2011年 弥生尽

張貼日期:Mar 30, 2011 3:50:10 AM

卒業生の皆さん。

何はともあれ、御卒業、おめでとうございます。

日本の社会的環境、自然的環境、そのいずれにおいても危機的な、この未曾有ともいえる時局に巣立っていく皆さんには心から同情するものです。ですが、このような逆境の時は、必ずや新しい転回・転生の前触れの時でもあるということを歴史は示してくれています。

苦しくとも希望を捨てず、また、自分のなかだけに閉じこもって孤独になることのないよう、日々をそれなりに謳歌しつつ、これからの人生を拓いていってほしいと思います。

希望は必ず叶えられるはずです。

あなた方にとっての今が、今の時光が、あなた方の人生のなかで一番に心の芯の部分に刻み込まれる記憶として残る「とき」となるはずです。自分の経験に照らしても、間違いなくそのように感じます。

今の仲間、今の友人との心の交流を保ちつつ、新しく現れる人々との出会いを大切にして、かけがえのない、そして、一度しかない自分の人生を有意義に過ごしていってくださるよう、心からお祈りしています。

以上をもって、短いですが、卒業する皆さんに送る、私の「はなむけ」といたします。

(奈良大学国文学科卒業生への「ことば」より)

2011.3.31