「視力を失う恐怖から、完治と言っても良い状態へ 」
ベーチェット病体験記 30代女性 2020年1月19日
ベーチェット病体験記 30代女性 2020年1月19日
松本漢方クリニックについて知ったのはSNSを通じてでした。友人の友人がアトピーか何かで松本医院にかかっているようで、この方が松本医院について投稿しているのを偶然見かけたのです。変わったお医者さんがいるものだなとおもってホームページを見てみると驚きの連続でした。当時すでに妻がベーチェット病を発症して数年がたっており、ベーチェット病に関する本や論文を複数読んでいたのですが、臨床的に知られているベーチェットの性質、また妻が経験した経過が、松本理論できれいに説明できるのです。これはすごい理論かも知れないと即座に思いました。
例えば
1.ステロイドが有意に眼の炎症の再発を増やす
2.ネオーラルが神経ベーチェット病を誘発する
ということが知られていますが、ステロイド等の免疫抑制作用によるヘルペスの日和見増殖と考えればきれいに説明できます。
更に、妻の病状が進行する上で現れた特徴ですが、
1. 口内炎、陰部潰瘍などベーチェットの症状が現れ始めた当初、職場で強いストレスにさらされていたこと。過労死が出たこともある会社で、いわゆるパワハラ・セクハラが横行する中、東日本大震災も重なり、かなり過酷な業務をしていました。
2. 結婚、退職した後、安静にくらしつつゆっくり回復し、やがて妊娠。妊娠中はとても体調がよかったが、出産後に増悪し、ぶどう膜炎が現れたたこと。
ストレスで免疫が抑制され、妊娠中は黄体ホルモンの免疫抑制作用が働き、産後は免疫が活性化したと考えれば説明ができます。
松本理論に出会った時、私は海外に単身で駐在中、妻は体調のこともあり関東地方の実家に両親、子供の3歳児と暮らしている状態でしたので、気軽に診察に行ける状態ではありませんでした。いくらすごい理論と言っても、私自身ならともかく、家族に非標準的な治療を行うのは多少勇気が入ります。私より何倍も頭がいいであろう一線の研究者の考える治療法と真逆の治療方針で完治するというのも不思議な話です。いずれにせよ海外駐在中ですぐに通院できるわけでもないので、Kindleで日本の免疫学の大家が書いたブルーバックスのの入門書を読み、英語圏駐在だったためなんとか手に入れられたJanewayのImmunobiologyを読み込みました。松本先生のコラムもすべて読みました。私は理系だったとは言え高校や大学で生物を選択していなかったため、結構骨が折れましたが、基礎的な概念を理解できるようになり、松本理論も少しずつ理解できるようになってきました。
免疫学の入門書や教科書を読んで思いましたが、松本理論を構成する各要素は標準的な免疫学に基づいています。実際、私の古い友人で関東の国立大学医学部で免疫の基礎研究をしている人がいます。彼に松本医院の治療について話したところ、驚いたことに彼の見解と松本医院の考えはかなりの部分一致しました。ヘルペスウィルスの各種免疫細胞への感染と影響、免疫寛容、クラススイッチ、松本理論を構成する各要素は免疫の基礎研究者には常識的に知られているようでした。(素人の私が論文や教科書を読んで容易に見つけられる内容なので当然です。基礎と臨床との間に断絶があり、臨床現場で応用が全く進まないのは残念なことです。)
こうして治療方針に納得し、妻も説得し、次回の帰国時に松本漢方クリニックでの治療を始めることにしました。幸い私も運良く海外駐在続きの職場を離れて転職することになり、多少通院がしやすくなりました。2017年7月にようやく初めて来院することができました。最初の通院後、それまで服用していたコルヒチンは即中止し、治打撲一方湯と洗肝明目湯、アシクロビルを飲み始めました。まず最初は扁桃腺が月一くらいの頻度で腫れ、熱が出ました。熱が下がったあとは、いつも冷え性で体が冷たかった妻の手足がずいぶん温かくなったことに気が付きました。また、妻が松本医院に切り替えた直後から、熱はつらいものの何故か体が軽い、スッキリした気分だと言うようになりました。このようにすぐに良い兆候が見て取れ、選択は正しいと確信しました。
とはいえやはりリバウンドは起こり続け、ぶどう膜炎の炎症も数回おこりました。口内炎、歯、関節、足、肩など体の各部の痛みもあらわれました。目に炎症が起こることは、妻にとって視力を失うかもしれないという相当な恐怖があったと思います。先に述べたように良い兆候が出ているのだからきっと良くなる、と励ましながら、治療を継続しました。月一程度で現れていた炎症が徐々に軽くなっていく、場所が変わる、頻度が減るというようにリバウンドと思われる症状は軽くなっていきました。
いま、松本漢方クリニックでの治療を初めて2年半程度が経ちました。ここ1年程度、熱が出ることはなくなりました。時折起こっていた眼の炎症もほとんど起こらなくなりましたし、起きても軽い飛蚊症程度になりました。時々生理周期にあわせて多少体が痛むことはありますが、疲労感がなくなったようで、日常生活に全く支障がなくなりました。そして第二子を妊娠できるほどに体調が回復しました。松本先生には本当に感謝しています。
過去に服用した免疫抑制剤はコルヒチンという比較的弱い免疫抑制剤しか使っていなかったこと、ステロイドは点眼のみだったこと、温清飲など漢方薬を通院前から使い始めていたこともあってか、リバウンドは他の患者さんと比べると比較的軽かったように思います。幸い比較的治療しやすい水痘ウイルスとEBウイルスの抗体のみ検出され、白血球数も多く、治りやすいタイプではあったようです。
余談ですが、食器洗い洗剤を使うと必ず湿疹ができていた妻の手が、今となっては全く荒れなくなりました。免疫が上がってクラススイッチしたのだと思います。