張貼日期:Mar 05, 2011 5:29:49 AM
昨夏8月の1ヶ月間、タイのバンコクに滞在した。チュラロンコン大学大学院での集中講義のためであった。
講義の合間のある一日、バンコクから車で2時間半ほどの距離にあるカンチャナブリに出かけた。カンチャナブリは、映画『戦場に架ける橋』の舞台となったクワイ河鉄橋のある町である。
わたしたちの世代には懐かしい「クワイ河マーチ」のクワイ河鉄橋。
第二次世界大戦中、日本軍はこのバンコク付近のバンポンからミャンマーのタンブユザヤトまでの415キロメートルにわたる鉄道の線路を敷設した。いわゆる泰緬鉄道である。それは、日本軍による突貫工事に駆り出された多くの連合軍の兵士やアジア人労働者が命を落とした悲劇の鉄道であり、「死の鉄路」とも称されている。英米軍の空爆で、ほとんどが破壊されたが、現在も両端末のわずかな部分が残されているのである。
鉄橋を歩いて渡った。
案内してくれた人が、「この枕木のひとつ一つがここで犠牲になった人間のひとり一人に対応しているのだと言われています」と話していた。その瞬間、後ろから俘虜たちの口笛による合奏が聞こえてきた(ように思った)。
近くのWorld War II Museumを見学した。中国風建築の館の入り口には何故かヒットラーと東条たちの像が立っていた。複雑な気持ちになった。
2005.2.14