2008年 迎春

張貼日期:Mar 05, 2011 5:53:33 AM

人間ドック検診を始めたのは41歳になった年からである。

その検査のなかに腹部超音波検査というのがある。最初の検査のとき、担当の若い女性が、「見当たらない」とつぶやいたので、「何が?」と聞いたのであった。左の腎臓が画面に映らないとのことで、そんなはずはない、かつて腎炎を患ったわけだし、と思いつつ、「じっくり調べてください」と言った。

それでもやはり見つからないということなので、「それって、奇形じゃないですか」と見境もなく叫んだのであった。ところが、彼女は落ち着いた様子で、「けっして珍しいことではありません。先天性単腎症と言って、生まれつき腎臓が一つしかない人は稀にいますので」と悠然と答え、「右の腎臓はすごくきれい。丈夫ですよ」と、慰めのことばまでかけてくれたのであった。

その日の午後からある学会に参加するため出張したのだが、夜、街に出ても気分が晴れなかった。昔、腎臓の病気に罹った折に医師はなぜそれを見つけなかったのか、腎臓は一つでよく頑張ってくれたものだ、などと、ひとり考え込み、滅入ってしまった。その夜はビールさえも腎臓に悪いような気がして、飲むことを控えたのであった。

しかし、次の夜には思い直した。

ほぼ20年間、毎日のように飲み続けても健康なのだから、今になって急に酒を止める必要はないではないか、そもそも生まれつき心臓一つ、肝臓一つ、腎臓も一つで何が問題か、と開き直ったのであった。

その後のほぼ20年間も毎日のように飲み続けているが、いたって元気ではある。

新しい年、そして新しい最後の年度を無事に勤め上げたいものである。

2008.1.8