「リウマチ性多発筋痛症・快癒への路」
匿名希望61歳2015年12月5日
匿名希望61歳2015年12月5日
1.はじめに
大きな病気をしたこともなく、年齢相応な体力でそれなりに過ごしてきた私が、まさかこんな病気になるとは、まさに青天の霹靂でした。突然に全くといっていいほど上がらなくなった肩と腕、立ち上がる毎に痛みと突っ張りが起こる尻から下、ロボットのような歩き方、定年退職とフルタイムの再任用を目前に控え、どうなってしまうのだろうという不安に見舞われた日々。そんな始まりから、ほぼ日常生活に支障がないまでに回復した今日までのあらましをかいつまんで、松本漢方クリニックでの治療と院長先生への感謝の念を軸に、書いておきたいと思います。
2.発症と治療
平成26年12月頃、右上腕に軽い痛みを感じるようになりました。
平成27年1月5日、右肩から上腕に、眠れないほどの痛みが起こりました。整形外科を受診すると「五十肩」と診断され(私もそう思った)、右肩にヒアルロン酸2ml+ケナコルト(ステロイド)0.2mlを、肩から腕につながる腱に数カ所ノイロトロビン5ml+1%カルボカイン2mlの注射を受けました。そして腰痛などで私には相性の良かった「ロキソニン」の湿布と内服薬による治療を開始しました。しかし痛みは全く取れませんでした。
1月12日、左肩にも強い痛みが生じました。両上腕は湿布薬で覆い隠すほどになりましたが、効果はありませんでした。右側と同じく左肩にもヒアルロン酸2ml+ケナコルト(ステロイド)0.2mlの注射、左肩から上腕への腱(痛みが強い所)にノイロトロビン5ml+1%カルボカイン2mlの注射を受けました。これを週1回ずつ4回続けました。注射した日と翌日くらいは、少し痛みが緩和される気がしました。両肩及び両上腕の痛みと共に、尻から下の裏側に強い突っ張りを感じるようになりました。特に朝起きた時の痛みがひどかったです。注射と併せて、その整形外科でリハビリを受けましたが、痛みが増すことも有りました。
私はそれまで急性の腰痛になっても、ロキソニンの湿布と内服薬を使えば、ほぼ2日で治まっていました。しかし今回はその相性が良いと思われるロキソニンが全く効かず、痛み止めを毎日飲み続けることに疑問を感じていたこともあって、整形外科への通院をやめることにしました。その代わりに2月から知り合いに紹介してもらった整体院に週1回ずつ通い始めました。同時に一切の痛み止めをやめました。
痛み止めを止めると、はじめ、夜も眠れないほどの痛みに襲われましたが、整体師からは「好転反応」と言われました。今思うと、いわゆる「リバウンド」であったかもしれません。週1回の施術を受けた時は立ち上がりがスムーズになりましたが、すぐに突っ張りが出ました。肩も同じような状態でした。また、夜は2時間に1回はトイレに起き、その度にけっこうな量の排尿がありました。この整体院でも、五十肩と言われていました。
すぐ傍の物を取るにも手は机の上を這わせて行かねばならず、椅子から立ち上がればしばらくはそのまま体が伸びるのを待たねばならず、車のウィンカーを出すのも一苦労でした。風呂では頭も洗えないのでリウマチ用の自助具をネットで購入し、整髪にも同じような柄の長いブラシを購入して使いました。洋式トイレに腰を下ろすことすら地獄でした。今まで何の苦も無く干せていた洗濯物用の物干し竿が、あんなに高い所にあるんだと感じました。たまたま生前母が使っていた電動の介護ベッドを引き取っていたおかげで、朝の起き上がりは何とかできました。
職場では総括教諭という中間管理職のような仕事をしており、担任を持っていなかったので、上がらない肩を抱え、そろりそろりと地を這うような歩き方をしていても、何とか与えられた仕事をこなすことができました。朝は今までより2時間早く起き、まず立ったまま食事をして体を温めました。服を着るのも大変で、腕を通した後、反対側の肩にかけられればなんとか着ることができました。靴下は自助具の助けを借りながら履き、職場にも早く出勤して、廊下をぐルぐル歩いて体を慣らしました。日によっては一日中痛みのヴェールに包まれている時も多くあり、「もう限界だ」と思う日もありました。
