山岳部の2016年の8月山行は南アルプス、あの中央線の車窓から眺める甲斐駒ヶ岳、そして南アルプスの女王、仙丈ヶ岳の頂を目指します。
◎2016年8月5日(金)~8月7日(日) 参加 男性2名 女性4名
初日は北沢峠を経て仙水小屋泊。2日目は甲斐駒ヶ岳に登り大平山荘泊。3日目は仙丈ヶ岳、小仙丈ヶ岳に登り、北沢峠へ至る行程です。
◎8月5日(金)
北沢峠⇒仙水小屋泊
◎8月6日(土) 10時間45分
仙水小屋 ⇒仙水峠 ⇒ 駒津峰 ⇒ 甲斐駒ヶ岳 ⇒摩利支天 ⇒ 駒津峰 ⇒双児山 ⇒大平山荘泊
4:20 4:57/5:05 6:49/7:00 8:50/9:25 10:10/10:23 11:59/12:05 12:57/13:12 15:05
◎8月7日(日) 8時間20分
大平山荘⇒馬の背ヒュッテ ⇒分岐 ⇒仙丈ヶ岳 ⇒小仙丈ヶ岳 ⇒藪沢・小仙丈ヶ岳分岐 ⇒北沢峠
4:07 6:43/6:53 7:03 8:25/8:40 9:46/10:00 10:45/11:00 12:22
8月6日は仙水峠を過ぎた辺りから曇りから晴れとなり、甲斐駒ヶ岳の頂上では雄大な景色を楽しむことができました。
翌日の仙丈ヶ岳も天候に恵まれ高山植物と展望を楽しむことができました。
以下、参加の皆さんからの寄稿写真と記録文を紹介します。
8月5日(金)北沢峠アクセス ~ 6日(土)甲斐駒ヶ岳登頂編
8月5日(金)新宿7時発のスーパーあずさに乗り、甲府からはタクシーとバスを乗り継ぎ北沢峠に向かった。途中、広河原でこの山行の予定を確認しながら早目の昼食を取った。
北沢峠へのバスの中で雨が降り出しこの先の天気が心配されたが、準備を終え歩き出す頃には雨は上がり、皆で“北沢峠”の看板を囲んで記念撮影をして山行のスタートを切った。
登山口付近にはトリカブトが綺麗に咲いており、澄んだ水が流れる音を聞きながら、沢沿いの樹林帯を歩くこと45分仙水小屋へと到着した。雨が降り出しそうな天気は続いていたが、夕飯までデッキでお茶とお菓子を楽しんだ。
8月6日(土)朝3時半に起床し、準備を終えてヘッドランプの明かりを頼りに4時20分いよいよ甲斐駒ケ岳に向けて出発。
山道はひたすら登りあまり休めるような所もなく、樹林帯を抜けて大きな岩場を歩くこと36分仙水峠に到着。ここで甲斐駒ケ岳と摩利支天が目の前に見えるはずが、ガスが広がり眺望はお預け。。
ここからは急登の樹林帯が続くが、途中木々の間から朝日と共に北岳、間ノ岳、甲斐駒ヶ岳、鳳凰三山、八ヶ岳が見え、疲れを感じていた身体に元気を貰った。ホシガラスも朝の挨拶に来てくれた。山道は徐々にダケカンバの植生に変わり、朝日に背中を押されながら大きな岩場を登り、1時間弱掛けて駒津峰に到着した。開けた場所で風が涼しく、甲斐駒ヶ岳、仙丈ケ岳はもちろん遠くには微かに中央アルプスも見渡せた。
続いてやせた岩尾根をひたすら歩くこと30分、六方石まで辿り着くと直登ルートと巻道ルートに分かれる。もう目の前には甲斐駒ヶ岳が見えているものの、上のほうに小さく見える人の姿にまだまだ先が長いことを感じさせる。
巻道ルートも大きな岩場で息が上がるのを落ち着けながら歩き続けると白さが眩い花崗岩の砂礫へと変わっていく。雲ひとつない晴天の中、広い斜面をジグザグに登りやっとの思いで頂上に到着した(六方石から約80分)。頂上には祠と一等三角点があり、北岳、鳳凰三山、赤岳などの八ヶ岳、中央アルプス、槍などの北アルプスに南アルプスと360度の雄大な景色が広がっていた。
最高の眺めの中頂上が白い山が見える。すぐに日向山だと分かった。昨年の山行で 日向山に登りそこから見えた大きな甲斐駒ケ岳、「登りたい山」と言っていた山に今立ち日向山を見つけられたことも嬉しかった。
景色を満喫し頂上に別れを告げた後は、ここまで来たらと分岐から15分掛けて摩利支天へと向かう。正直行きの登りで脚が重たかったが、ここに来て良かった。摩利支天から見るゴツゴツした岩でどっしりと聳え立つ甲斐駒ヶ岳も絶景であり、それぞれ思い思いに写真を撮った。摩利支天の登山道の花崗岩は一層キラキラしていて綺麗だった。
この後はひたすら下り、最後に大きな岩場を登ると再び駒津峰に到着。午後になるとガスが出てきて行きほどの眺望ではなかったが、ここまで戻ってきたことにホッとした。少し休憩を取り、本日最後の山である双児山を目指し、一気にハイマツ帯を下ったら樹林帯に入り再び登り返す。山頂までの約45分は砂礫の登山道で滑り易く、脚の疲れもありあまり景色を楽しめなかったのが少し残念だった。
