2008年 清明

張貼日期:Mar 05, 2011 5:55:28 AM

私の学年は、1945(昭和20)年の4月から1946(昭和21)年の3月までの間に生まれた者で構成されていた。いわゆる団塊の世代ではない。敗戦時をはさんでいるゆえに前後のどの学年よりも少人数の学級であった。小学校から中学校まで多少の出入りはあったが、全校で1学級、24人が基本的なメンバーであった。

内訳は、男子が17人、女子が7人で、性別構成はまったくのアンバランスであった。戦乱時には古今東西、何故か男児が多く生まれる由であるが、まさにそれに対応する状況であった。(戦乱時には兵士の補充のために神が男児を多く授けるのだ、という説があるが、それには栄養素がかかわっているのではないか、と米原万里さんは言う-『米原万里の「愛の法則」』-。)

今もその24人の名前をすべて即座に言うことができる。かつて、それぞれの名前の発音を内省しつつ、そのアクセントを分析したことがあった。その結果、アクセントには以下の①~③の3つの型があることを確認した。

①は、平板に発音されて、高い部分が存在しないものである。「マサオ」「ケサオ」「アキオ」「ヨシオ」「キヌヨ」などである。②は、最初の拍が高く発音されるものである。「アキラ」「ミツコ」「キョーコ」「シンジ」などのように HLL(Hが高い部分)となるものや、「ミツノリ」「ユーイチ」「ブンセー」などのようにHLLLとなるものがある。これらは、いずれも第2拍の母音がi・u(狭母音)のもの、または長音、撥音のものである。③は、第2拍が高く発音されるものである。「ナガコ」「タケシ」「キヨシ」「カヨコ」「マサノリ」などのようにLHL(L) となるものである。これらは、いずれも第2拍の母音がa・e・o(広母音)のものである。

ただし、そこには唯一例外があった。それは「ススム」の場合である。「ススム」は第2拍の母音が狭母音の uで、パタンから言えば、HLLとなるはずなのだが、実際はLHLと第2拍が高く発音されるのである。

そのことがずっと気になっていたのだが、最近、この名前「ススム」は動詞として把握されていたのだ、という考えにいたった。富山のアクセント体系では動詞のアクセントは一型化している(3拍動詞の場合はすべて LHLとなる)のだが、「ススム」はその動詞の範疇に入れられ発音されていたわけである。アクセントが形態と関連していることをここでも改めて確認した次第である。

2008.4.4