「リウマチ性多発筋痛症・発症から治療経過について 」

64歳 女性 2015年12月12日

2014年5月末の朝、これまでに経験したことのない痛みで目を覚めました。首から肩、上腕、太股、膝の裏と両側がこわばっていて、起き上がれなかったのです。そして、やっとの思いで起き上がっても、着替えがスムーズにできませんでした。階段の昇り降りと正座も困難になり、椅子に座る時も臀部が痛く、「一体、自分の体に何が起きたのか?」と思いました。

6月、最寄りの整形外科に行きました。首のMRI検査を受けると、5~7番目の軟骨が少し飛び出ているため、首、肩、上腕にこわばりや痛みが起きているとのことでした。また、昨年の腰痛が充分に治癒していないため、太股、膝に影響しているとも言われました。そして、鎮痛剤のセレコックスを処方され、運動療法の指導を受けました。そのおかげか痛みは多少軽くなり、何とか家事等を含めて日常生活を送れる状態になりました。

整形外科と併行して、10年来、高脂血症の治療で通っていた内科医院に症状を話し、血液検査を受けてみました。結果はCKが100で、高脂血症の治療剤の副作用は出ていないとのことでした。また多発性筋炎のマーカー検査もしていただきましたが、結果は陰性でした。

7月、整形外科より指導された運動療法を続けていましたが、効果はなく、むしろ肩を上げるのがとても辛い状態でした。そこで、肩こりや腰痛の治療で世話になっていた腕のよい整体院に、3、4日おきに3回通ってみましたが、かえって痛みがひどくなり、全く効果がありませんでした。「流石に、ここまで来るとただ事ではない」と思いました。63歳という年齢からすると、経年劣化や加齢による変化があっても不思議ではありませんが、「同時に同じ症状が多発するのはおかしい」と思いました。「余程、硬い所で尻餅でもつかない限り、こんな臀部の痛みは出ない筈だ」と思いましたが、全く心当たりがありませんでした。下半身の痛みが、整形外科医が言うように、腰痛から来ているのであれば、整体治療が全く効かないのはおかしいと思いました。

8月、近くの大学病院より整形外科に応援に来られている医師に、前日の疑問点を話すと、「リウマチ性多発筋痛症の疑いがある」と言われ、大学病院を紹介されました。

大学病院を受診し、血液検査を受けると結果は、CRP:1.83、 赤沈: 78、以下の5項目は、全て基準値内でした。

抗CCP抗体(リウマチ)

抗ds-DNA抗体(全身性エリテマトーデス)

抗SM抗体( 上に同じ )

抗RNP抗体(混合性結合組織病)

抗SS-A抗体(シェーグレン)

以上の結果により、リウマチ性多発筋痛症の可能性が高く、「ステロイドを服用してみて効果があれば、リウマチ性多発筋痛症であると証明される」とのことでした。私が、ステロイドは出来るだけ避けたいという意向を伝えると、これから、感染症、ガン、膠原病を視野に入れて、いくつかの検査をしていくことになりました。そして、原因がわかるまでの間は、鎮痛剤セレコックスを引き続き服用していくことになりました。

インターネットでリウマチ性多発筋痛症について調べているうちに、松本漢方クリニックのホームページにたどり着きました。先生の理論は難しく、完全には理解できませんでしたが、ステロイドは使用せず抗ヘルペス剤と自分の免疫で治していくという治療法に惹かれ、「先生の所で治療を受けたい」と思いました。しかし、当時、主人は仕事で多忙を極めていて、土日・祭日もない状態で、さらに私の身体介助、煎じ薬や漢方薬湯の管理、それに家事、犬の世話などが加わったら、過労で倒れてしまうと思いました。それでは、共倒れになってしまいます。だから、「今は時期的に断念せざるをえない」とすぐに来院することはありませんでした。

大学病院にて検査が始まりました。

大腸ガン検査・・・・・・異常なし(胃がん検査は半年前に受け、異常なし)

胸部レントゲン・・・・・異常なし

胸部CT・・・・・・・・異常なし(9月に実施)

3D-CT検査・・・・・異常なし(10月に実施)

※大動脈炎症群の疑いで造影剤を使用して検査しましたが、主要血管の狭窄なし、肺野に病変なし、腹部臓器に異常なし、リンパ節腫大なし

心電図・・・・・・・・・異常なし(12月に実施)

心エコー・・・・・・・・異常なし

両肩、両膝レントゲン・・異常なし

※加齢に伴う変化あるも、CRP、赤沈亢進の原因とはいえないという診断

脳MRI・・・・・・・・・異常なし

夜間は肩、上腕部の疼痛が辛くなり血圧が上昇しました。また、円形脱毛症を発症(これで4回目になります)し、皮膚科にも通うことになりました。抗核抗体の値が640に上昇しました。

整形外科にて、両肩に痛め止めの注射をしてもらいましたが、効果はありませんでした。鎮痛剤をセレコックスからボルタレンに切り替えた後、口内炎を発症したため、またセレコックスに戻してもらいました。

