張貼日期:Mar 05, 2011 5:32:59 AM
韓国に出かけてきた。
ソウルにある中央大学校の日本研究所からの招請講演に応じての出張であった。
韓国の土を初めて踏んだのは1986年のことである。その後の約20年間での訪問回数はすでに10数回を数える。そのなかでも、済州道のハルラ(漢拏)山、忠清北道のソクリ(俗離)山、江原道のソラク(雪岳)山遊覧のことは特に忘れられない。北のペクト(白頭)山の思い出もまた。
ところで、飛行機に乗って、地球の丸さを確認するたびに、思い出す光景がある。それは子供の頃、隣家のいろり端で、いまは亡き翁から教えを乞うていたときのことである。
翁曰く、「なあ、お前、地球が丸いなどという俗説にだまされたらあかんぞ。大体、山の峰を見りゃ分かろうが。でこぼこで、丸いはずなど無かろうが。」と。
そのときは、まことそうだと納得したものであった。
鳥瞰的思考というのがある。翁の見方はそれに対する、いわば虫瞰的思考ということになるであろうか。このようなフォークカルチャーとしての認識系を大切にしたいと思う。学術的な認識系と民衆の認識系の間に貴賤はないのである。
2005.6.6