木々に囲まれた双児山の小さな山頂で少し休憩を取り集合写真を撮ったら、大平山荘に向けて再び歩き出す。疲労と滑りやすい登山道にスピードが出ず、樹林帯を下り続けること1時間半、やっと北沢峠に到着した。
ここで少し休憩をと考えていたが、雨が降りそうな雲行きに早々に大平山荘へ向かった。
10時間45分の行程を終え脚は棒のように疲労していたが、歩ききった達成感と何より甲斐駒ヶ岳の迫力ある景色に大満足の山行だった。この日は夜の宴も早々に明日に備えて就寝した。
8月7日(日)南アルプスの女王 仙丈ヶ岳登頂編
この日も早く山頂に立とうと3時前には皆起床した。満天の星の下、外のベンチで朝食のお弁当を食べる。KMさんが前夜用意してくださったお湯の温かさが体にしみる。
前日の甲斐駒ヶ岳登山の疲れもあり少々不安を抱えながら、予定の4:00を少し過ぎて4:07に大平山荘を出発した。
仙丈ヶ岳の登山口を通過し、樹林帯を行く。前日より歩きやすく何とか一日歩き切れそうな気がしてきた。登山道の脇に白いギンリョウソウを見つけたのもこのあたり・・教えていただけなかったら見過ごしていた。
やがて展望が開ける所があり、鋸岳が朝陽の中に姿を現した。 尾根筋をたどって藪沢に近づく。丸木橋を注意して渡った。
5:30 沢沿いの道で1本。 このあたりはハクサンフウロ等沢山の高山植物が咲き誇り、雪渓も見ることができた。
振り返ると甲斐駒ヶ岳が見える。日も上がり暑さのせいかやたらと息が切れた。
6:15 500m登ったところで1本。トップのKIさんが高度を確認して、皆良いペースで登れているとのこと。大いに励まされる。
前日に、甲斐駒ヶ岳山頂で黒戸尾根側から現れた青年が、その日も軽快なトレラン姿で道をゆずってくれた。
6:43 馬の背ヒュッテに到着。
小休止後、鹿の防護ネットの間を歩き始める。保護されたところは高山植物が咲いていた。
樹林帯を抜けると平坦な尾根道となり、藪沢カールを抱く山頂への展望が開けた。
仙丈ヶ岳の緑の山容が青い空に映えて美しかった。
カールの底に位置している仙丈小屋に向かって急なハイマツ帯を歩く。途中の水場はだいぶ水の出が少なくなっていた。
7:47 仙丈小屋着。以前は避難小屋だったと聞くが、今は太陽光発電パネルや、風力発電機も備えた立派な小屋である。小屋前のベンチで小休止をしてから歩き始める。地蔵尾根分岐を過ぎ、頂上を目指したが、すぐ近くのようでなかなか着かない。高度のせいか息を切らしながら歩いた。
8:25 仙丈ヶ岳山頂着。360度の展望を楽しんだ。見渡せるすべての山の名がわかったらいいのにといつも思う。
帰りのバスの時間の制約もあり8:40には山頂を後にする。ここからは小仙丈ヶ岳まで、大パノラマの天上歩きが続いた。
後ろに藪沢カール、右に北岳、その先に富士山も見え、左前に近づいてくる甲斐駒ヶ岳、摩利支天、赤岳から蓼科山まで・・・空は真っ青でこの日にこの場所に居られる幸運を心から喜んだ。
9:46 小仙丈ヶ岳着。近くにそびえる甲斐駒ヶ岳には早くも雲がかかり始めていた。摩利支天にも登れて良かった!
小仙丈沢カールをバックに集合写真をと聞いて改めて広がる美しいカールを見た。
ここからは帰りのバスを目指してひたすら歩いた。
まずは小仙丈ヶ岳の尾根道を下った。石の多いすべりやすい道で捻挫をしては大変と注意して歩いた。6合目を過ぎると樹林帯に入った。
10:45 大滝ノ頭着
トップのKIさんに、皆良いペースで下っていると言っていただき再び励まされる。
都度、地図と高度計で確認していただけるのはありがたく、歩くことしかできない自分を情けなく思う。
樹林の道が続き、一時登りもあったが、平坦で歩きやすかった。最後にぐっと下って
12:23 北沢峠着。8時間20分の行程だった。
バスは待合所に振られた番号順に乗れるとのこと。リーダーのKMさんのザックを持ち上げるとあまりの重さに声を上げてしまった。2日間の長い行程中ガス等いろいろ背負ってくださったことを改めてありがたく思った。
増発のバスに乗れて順調に広河原へ。広河原から予約していただいたタクシーで甲府に向かった。
運転手さんの不手際もあったが、甲府では予定通り喜久乃湯温泉に立ち寄れた。
タクシーから降りる時、足の筋肉が固まって動かず先が思いやられたが、冷たい源泉と加熱泉に何度も入ったおかげか翌日随分と楽だった。
中華を囲んで反省会をした後、土産物や桔梗信玄餅アイスを買い込み、甲府発19:42のあずさ32号に乗り込んだ。
KMさんの言葉を拝借すると「白の甲斐駒ヶ岳」と「緑の仙丈ヶ岳」、好対照で印象に残る山行となった。 (MM記)
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