なそうな点と比較的起伏が少ない点を念頭にルートを選んだ。湖岸を離れてグラッサウまで南下し湖に流れ込む川沿いにトラウンシュタイン方向に進み、そこから一路ザルツブルグを目指すことにした。

トラウンシュタインのカフェで一休みしてから、再び304号線を順調に進む。304号線は少々交通量は多いが道のいずれか片側に自転車道が整備されている。それは時々304号線の下に造られたトンネルを潜って反対側に出る構造になっていた。

ザルツブルグへの道の多くには車道とは別にいずれかの側に自転車道が整備されており走りやすい。

悲劇はそんなトンネルを右から左側に渡っている時に突然起きた。暗いトンネルの真ん中辺りで何かにぶつかり、ほんの一瞬“ガッ!“という音がして、続いて”カラカラ、カラカラ“と何かが接触しているような異音が響く。トンネル出口で自転車を直ぐに停め、調べてみると後輪のスポークが一本だけ折れている。やはり先ほど異音がした時に何かがぶつかりスポークが折れたことが明白だった。

スポークが一本根元から折れ、応急処置として隣り合うスポークに結索バンドで括った。スポーク一本の交換と楽観的に考えていたがとんでもないことになった。

ザルツブルクまで残り約10kmなので手持ちの結束バンドで折れたスポークを隣り合わせたスポークに縛り付ける応急処置をして、変に力がかからないようにゆっくりゆっくりと走らせた。しかし、その時はスポーク一本の損傷だけなので自転車屋に持っていけば安い費用で簡単に修理でき、まさか大事になるなどとは思わずにいた。

◆愛車を放棄?

スポーク一本だけを取り換えてもらうつもりだったが思わぬことになってしまった。ホテルで紹介された自転車屋に行くと店主は折れたスポークを見るなり、スポークの形が丸形ではなく特殊な楕円形なので当方では修理できないと言われてしまう。二軒目の自転車屋でも答えは同じ。そして三軒目の自転車屋に行くと同様に修理出来ないので、天井から吊り下げている車輪の中の一つを取って、これをスポークの折れた後輪ごと取り替るしかないと言う!そして費用は約400ユーロほどかかるという。

400ユーロ!と聞き、はたと考えざるを得ない。この自転車は私にとっては一緒に海外を走った友で一つ一つの傷にも思い出があるが、家族からは年季物の傷だらけのボロ自転車をいつまで乗っているの?と常々言われている。

そうはいってもここで自転車を放棄すれば、同行のYajiさんに迷惑かけることになる。

私は自転車を放棄して、走るYajiさんに合わせて鉄道で旅を続けるか、それとも旅を諦めて繰り上げ帰国するかなど考えた。何れを選択しても相応の費用がかかるので、それなら費用をかけてホイールごと交換し自転車旅を続行しようと決めた。

交換したものの費用の高いことを考えるといささか憂鬱になった。

帰国して10年余り乗ったものなので保険適用があるにしてもほんの少しだけで面倒な手間ばかりかかるだろうと思ったが念のため保険会社に確認すると幸い旅行保険で全額カバーが出来ることが分かり費用面でも問題なく収まった。(走行距離 80km)

自転車旅行9.14 ザルツブルグ⇒ハルシュタッターゼ