9月上旬遅めの連続休暇を取得でき、椹島を起点に反時計回りに荒川三山、赤石岳、聖岳縦走に遠征しました。送迎バスの時間帯、利用する山小屋間の距離etc計画にあたっては制限もあり日によってコースタイムにバラつきが出て苦慮しましたが9(日)千枚小屋泊、10(月)百間洞山の家泊、11(月)聖平小屋泊の行程を選択しました。
9日(日) 臨時駐車場→ 送迎バス → 椹島ロッジ → 千枚小屋
10日(月) 千枚小屋発→荒川東岳(悪沢岳)→赤石岳→百間洞山の家
①8日(土) 前泊した白樺荘 最高の泉質でした!
泉質が良くベストなロケーション。築浅で施設も素晴らしく食事もまあまあで公営でもあり1泊2食6800円とリーゾナブルで、おすすめです。
②9日(日) 岩頭の見晴らしより、悪沢岳の稜線を望む
尾根道は良好ですが、アップダウンがそこそこあります。樹林帯で酷暑の時期も快適そうです。悪沢岳が見渡せるのはここしかないようです。
<山行記録 全文>
○2012年9月8日(土) 前泊地の白樺荘へドライブ
はじめて新東名を走りましたが、降りた新静岡IC付近はまだ周りに何もなく寂れています。しばらく進むと最後のコンビニと掲示されたサークルKに立ち寄り畑薙第一ダムを目指します。道路規制もあって県道27号線経由で坂本温泉を通って行くルートで狭い道ですが時折り慣れた地元の人には道を譲りながらのんびり進みます。
ダムは水量がかなり少なくなっていましたが恵みの雨は下山後に降って欲しいなあと勝手なことを考えながら走ると、3時頃畑薙第一ダム臨時駐車場に着きました。ちょうど下山の送迎バスが到着、20人乗り位のマイクロバスでした。念のため明日の運航予定を確認し白樺荘に引き返しました。泉質も良くベストなロケーションですがこの日は8人で明朝の登山者は私だけでした。施設も素晴らしく食事もまあまあで公営でもあり1泊2食6800円とリーゾナブルでした。
○2012年9月9日(日) 千枚小屋へ 快晴・午後から曇り
臨時駐車場(08:00)→ 送迎バス → 椹島ロッジ(08:55着、9:10出発) →岩頭の見晴らし(10:35)→清水平(12:20昼食12:45) →駒鳥池(14:40)→千枚小屋(15:20)
8時、東海フォレストの入山バスに乗ります、トータル7人で千枚小屋・赤石小屋2泊の人がほとんどでしたが、単独で座間市から来られた73歳のSさんが私と似た行程でした。バスは畑薙大吊橋、聖沢登山口等ポイントを解説しながら進み9時前に椹島ロッジに到着しました。椹島はコインロッカーまでありとても充実した施設で8月は賑やかだったと思います。
9時10分椹島を出発。スタート地点では大倉喜八郎氏の偉業等この山林の歴史が紹介されています。二軒小屋ロッジ方面との分岐を過ぎると吊り橋があります。ここを渡ると尾根がスタートします。0/7標高1100mから7/7標高2500mまで200m毎に標識が充実しています。御椀を伏せた感じで最初は傾斜が急ですが徐々に緩やかになり、この日は日差しが強かったですが樹林帯で遮り快適な登りでした。この尾根道は明治時代から戦後にかけて木材の搬出が行われたと紹介されていました。
12時20分ほぼ中間地点の標高1870mの清水平に到着しここでランチ休憩とします。ブナやミズナラの広葉樹の森ですが登山道での水場はここ一箇所です。ここから先はオオシラビソの美しい樹林が続き、東海パルプ創業時に木材搬出の木馬(きんま)道として使われた林業遺産に沿った道で往時をしのんで歩みます。7/7標高2500mの標識が出ると千枚小屋はすぐでした。15時20分到着、ご商売柄ウッディな立派な小屋が出迎えてくれました。2009年に火災で焼失したそうですが今年の7月に再建されピカピカで当たり前ですが今まで利用した山荘の中で一番清潔感がありました。
