張貼日期:Dec 29, 2017 12:7:52 PM
彩の国さいたま芸術劇場で、シェイクスピア・シリーズ第33弾の「アテネのタイモン」を観てきた。タイモンを演じるのは、初代の芸術監督であった故・蜷川幸雄さんを引き継いで二代目芸術監督に就任した吉田鋼太郎さんである。吉田さんのエネルギッシュな演技に圧倒された。演じ終えたとき、体重が2・3キロは減ったのでは、と思えたほどの熱演であった。
さいたま芸術劇場は、埼玉から全国に、そして世界に向けて芸術文化を発信することを目標に掲げる〈創造する劇場〉とのことである。特に、2006年に創設された55歳以上の劇団員(2017年現在、66歳から91歳までの37名の由)で構成される「さいたまゴールド・シアター」は、他に類を見ない演劇集団である。それは、「年齢を重ねた人々が、その個人史をベースに、身体表現という方法によって新しい自分に出会う場を提供する」といった、蜷川幸雄さんの提案によって生まれたものである(公益財団法人埼玉県芸術文化振興財団のホームページによる)。
この劇場には、奈良在住の時からしばしば訪れていたのだが、東京に移り住んだので、機会ごとに、とねらっているのである。
今年、ゴールド・シアターによる公演「薄い桃色のかたまり」を観たのは、その初日の9月21日であった。これは6年ぶりの新作公演であった。なお、今までの公演の中で最も強烈な印象が残っているのは、「鴉よ、おれたちは弾丸をこめる」である。刺激的で、昔日の学生時代の頃のことを彷彿とするところがあった。これは今年4月にも蜷川幸雄一周忌追悼公演として再演された。
ところで、「東京に移り住んだので、機会ごとに、」と記したが、奈良から訪れていた折には東京からごく近いと思っていた場所(さいたま市)が、東京に住んでみると、何故か遠いところに感じられてしまうのが不思議である。
2017.12.29