3.松本漢方クリニックとの出逢い
3月半ば、「どうも自分の症状は五十肩ではないのではないか??」という疑問が湧きました。ネットで「両肩両脚の痛み」と入れて検索すると、「リウマチ性多発筋痛症」という聞いたこともない病名がヒットし、まさに自分の症状と同じではないか!!と思いました。しかしその診断方法は“最終的にステロイドを投与してみて効けばこの病気である”というおかしなもので、何じゃこれ?とも思いました。“ステロイドは必要悪だ”と思ってはいましたが、ステロイドを使わない治療法は無いものかと検索を続けると、松本漢方クリニックの「手記」に出逢いました。「手記」に記された症状や治療過程を読むと自分と重なり、独り者の私は完治あるいは手記を書くまで改善するまでの道のりの遠さに唖然としました。しかし4月から再任用で現場に戻ることが決まっていたこともあり、急遽整形外科で血液検査をしてもらい、炎症反応値(CRP)の高さ(正常値0.2以下のところ2.74)を確認すると、勧められたステロイド治療をお断りし、藁をもつかむ思いで松本漢方クリニックに駆け込みました。3月24日のことでした。
4.治すのはあんたやで!!<治療経過>
治療を受けるに当たっての不安は、皆さんの「手記」にあるように、治療の過程で今より痛みが増し、動けなくなること、働けなくなることでした。しかし、リバウンドやヘルペスウィルスとの戦いの度合いは人によって違うとのことで、やってみなければわからないし、自分自身の治そうとする気持ちによるのだと思いました。もう一つの不安材料は自費診療にかかるお金のことでした。これも最終的にいくらかかるかは、今後どういう経過をとるかによるので、貯金を崩す覚悟でやるしかないと思いました。
漢方薬とアシクロビル2錠ずつを飲み始めて、少しですが痛みが和らいだ気がしました。煎じ薬は初めのうち1日分ずつ作って小分けにしていました。毎日へとへとになって仕事から帰った後、夕食後に作るのは大変でした。何より、大防風湯という食前薬の臭いと味に苦労しましたが、「まずいまずいと我慢して飲むより、美味しいと思った方が効くわなぁ」と思い、旨い旨いと言いながら飲みました(笑)。
まだ靴を履くのもやっとの状態で、再任用初日を迎えました。再任用先では身体介助がない代わりに教科を多時間担当することになりました。毎日授業準備と評価記録に追われていました。2週に1度、院長に電話で近況報告するときまって叱られましたが、お給料を貰っている以上やらねばならぬ事があります。独り身である以上、また事情によりフルで働かなければ暮らしていけない以上は・・・。休日出勤する時もあり、日々を慌ただしく送りましたが、土日だけは院長の指示に従い、ゆっくりと体を休めるようにしました。
4月、体の痛みがきつく、立っていれば立っていたで、座っていれば座っていたで、体が固まってしまい、次の動き出しがきつい状態でした。痛む部位は両肩両上腕から、手首、拇指丘、膝、ふくらはぎ下など、あちこちに飛びました。右背筋に疲労した時のような痛みあり、腰痛も出ました。自分でお灸をすると少しだけですが楽になりました。寝起きの痛みがきついので、灸は朝出勤する前に2~30分くらい毎日行いました。右腕を動かす時、角度によりゴリッと腱が動き、激しい痛みが走るという症状が続きました。肩が外れてしまうのではないかと心配になりました。夜のトイレは約1~2時間毎に行きました。
土日に入る漢方風呂は、事情により風呂を汚せないため松本漢方クリニックで購入した漬け物用ビニール袋を使用して入りましたが、身長178cmの私には袋の中に膝立ちするのがやっとでした。体に湯をかけるのと膝立ちしているのがしんどく、10分と入っていられませんでした。入浴後はベッドで体を休めました。院長からは「もっと大きな袋にすればいい」と言われましたが、しっかりした漬け物袋でこれ以上大きな物はネットで探しても見つかりませんでした。使用後の袋を外のフェンスに干すと、匂いに釣られた虫が入るため、風呂内に干しました。
