2018年 韓国

張貼日期:Apr 30, 2018 12:55:35 AM

4月中旬、久しぶりに韓国を訪れた。韓国日本研究総連合会の第7回国際学術大会での基調講演・シンポジウムを依頼されての訪韓であった。

韓国日本研究総連合会は、大韓日語日文学会、日本語文学会、韓国日本文化学会、韓国日本語文学会の4つの学会が連合した組織である。今回の大会主管は韓国日本文化学会で、この学会に所属するHeo Hwang Hoe(許晃会)さんの招請によるものであった。会場校は大田市にある国立Hanbat大学で、Heoさんの勤務校である。

Heoさんとの最初の出会いは1983年の4月にさかのぼる。その時からすでに35年の歳月が流れている。その間に彼の博士論文審査の主査を担当したこともあった。Heoさんは来年退官の由。さまざまな感懐が去来する。長い時が経過してはいるが、私には瞬時のようにも思われる。

このたびは韓国日本文化学会の立場からのパネラーであったので、講演の題目を「言語接触と日本文化」とした。発表の冒頭、私のスタンスについて、次のように述べた。

私は言語学者ですが、言語以外の情報を分析から排除して、ことばそのものだけを扱うような狭くて限られた言語学に対峙して、「言語は文化の一要素であり、文化から切り離した言語などは考えられない」とする立場を堅持するものです。

講演では、グローバリズムとローカリズムの狭間における近代国家のジレンマと連動して、現在、世界各地で偏狭なナショナリズムが生起しはじめている、とする観点を述べた。

そういえば、かつて2000年の4月に、韓国日本文化学会での講演で、当時の小渕首相の私的懇談会「21世紀日本の構想」における“英語の第二公用語論”提言についての異見を開陳したのであった。

あれからもう18年が経つ。時の流れの速さには驚くばかりである。

(2018.5.1)