張貼日期:Nov 29, 2019 11:57:16 PM
お歳暮の買物は、銀座の三越百貨店で、と決めている。
銀座に出かける際には必ずといっていいくらい訪れる店舗がある。天ぷら店の「天國(てんくに)」、米菓・和菓子店の「あけぼの」、そして、文具専門店の「伊東屋」である。
「天國」で注文するのは、毎度、メニュー中の「B丼」である。これには海老2尾、イカかき揚、穴子、そして野菜2点が丼に盛られている。当店のこだわりだという丼タレが旨い。コクがあるのにあっさりとしていて、しつこさがない。かき揚げ穴子の大きさには驚くが、胃がもたれるようなことは決してない。
「あけぼの」ではいつも煎餅とあられとを購入する。あくまで家での“おやつ”用である。この店での「二十四節気花」というのが女性に人気があるのだと、台湾の大学で、ある学生が教えてくれた。二十四節気は、1年を24等分したものであるが、「二十四節気花」とは、選び抜いた「おかき」8撰(だしカレー・海苔醤油・紫芋・青海苔・柚子ざらめ・和胡椒・黒胡椒・桜海老)を、各節気に咲く可憐な花を描いた小包装につつんだものをいう。
「伊東屋」については、筆記用具やノート類などをあさるだけなのだが、年末近くになると、必ずここで新しいカレンダーと手帳とを購入するのである。
お歳暮発送の申込みを終えて路上へ出る。雑踏の中で聞こえてくるのは外国語ばかり。いわゆるマルチカルチュラリズムは、互いのcivilityを配慮することを前提としたものである以上、当然の主張なのだ、と思う。
そう思いながら、今年3月のニュージーランドでの襲撃事件のことが頭をよぎった。あの平和な国、ニュージーランドで、しかも多文化的背景を持つ人々が共に暮らす理想的な街とされていたクライストチャーチで発生した、あのおぞましい事件のことが。その犯人はオーストラリアの労働者階級の家に生まれた、ごく普通の男性(28歳)だったそうであるが、事件を起こした理由について、「外国人によって自分たちの文化が脅かされているから…」などと供述したという。
(2019.12.1)