張貼日期:Mar 05, 2011 6:14:14 AM
梅雨明け間近のようではある。
鬱々たる日々に早くピリオドを打ちたいものである。
ところで、「つゆ」というのは、その季節を指すのか、それとも雨そのものを指すのか。
「梅雨」は「つゆ」と読む場合は「つゆ入り」「つゆどき」「つゆ明け」のごとく、その時期を表すことが一般である。しかし、字音で「バイウ」と読む場合は雨そのものを表すことになる。時期を表すためには「バイウキ」と言わなくてはならない。
「つゆ」の語源はここではおくとして、「梅雨」は梅の実が黄色く熟する頃の雨という意味で、中国の漢詩での用語が持ち込まれたものである。平安時代、日本人によって書かれた漢文集『本朝文粋』にすでに用例が見られる。
ところで、「つゆ入り」という表現はかつて「ついり」という縮約形を生んだ。そして、それが梅雨期、梅雨の一般称になった。この「ついり」には「墜栗」という字が当てられることがあった。たとえば安土桃山時代の辞書には「墜栗花 ツイリ 霖雨」のようにある。そこには、「ツイリツ」というその字音とともに、この雨が降ると栗の花が散るという連想が働いたのである。
閑話休題:この季節は栗の花のあの独特の匂いにも閉口する。
江戸時代、「つゆ入り」の日が暦の上に「入梅」と記された結果、これが字音で「ニューバイ」と読まれ、関東を中心とする東日本ではこれが梅雨期の一般称ともなった。かつて東京でも「ニューベーが明けた」「ニューベー雨だ」といった表現が聞かれたものである。しかし、きょうびの若者にそれを言っても信じてもらえない。
2010.7.1