愛車のタイヤを履き替えるために家からタイヤを積み込んでディーラーに行く作業は、職場の親しい車仲間が全面的に助けてくれました。涙が出るくらいありがたかったです。職場では力仕事は全て仲間が請け負ってくれました。生徒達に病状を話すと、よく理解してくれて協力もしてくれ、担当する授業は全力で進めました。
5/5(火)から、ネットで探した鍼灸院に通い始めました。また、煎じ薬は3日分ずつ作るようにしました。3日分だと水の量も3倍入れるのかと思いましたが、藤田薬局の指導を受け、食前の大防風が約1.5L、食後の治打撲一方湯が約1.2Lの水で30分ほど煎じると、共に350cc位になることをつかみました。
6月に入り、体の動きも少しずつはよくなってはきましたが、両肩両上腕の痛み、尻から下の強いこわばりはまだまだあり、重い物を持つことはできませんでした。寝返りはまだ打てず、4月からずっと、1~2時間毎に電動ベッドの上半身部分を垂直に近い辺りまで上げ、頭をそこに押しつけて反動を使って体を起こし、トイレに行くことで寝返りに替えて体の痛みを和らげた・・・そんな状態でした。
薬草湯用に大きなポリ袋(家の風呂桶に合わせて長さ1.4m×私の身長+αで高さ2m×袋の丈夫さを考えて厚さ1.0mmの物)をネット購入して使うと、入浴もかなり楽になりました(準備と後片付けは大変ですが・・・)。ポリ袋を2枚重ねると、水圧による薬草湯の滲み出しにも対応できますので参考まで・・・
7月上旬から体が急速に楽になり、腕が上がるようになり多少重い物も持てるようになりました。椅子からの立ち上がりにも臀部下のつっぱり感が減少してきました。朝のトレーニングにも少しずつ参加して2km位はジョギングできるようになり、趣味のギターも弾けるようになりました。今は寒くなって多少は体が硬くなった感はありますが、日常の動きは不自由ありません。
5.なぜ遠くの松本漢方クリニックで治療を受けるのか?
①ステロイドを一切使わず、漢方薬とヘルペスィルスの増殖を抑える飲み薬による治療で、実際に数ヶ月であれほどのひどい痛みが楽になったという実体験をしたからです。院長先生の学説はかなり高度で、私などは何度読み返してもなかなか理解ができないでおりますが、どんな病気にも必ず原因があること(原因不明の自己免疫疾患というものはない)、ヘルペスの増殖を抑えるアシクロビルを服用しながら漢方の煎じ薬・漢方風呂・鍼灸などで多角的に免疫を活性化させる治療によって、実際にこれだけ体が回復してきているということが何よりの事実です。免疫力を抑えるステロイド治療はまさに正反対のことをやっているのだなぁと思いました。
②私の住む神奈川でも大きく有名な病院はあり、リウマチを扱う病院もあります。しかしほとんどの病院が処方する「ステロイド」は免疫の働きを抑えることで一時的に痛みを取ることはできますが、反対に減らしていくと免疫が復活していくので症状が元に戻ってしまいます。また副作用が怖いことは周知の通りです。また漢方医は多く有りますが、ネットで調べても、リウマチ性多発筋痛症という病名とその治療実績を掲げている漢方医は見つけられませんでした。
③遠方ですが、2ヶ月に1回の来院と別に、電話で経過を確認して薬を処方としてくださるおかげで、仕事をしながらでも治療を続けることができています。この病気はある程度長い治療期間が必要となるので、治療を「続けられる」ということがとても大切です。私も院長先生が配慮してくださったおかげで、ここまで治療を続けてこられたと思っております。
④「病気を治すのは医者ではなくて自分自身」という院長先生の言葉はまさにその通りだと思うからです。自分の免疫の働きを最大限生かしてヘルペスと闘う、そのためには自分自身で体内の副腎皮質ホルモンを出さないような物事の捉え方・生き方が大切です。これは頭でわかってもそう簡単にはいかないことを改めて思い知らされておりますが、反対にこの病気になったおかげで、そういう大切なことを考えるようになりました。根がマイナス思考の私ですが、くじけながらも続けていきたいと念じております。
以上、まとまりはありませんがレポートさせていただきました。まだ治療途中ですが、あのひどい痛みと不自由な状態がステロイド無しでここまで回復している事実を紹介させていただき、この病気でお悩みの方々への参考になれば幸いと存じます。