2020年 「女性」を表す言い方

張貼日期:Dec 29, 2020 8:16:53 AM

ふるさと五箇山の方言における「女性」を表す言い方としては、かつてはメロが一般的であった。

スピーチスタイル(話体)的に言うと、日常語はメロ、俗語はメンダ、そして文章語はオンナであった。ジョセーという語は存在しなかったように思う。明治16年生まれの祖母からはジョセーという表現を耳にすることがまったくなかった。もちろん大昔のことではある。

ちなみに、真田ふみ『越中五箇山方言語彙(6)-人間・親族に関することば-』(1978)には、

メロ 女一般。

メロタチ 女たち。

メロンコ 女児。

メンダ 女をいやしめた言い方。「メンダが口出すな」。

とあり、オンナやジョセーは見出しに立てられていない。

メロは「女郎」に由来するものであろうか。メンダは俗語というより卑語であり、動物のメスをも表すものであった。

オンナは、現代標準語でもちろん通用する用語だが、単独で使うときは、たとえば「容疑者のオンナは…」のような使われ方にほぼ限られている(ただし、「オンナの人」「オンナの子」のように続ける場合は普通語である)。

母方言を引きずっている私にとって、ジョセーはやや改まった語で、オンナそのものが日常語的なので、時折、「そこに集まったのは、オンナばっかりで…」などとやってしまい、家人から顰蹙を買って、「女性を下に見ている証拠!」と厳しく叱責され、落ち込むのである。

2020.12.30