2015年 天空

張貼日期:Dec 31, 2014 4:5:36 PM

台湾の映画賞「金馬奨」は、中華圏で最も歴史が長く、かつ権威ある賞の一つである。

その地元台湾で大ヒットした、かつての高校野球を題材とした映画「KANO1931海の向こうの甲子園」が、2014年度の「金馬奨」で、最優秀作品賞、主演男優賞、新人監督賞、オリジナル楽曲賞など主要6部門にノミネートされた。しかし、11月21日の授賞式では、観客賞と国際映画批評家連盟賞の2つの賞を受賞したのみで、主要部門での賞は獲れなかった。その受賞では中国勢の活躍が目立ったため、台湾人の不満が噴出したとも聞く。そして、「日本に媚びている」とも批判されることのあった「KANO」が、中国当局から、いわば「封殺」されたのではないか、などといった噂も存在するようである。

ことの真否はさておき、その金馬奨の最優秀ドキュメンタリー賞を2013年度に受賞した映画「天空からの招待状」が、このたび日本で公開されるという情報を耳にして、早速に観にいってきた。

監督のチー・ポーリンが台湾の大自然とその変容の様相を上空から撮り続けたドキュメントである。制作の総指揮は「悲情城市」で有名なホウ・シャオシェン、音楽は「セデック・バレ」で記憶に新しいリッキー・ホーということで、期待をした。

大自然の美しい映像だけではなく、その麗しき自然を、その環境を無惨に破壊する現代の経済優先の営みの現実を、3年をかけて日々空から撮り続けた映像によって、まさにリアルに描き出している。

強いメッセージには心が揺さぶられるものがあった。その危機感は共有するところである。しかし、ではどうすればいいのか。ことは単純ではないのではないか、とも思ったことであった。

豊かな生活を営むための経済的発展において環境破壊は必ず付随するものなのかどうか、その関わり、その相克についても考えさせられた。

さて、原発再稼働を決行する日本の行く末はいかに。

2015.1.1