2019年 投票の意味

張貼日期:Mar 21, 2019 12:56:15 AM

統一地方選挙の幕が開けた。

各地で無投票当選がさらに増加したようである。そのことを踏まえて、選挙という民主主義の基盤の揺らぎを指摘、心配する声が聞かれる。

かつて、戦後のアメリカ進駐軍(占領軍)による施策の第一に日本の民主化という大きな目標があったことに言及して、選挙のことに触れたことがあった。

「新憲法講習会」なるものが各地で開かれた。特に対象とされたのは首長の無投票当選の市町村であった。ふるさと五箇山の上平村(現・南砺市)も該当する村であったので、そのターゲットになったようである。(石田外茂一の『五箇山民俗覚書』によれば、)1947年の11月、その講習会がふるさとの中学校を会場として開催された。

(拙書『変わりゆく時見るごとに』桂書房、2016)

私が初めて国政選挙での投票を行使したのは1967年1月29日のこと、それは第31回衆議院議員選挙であった。この選挙では自民党が議席を減らしながらも安定多数を維持し、社会党は敗北宣言を出したという、また、この選挙で公明党が衆議院に初進出、多党化の先駆けになったともいう。

その選挙で候補者や政党に特に関心があったわけではないが、とにかく国政選挙の投票が行使できる初体験ということで投票場への一番乗りを果たそうと、友達と計らって徹夜して明け方に出かけたのであった。しかし、入口にはすでに数人の若者が陣取っていた。

当時、私は20歳と11ケ月、まだ蹉跌を知らない若き時代であった。

民主主義と選挙ということでは印象的な場面が脳裏に浮かぶ。

それは中国のアモイ大学で集中講義をしていた折のこと、講義のあとの懇親の場で、中国人のある先生が、「日本では何かがあればすぐに選挙をする、何故に金のかかる無駄なことをするのか。」と問いかけてきたのであった。その問いに直接には応じなかったが、そこで感じた複雑な思いが忘れられない。

(2019.3.21)