張貼日期:Jun 30, 2011 2:16:17 AM
田植えが終わった。植えられた苗のそれぞれは今、みずみずしく颯爽として、自己を主張しはじめているように見える。
田植えに関しては思い出す情景がある。が、それがいつのことであったかは定かでない。ただ、性に目覚める頃であったことは確実なので、それは、多分、中学生の頃であったろう。
早乙女たちにまじって苗代から苗を引き抜いて束ねる作業に従事していた。私がなぜそこにいたのかも定かではない。おそらく、ユイ(共同作業)としての田植え組にわが家の代表として私がかり出されたのではなかったかと思う。
その折の、早乙女たちの話題がすごかったのである。すべてセックスにまつわる話ばかりがそこで展開されていた。「男の子を産むテクニックは、云々」、「うちの旦那は弱くて、云々」などと、エロチックな笑話ばかりだったのである。私は顔を赤らめながら、ひとりで黙々と苗を引き抜いていた。耳をダンボにしながらである。
(耳をダンボにして、といえば、最近の学生にはこの表現の意味が理解不可能なようで、年を感じてもいる。)
後になって、この早乙女たちの生殖にかかわる会話展開は、ひょっとして稲の生長を祈るための意図的な行為だったのではないかと考えるに至ったのである。それが民俗的な伝承であったのかどうかは分からない。ただ、そこには古代以来の繁殖にかかわる磊落なエロチシズム談話の系譜を認めうるようにも思うのである。
2011.7.1