この日は仙台から遠征の8人の団体が居てトータル20名くらいで広々と使えました。本当ならこの小屋の正面に富士山がドドンと見えるはずですが、あいにく雲がかかっており見ることができませんでした。そうなると飲むしかありません早速外でビールをいただいていると団体のプランナー兼ガイドの方はもう着いていて「残り3名はまだ千枚岳あたりですよ。」と談笑します。60~70歳代中心のパーティーで時計周り選択で3時に百間洞山の家を出発したそうで、明日は椹島ロッジ6時半のバスに乗るため小屋を2時に発ち下山と恐ろしいプランニングでした。東京に住んでいると感じませんが地方から地方への遠征というのは時間的にも料金的にも結構厳しいそうです。5時半の夕食も美味で7時位まで飲んで寝ました。夜、外のトイレに行くと星が綺麗で明日の好天を確信しました。
○2012年9月10日(月) 荒川三山・赤石岳を経由し百間洞山の家へ 快晴・午後ガス
千枚小屋発(03:45)→千枚岳(04:50着・日の出待ち・05:15発) →丸山(06:05)→荒川東岳(悪沢岳 06:50着・朝食・07:15発)→荒川中岳(08:30) →荒川前岳(08:45)→荒川小屋(09:50水補給休憩)→小赤石岳(12:05) →赤石岳(12:40着・昼食・13:10発)→百間平(14:40)→百間洞山の家(15:25)
通路を挟んで反対側の寝床から1時半ソワソワ音がして2時に仙台のパーティーが出発、見送って3時過ぎ準備をして3時45分出発です。熊さんが居そうな高度でもないでしょうしヘッドランプを付けて暗い道を進みます。Sさんも日の出を撮りたいと早出です。最初のポイント千枚岳に4時50分着、次の丸山には一旦鞍部に入るのでここで待ち、夜明けの富士山、朝焼けを撮影します、30分弱ねばってまあまあの写真が撮れました。
次のポイント丸山は3032mでここから快晴に恵まれた3000m稜線漫歩のスタートです。最初に北部に塩見がドカンと見え南部には赤石がデカイです。プランニング上この日は行程が長く展望に恵まれていないと挫折しそうです。はやる気持ちで荒川東岳(悪沢岳3141m)を目指し6時50分到着、見晴らしが最高で農鳥、間ノ岳、甲斐駒、塩見、仙丈、鳳凰三山、中ア、御嶽、赤石、聖への稜線、大武刀尾根、富士山の大展望です。北アルプス方面は霞んでいてあの辺りが槍、笠かなとランドマークをなんとなく想像できる程度でした。Sさんはそそくさと中岳に向かいましたが、ここが展望のハイライトでしばらく来ることはないだろうと遅い朝食をとりゆっくりしました。
ここから荒川中岳までの稜線歩きは快適でした。周りは時期的に紫の花が多く、特にタカネマツムシソウが群生していて、タカネナデシコも綺麗でした。中岳の避難小屋の管理人さんにご挨拶、南ア北部の展望図がありましたがやはり北岳は間ノ岳に隠れてよく見えない構図のようでした。
荒川中岳(3083m)、荒川前岳(3068m)を通過し下りにかかります、南ア北部の山々の景色は見納めで、今度は南部の名峰、赤石、聖が迫ってきます。荒川小屋がちょうど鞍部に立っていて途中シカ対策のフェンスが巡らされていました。8月は綺麗なお花畑が拡がっていたのかもしれません。小屋の水場に9時50分着、小休止して小赤石岳を目指します、日差しも強くこの日一番堪えるガレ場の登りでした。超えて来た荒川三山を時折り振り返りながら小赤石岳(3081m)に少しバテ気味で12時5分着。ここまで来るとあと少しです、最後の登りと思い頑張り赤石岳(3120m)に12時40分到着。
イイ展望ですがこの頃から少し荒川方面が先にガスって来ました。南ア南部の山は見たことがなかったのでしばし眺め、間近の聖を撮影しランチタイム。すぐ横の避難小屋は有人管理で立派な建造物でしたが、しばらくすると全体的にガスって来ました。雨は降りそうな感じはなかったですが13時10分下山しました。見慣れた南ア北部の山、富士山撮影に千枚、悪沢岳で時間を費やしましたが、もう30分前に赤石に到着すべきだったと少し後悔しましたが後の祭りでした。百間平を経由して2時間程度歩くと百間洞山の家に到着しました。
