2020年 クライシス(危機)

張貼日期:Mar 31, 2020 4:32:56 AM

新型コロナウイルス感染症が世界中に拡散して、クライシス・マネージメント(危機管理)に向けての各国・各地域での対処の違いが大きな話題となっている。

などと、評論家的に記すのは止めておこう。ここしばらく、怖気づき心労も重なり、引き籠って、ほとんど外出することのできない私である。

さて、この疫病のこととは全く別に、クライシス(危機)ということばを意識したのは、今年の1月1日、NHKのEテレで、作家の塩野七生さんが母校の学習院での高校生たちと対話している番組を見たときであった。生徒たちの将来の生き方に関する不安や迷いに対して、塩野さんは、自身の若き日のさまざまな蹉跌を織り込みながら、今を、そして将来を生きるための大切な心掛けについて痛快に語っていた。塩野さんは82歳。イタリア在住で、歴史の中における人間性を考察し続けてきた人である。

その中での、「クライシスそのものがそれに対する免疫を創り出し、それが新たな蘇生への導きともなる…」といった表現が私の心に響いたのであった。

クライシスという語は、本来、さまざまな病変における危機的な峠(境目)を意味するもののようである。それは、すなわち「分岐点」ともいえるわけである。したがって、そのステージをうまく乗り越えれば、危機からは解放され、蘇生できる、ということになる。

コロナウイルス蔓延のクライシス(分岐点)は、まさに今のように思われる。このウイルスへの免疫(防御機構)ができ、社会的にも経済的にも本格的な恢復の兆しの見える日が一日も早く訪れることを心から願っている。

(2020.4.1)