張貼日期:Oct 30, 2012 12:21:27 PM
国立国語研究所での共同研究プロジェクト(課題名「日本語変種とクレオールの形成過程」)を主宰して4年目に入った。このプロジェクトもそろそろ幕を閉じようと思っている。
先般9月上旬に、プロジェクトメンバーのひとりである全永男さんのお世話で、中国の延辺大学を会場として、いままでの研究成果を報告・発表する会を開催することができた。その発表会の前日、9月3日は延辺朝鮮族自治州成立60周年の記念式典の日であった。
思い出すのは、ちょうど10年前の自治州成立50周年記念の日、私はこの地、延吉市を訪れていた。そのことをホームページ記したことがある。記事の一部を再掲する。
折しも9月3日は延辺朝鮮族自治州成立50周年の記念式典の日であった。その式典にも招待されて参加することになった。式典の会場には5万人近い人々が集まっていた。北朝鮮の専門家の指導を受けたというマスゲームは気味が悪いくらいに整然としたものであった。中学生たちの描く人文字の鮮やかさにも圧倒された。民族衣装を身にまとったたくさんの朝鮮族の女性たちが祝典の雰囲気を盛り上げていた。
今回はいわゆる中央からの招待客が多いということもあって、一般住民には、記念式典本番前日に、予行演習的に行われる催しへの入場券が発売された由である。先に購入してもらっていたその入場券を手にして式典を見学することになった。
マスゲームの整然さは10年前とまったく変わらなかったが、人文字からは商業宣伝が影をひそめていて、健全かつ清潔な感じがした。本番の予行演習なので、偉いさんたちの挨拶などもなく、じっくりと舞踊を鑑賞することができたのは幸いであった。
延吉の町は10年前とくらべ、もちろん自動車の増加で騒がしくはなったのであるが、さらに美しく明るくなったことが印象的であった。夜になると町中の建物がライトアップされて、きらびやかに輝くのである。同行したダニエル・ロングさんはライトアップされた役所をブティックホテルと見間違っていた。
節電の徹底で薄暗い日本の町と対照せざるを得なかった。もっとも私自身はどちらかと言えば薄暗い方が好みなのであるが。
2012.11.1