この日は先に着いていたSさんと私、テント泊の青年だけでビールを飲みながら情報交換します。彼は昨日は聖平、明日は高山裏避難小屋テン場、最終目的地は広ヶ原と永いプランでした。Sさんは明日は茶臼小屋に泊まり、次の日は光岳をピストンあわよくば畑薙第一ダム臨時駐車場に一気に降りると言っていましたがどうだったのでしょうか。私は明日は聖平小屋泊なのでのんびり行程です。この日の夕食は5時、混雑時は25分回転だそうですが、ゆっくり名物の豚カツを美味しくいただけました。
○2012年9月11日(火) 聖岳を経由し聖平小屋へ 快晴・11時頃からガス
百間洞山の家(03:40)→中盛丸山(05:20) →小兎岳(06:20)→兎岳(07:30)→聖岳 (09:30休憩) →奥聖岳(10:55)→聖岳下山(11:30)→聖平小屋 (13:50)
この日の移動距離を考えると遅めの出発もOKですがガスがかかる前に聖に着きたいという気持ちと自然に3時頃起きるコンディションになっていたので星がまだ綺麗な中、水場近くなので賑やかに鈴を鳴らしながら大沢岳と中盛丸山の鞍部を目指しました。この日も笊ヶ岳の稜線の先に富士山が綺麗に見えました。小兎岳の稜線にはカモシカがいました。人の気配を察知するとあっというまに駆けあがって行き撮ることができませんでした。
次のポイント兎岳山頂から西を見ると立派な建物が見えます、地図で確認しましたがしらびそ峠の「ハイランドしらびそ」でした。飯田IC75分ですし、その先の奥茶臼山への稜線は南ア南部の山のイイ展望台のようですし遠征してみたい気持ちになりました。兎岳から聖岳にかけて昭文社の地図に危マークが2つほどありますが、南側が切れ落ちているだけでそう大したことはなく岩場を登っていくと9時半に前聖岳(3013m)に到着しました。記念撮影後Sさんは下山。私はせっかくなのであまり見ることのない光、易老岳、茶臼岳、上河内岳の稜線を眺めたり、赤石を振り返ったり、奥聖(2978m)をピストンしたり、珈琲を嗜みながら2時間ほど貸切りの山頂でボーっとできました。
11時半、ガスって来ました、赤石も茶臼も見えません。十分景色も堪能したので下山にかかります。聖平小屋に13時50分着、10人ほどの団体を含めて15名程度の泊まりで寝床を広々と確保でき、歓迎のフルーツポンチもありました。こんなに早く小屋に着いたのは初めてですがヤマケイ、漫画も豊富で持参した電気ブランも半分くらい残っていますし何とかなりました。3時半頃雨になったので早目の到着も悪くなかったようです。小屋の人と話して明日は朝食を4時半にとって5時過ぎに出ても10時のバスに間に合いますよと同じ意見でした。夕食も美味しく歯を磨いていると正面の生木割山に大きな綺麗な虹が2本架かりました。3000m周遊のいいエンディングでした。
○2012年9月12日(水) 聖平小屋(05:05)→聖沢登山口(09:25) 快晴
朝食後、団体は茶臼に向かうようです。下山は一人で沢沿いですし鈴を景気よく鳴らすためストックにつけて下りました。途中8時過ぎ、聖沢吊り橋で疲れ気味の御夫婦と談笑、6時半椹島発の東海フォレストの送迎バスで6時40分聖沢登山口下車で1時間半近く登ってきた行程です。のんびり下りましたが9時25分着、10時発の井川観光のバスで臨時駐車場まで送迎してもらいました。途中、畑薙大吊橋から茶臼からの下山客が15名ほど乗ってきました、長野県側のルートである易老渡に至る林道の崩壊による通行止めが影響しているのでしょうか?沼平まで歩いているパーティ-も結構いました。
3泊4日の山行が終わり白樺荘に立ち寄り温泉でリフレッシュしました。露天風呂からはダム湖の先に茶臼岳が望めました。南ア南部は初めての遠征でもう少し不自由するかという先入観がありましたが、新東名を使えばアクセスもそう悪くなく、ハイシーズンをずらしたこの時期は閑散としていて快適でした。今年の夏は2回の山行でしたが8月の白峰三山、今回の山行と南アルプスのダイナミックな3000m稜線漫歩を好天に恵まれ満喫できました。