2006年 卯月

張貼日期:Mar 05, 2011 5:37:20 AM

阪大に赴任してまもない頃、今は亡き徳川宗賢先生から、「人生を流れる時間はだんだん速くなるからね」と言われたことが忘れられない。そのときはピンとこなかったことばが、このごろ身にしみて感じられるようになった。

体感時間の感覚がこれからどのように推移するかは分からないのだが、先輩の佐藤亮一さんによれば、60代は、50歳から60歳までの間よりもずっと早く過ぎる、ということなので、加齢とともに体感時間がより加速するのは間違いないようである。

どうも、それは近時の短期記憶がうすれてくることと関係があるのではないかと私は見ている。「体感時間の長さは、想起できる、思い出すことのできる記憶の量に比例する」という説があるようだが、昔のこと、幼い頃の記憶は鮮明なわけで、確かに記憶の量が少なくなることと体感時間の短さとは対応するのかもしれない。

ちょうど1ヶ月前の3月15日、恩師川本栄一郎先生と永遠の別れをした。

葬儀で出かけた弘前は吹雪の中にあった。

若い人に引けを取らない、と気張ってみても、老化のスピードだけは、いやましてくる現実を目の前にして若者との落差はせつないところである。

2006.4.15