「慢性中耳炎・アレルギー性鼻炎・ヘルペス治療手記(途中経過)」

61歳2015年10月27日

私が中耳炎を発症したのは10歳の頃でしたので、50年以上に亘りこの病気で苦しんでいるわけです。当時の私は毎日と言っていいほど下痢をして、肋骨が浮き出るくらいやせ細っており、学校の定期診断ではいつも診断書に「要注意体質」の印が押されていました。

中耳炎の症状としては耳の奥が痒くなり、臭い膿が出てくるのですが、耳鼻科での治療としては耳に溜まった膿を吸い取り、抗生物質を点耳するものでした。最初のうちは点耳を行うとすぐに膿が止まったのですが、体に抵抗力がないからか、軽い鼻風邪程度ですぐに再発する状態でした。成長して社会人となってからも状況は変わらず、そのうち、菌が抗生剤への耐性を持ったのか、耳漏が完全に止まらず、ほぼ毎日、耳鼻科への通院が必要になりました。さらに40歳を過ぎると通年性のアレルギー性鼻炎も発症し、くしゃみと多量の鼻水に苦しむようになりました。

こうした中、2007年秋に勤務先の異動で十数年ぶりに九州から大阪に戻ってきたのですが、耳鼻科での治療は抗生剤にステロイドが配合された点耳薬(リンデロンA液)に変わりました。薬液を強制的に耳に注入するのですが、薬液が耳管を通して喉に流れるほどでした。その点耳薬により当初は耳漏が止まりましたが、2010年頃から再発するたびに異常な耳奥の痒みと詰まりが起こり、膿を伴った多量の粘液が出るようになりました。鼻から空気を通して耳奥に溜まった粘液を外に出すのですが、耳管が詰まりうまく出ないので「セレスタミン」をたびたび服用しました。「セレスタミン」を飲むと耳の詰まりと粘液の溜まりが一時的に治まりすっきりするのですが、服用を止めると症状はよりいっそうひどくなりました。また、アレルギー性鼻炎の治療にもステロイド配合の点鼻薬を使用しましたが、一向に症状は改善せず、鼻の奥が腫れて痛痒くなり、くしゃみを多発するようになりました。鼻水の量も、一晩でティッシュ1箱を使い切るほどでした。

耳の詰まり、異様な痒み、多量に出る耳漏に悩まされて、夜もなかなか寝付けないようになり、苦しい状態が続く中、ある雑誌で抗生物質では治らない中耳炎について書かれた記事を目にしました。それは好酸球性中耳炎というアレルギー性の中耳炎で、細菌に由来するものではないので、抗生物質は一切効かないというものでした。考えてみるとその症状が自分に多くあてはまるところがあり、このまま耳鼻科で治療を受けても絶対に治らないと思いました。また、この先どうなってしまうのだろうかと不安にもなりました。

そこで、もし原因がアレルギーであるのなら漢方治療で何とかならないかと必死にネットで検索して目に入ったのが松本漢方クリニックの「真珠腫性中耳炎」についてのコラムでした。そこには、「なぜ中耳炎が慢性化するのか」が書かれてありました。漢方科で耳の病気についてこれだけ詳しく説明されているのが驚きで、きっと今の苦しい状況を改善できると思い、松本漢方クリニックを訪ねることにしました(2011年の夏のことでした)。

中に入ってみると強い漢方薬の匂いがして大勢の患者さんがおられました。尿検査の結果、リウマチの疑いもあるということで免疫力を上げるために鍼治療を受けることになりました。そういえば九州での勤務時代に一度だけ健康診断で多大なリウマチ反応が出ていると言われたことがあり、大学時代には風邪をひくと足の膝が腫れて水が溜まったりしましたが、社会人になってからはそういう自覚症状は出ていなかったので意外でした。血液検査の結果、危惧していた好酸球の値は基準値の範囲ではあったものの、上限に近く、「やはりアレルギー性の炎症が起きているのかな」と思いました。リンパ球の数値は下限に近く松本先生からは「あんたの命の灯火は尽きかけとるで!」と言われる有様でした。

処方された薬は二種類でした。

①関節の働きを潤滑にして炎症を抑える。

②蓄膿、慢性鼻炎に効く。


以下、今日までの治療経過を記してみます。

・2011年8月~

松本漢方クリニックに通い始めてから暫くして、耳鼻科の医師が代替わりをしました。それに伴い、治療内容がステロイド点耳薬から溜まった粘液(膿)を吸い取った後に消毒液(イソジン)を点耳する方法に変わりました。また、「セレスタミン」の服用や、ステロイド入りの鼻への噴霧薬の使用も止めました。

約4年近くに亘り、ほぼ毎日行っていたステロイド治療を止めた結果、早速リバウンド症状が出始め、以前にもまして耳の炎症がひどくなりました。耳奥の痒みや多量の耳漏に加えて、今までになかった強い耳鳴りが出るようになり非常につらい状態でした。アレギー性鼻炎も相変わらずで、鼻奥が痛痒くなり、頻繁に出るくしゃみと鼻水に苦しみました。また、右手小指の第一関節が腫れて物に少し触れただけで激しく痛むようになりました。

・2012年4月~

リバウンドによる炎症の悪化が続く中、今度は体中に痛みが出るようになりました。通勤バスのつり革に掴まることもできないほどで、自宅でもどういう体勢でいてもひどい痛みが出て。まったく寛ぐことができませんでした。抗ヘルペス剤を飲むと少し痛みが和らぎましたが、本当につらい時期でした。その後、全身の痛みは4ヶ月ほどで治まり、ときおり腕、膝、腰が少し痛む程度になりました。

