2002年 夏

張貼日期:Mar 05, 2011 4:28:31 AM

夏になるとミクロネシアでのフィールドワークを思い出す。先日もあるところでの講演で、そのことを話題にした。

たとえば、トラック諸島の、ある離島の人にとっての正装は、いわゆる「フンドシ姿」なので、普段はTシャツで過ごしている人々も儀式のときには「フンドシ姿」になるのである。そのことを私は、「フンドシ一貫で、・・・」と表現したのであった。

そのとき聴衆のひとりが、「私は富山県の出身なので、フンドシ一貫ということばはよく分かるのですが、一般的ではないのではないでしょうか」と述べた。

その後、「フンドシ一貫」ということばを使うかどうか、いろんな人に確かめてみている。興味深いのは、この表現を理解するのは富山県人に限られるということである。他府県の人からは一様に、「さて何というか。パンツ一丁というから、フンドシも一丁か。分からないが」という答えが返ってくる。

そうだとすれば、「フンドシ一貫」ということばは私にとっての<気づかない方言>のひとつであったということになる。そこには、あるいは「裸一貫」との混交があるのかもしれないのだが。

さて皆さんはどうか。

2002.7.6.