2017年 百日法要

張貼日期:Mar 28, 2017 8:45:2 AM

昨年の12月19日は母の葬儀の日であった。その日に白沢宏枝さんが亡くなった(今日は百日目に当たる)。

白沢さんは、長野県大町市の生まれ。国立国語研究所の『日本言語地図』作成における裏方として、その作業に身も心も捧げた研究所の研究補助員であった。

私が研究所でお世話になったのは、1975~82年の7年間である。勤務時間の3時になると白沢さんがお茶と美味しいお菓子を出してくれるのが、いわば日課となっていた。今日から考えると、それは懐かしい時代のひとときで、愉楽の時間であった。ある折に、彼女が、「解決までしてくれるわけではないけど、真田さんに話すと何だか気持ちが落ち着くの…」と言ったことが心に残っている。そのときは嬉しいような哀しいような気分になったものである。その言い回しは、けっして皮肉などではなく、本音であったと思うのだが、私の追従的(・カウンセラー的)な行動パターンを指摘されたというか、追及されたように感じたのであった。

白沢さんは長く腎臓を患っていて、研究所を退職した後、松本市の透析装置のある施設で療養することになった。

私は毎年、歳末になると、彼女に「越前水仙」を送り届けることを慣例にしていた。香しい水仙の花のことをメールで話題にしあうことが歳の区切りともなっていたのであった。

昨年、予約していた水仙が施設へ送られたのは、12月26日であった。水仙の香りは彼女に届くことがなかった。

2017.3.29