・2013年1月~

耳に綿を詰めなくてはならないくらい耳だれが出ていたのが、徐々に少なくなりました。鼻炎は一日中出ていたクシャミや鼻水の回数が減り、夜や早朝に発作的に出るだけになりました。ただし、出る鼻水の量は相変わらずで、1回でティッシュ1箱を使うほどでした。ヘルペスによる痛みは、ときおり膝が少し痛むくらいになりました。

・2014年2月~

以前は週に5日溜まった粘液を耳鼻科で吸い取ってもらっていましたが、週3日ですむようになってきました。また、常時くしゃみと鼻水の回数が減少し、ほとんど出ない日もあるようになりました。

・2015年4月~

粘液が左耳の奥に溜まっている為、閉塞感がありましたが、耳漏の量が減って、時折詰まりが取れるようになってきました。この頃から、目立ってヘルペスの疱疹が体のあちこちに頻繁に出るようになり、口まわり、手の指にたくさん出て、痒みがひどいので抗ヘルペス剤を集中的に飲むようにしましたが、さらにお尻にも疱疹ができてなかなか治らず、また、左足の外側くるぶしの皮膚が赤く爛れてきて、物に触れると激しく痛むようになりました。

私としては、「鍼治療も続けているし、免疫力も徐々に上がってきたので、抗ヘルペス剤だけでいいのではないか」と思っていましたが、松本先生から「ここは漢方科なんやから漢方薬を飲まないとあかんで!」と一喝されました。

そこで抗ヘルペス剤を止めて、「免疫力を高めてヘルペスに効く」という漢方薬を処方していただき、服用を始めました。この薬を飲み始めると3ヶ月ほどで効果が現れ、お尻の疱疹が消えました。くるぶしの爛(ただ)れは、ずいぶん良くなり、痛みもあまり感じなくなりました。

・2015年10月~

現在でもリバウンドによる炎症があり、耳漏は完全に止まったわけではありません。しかし、以前は飲酒したり風邪をひいたりした場合、すぐに炎症が悪化して大量の膿が出ていましたのが、現在はそのようなことはなく、耳鼻科への通院も週1~2日ですむようになりました。鼻の方は明け方、夜にくしゃみ、鼻水が多く出る程度で、ティッシュ1箱を使いきることはなくなりました。3年前から考えると症状が大いに改善されましたし、何より溜まった耳漏を抜くために、ほぼ毎日通院しなければならない憂鬱さが随分解消されました。

・松本漢方クリニックで治療を受けて強く感じている事

決して「薬ありき」ではなく「免疫ありき」だと言う事です。当然ですが、免疫が高くないとどんなに良いとされる薬でもあまり効きません。例えば、以前は強力な抗生剤である「クラビット」を5日間飲んでもなかなか膿が止まらない状態だったのですが、松本漢方クリニックで治療を行うようになってからは、比較的効果が弱いとされる「ビブラマイシン」を服用後わずか1日で炎症が治まり、排出される膿の量が激減したのです。実は耳鼻科で「過去にクラビットがあまり効かなかったのであれば、ビブラマイシンでは期待できないが、一応処方してみましょう。」だったのです。これには耳鼻科の医師が少々驚いていました。

そのビブラマイシン自体、2年前は1年に4、5回ほど服用しましたが、現在では抗生剤が必要なほど炎症が悪化することがほとんどなくなり、昨年は2回、今年は1月に一回飲んだだけです。(耳鼻科には松本漢方クリニックで免疫を上げる治療を行っていることは伝えていませんが、このとき私は免疫が上がってきたことを初めて実感しました。)

私は耳鼻科に長年通っていますが、耳鼻科の医師は、私以外の花粉症等のアレルギー疾患の患者さんに対して、短期間の服用ですがステロイド等の薬を処方して、「再発したらまた来てください」の繰り返しです。ステロイドは免疫を下げることで見かけ上の症状を一時的に抑えているだけです。

過去に治療を受けたある医師は、患者に「アレルギーは体質だから絶対に治りませんよ!」とはっきり言っていました。これに対して松本先生は「免疫寛容」が起こるまで免疫を高めれば、アレルギーは絶対に治る」と言われています。本来の医療とは何でしょうか?できる限り病気の完治を目指していくものではないのでしょうか。現在では国民全員が健康であるために、一番大切な免疫を蔑ろにし、薬づけになっているように思えます。松本漢方クリニックを訪ねる以前、ある漢方薬局で「中耳炎が治らないのは、貴方の体に治す力がないからです」と言われたことがありましたが、「人間の持つ治癒力(免疫)を高めて完治させることが医療の根本である」とつくづく感じます。

最近でこそ免疫を高めるサプリメントや食物についてTV、雑誌、インターネット等で取り上げられるようになりましたが、漢方医として免疫を上げる具体的な方法を確立、実践し、大きな成果を上げているからこそ、全国から松本先生を頼り、多くの患者さんが集まってくるのだと思います。松本先生からは「あんたの耳は過去の誤った治療のせいでボロボロになっとるんやで!」と言われています。確かに抗生

剤投与の繰り返しから4年間は、ほぼ毎日ステロイド剤を大量に使用したために、大幅に免疫力が下がった最悪の状態から治療を始めることになりました。病状は好転してきているとは言え、まだまだリバンウンドによる耳、鼻の炎症は続いています。リバウンドがいつ終わるのかわからず先は長いですが、これからも希望を捨てずに頑張って治療を続けて行こうと思います。