2015年1月、肩、手首、膝、足首のエコー検査をしたところ、炎症により肩や膝に水が溜まっているとのことでした。これまでの検査を総合して、リウマチ性多発筋痛症以外に考えられないとの診断を受け、ステロイド剤プレドニゾロンを服用する事となりました。

7月、確かにステロイドの服用後は、ほとんどの部位の痛みが軽減し、家事も楽にこなせて、夜もぐっすり眠れるようになりました。また、膝を曲げようとした時、パンパンに張った風船を無理やり折り曲げるような抵抗があったのに、嘘のように正座ができるようになりました。

しかし、薬を増量すると炎症が治まりましたが、減量すると炎症が強くなり、強い薬に切り替わる。そして、それによって、しばらくは収まるが、3週間位すると、また、じわっと痛みが出てきました。

大学病院の先生からは、「この病気は治癒することはなく、一生、薬と上手に付き合っていくしかない」と聞かされていましたが、「このままではどんどん薬が増量され、副作用とともに、体がボロボロになってしまうのではないか」と、とても不安になりました。

また、副作用のせいか、病気のせいか、わかりませんでしたが、この夏初めて顔色が赤黒くなってしまいました。そして、最も悩まされていたのが頭部の発汗異常でした。この状態が続くのは、耐えられないので、「やはり、松本漢方クリニックに行こう!」と思いました。

この3月末で主人が退職していたので、いっしょにHPを読み理解を得て、協力をお願いしました。先生の理論は、何度読んでも難解でしたが、次のように理解しました。

・リウマチ性多発筋痛症は、2つの病態が合併した病気であり、治癒へのプロセスはこうである。

①化学物質との戦いである膠原病

毎日、化学物質は知らず知らずに摂取されていますが、ストレスのために、免疫が抑えられ抗体の逆クラススイッチ(IgEからIgG)が起こると、化学物質をアレルギーとして排泄すべきところ、化学物質を殺そうとする戦いが起こる。これが膠原病です。

IgEのしっぽに引っ付くのは、化学物質を痒みによって排除することができる肥満細胞、好酸球、好塩基球で、IgG抗体には大食細胞、好中球、NK細胞が引っ付きます。

逆に免疫を上げていくと免疫のクラススイッチ、つまりIgGからIgEへ抗体の作り変えが起こり、皮膚からも粘膜からも外部へ化学物質を排泄しようとする(アレルギー)。そして、最終的に免疫寛容を起こしアレルギーも治る。

②ヘルペスウイルスとの戦い

ストレスに耐えるため、自分の体の中の副腎皮質ホルモンからステロイドホルモンを出すと、免疫が抑制され、誰もが持っているヘルペスウイルスが神経細胞で増殖する。

ストレスから解放されると免疫が正しい働きを始め、ヘルペスウイルスと戦うと、炎症や痛みが起こる。そこで、抗ヘルペス剤でウイルスの増殖を抑え、戦いの規模を小さくする。ヘルペスウイルスを殺すのはあくまで自分の免疫です。ヘルペスウイルスに特異的なIgG抗体を作り、IgG抗体がヘルペスと結び付き、好中球、大食細胞、NK細胞で殺す。この時、炎症が起こり、耐え難い痛みがあるが、殺し切ればIgG抗体を作る必要がなくなって減っていく。痛みも収まっていく。

大学病院では、“治癒することはない”と言われたのに対して、松本漢方クリニックのHPには、“治る”と書いてある!ただ、「耐え難い痛みに本当に耐えられるのか。」「また、痛みがどの位続くのか」ということが不安でした。しかし「治る道はこれしかない」と思い、松本漢方クリニックに電話をして、鍼灸の予約をしました。

そして、医院からFAXで送られた問診票に、発症から現在までの症状の経過、治療の経過等を記入し、持参することになりました。

7月31日、初めて松本漢方クリニックを受診しました。待っている間、持参したものとは別の問診票を記入したり、手記に目を通したりしました。先生の診察の前に、鍼灸室に呼ばれ施術を受けました。とても気持ち良く、ずっと受けていたい気分でした。同行の主人に、もぐさの丸め方や施術のやり方などを伝授していただきました。

松本先生の診察が始まると、「どうして、ここを知ったの?」「どうして、もっと早く来られなかったの?」などと聞かれ、ステロイドを徐々に減らして0にすること、リバウンドを覚悟しなければならないことを言われました。そして、「必ず、治るから!自分の免疫で治すんやで。」と力強く握手されました。血液検査を受け、漢方薬湯の入り方を看護師さんに教わりました。

お薬の処方は、抗ヘルペス剤を1日12錠、食前用・食後用の漢方煎じ薬(保険適用分は薬局でいただきました)、漢方薬湯が週3回分、塗り薬でした。また、お灸用のもぐさも購入しました。

8月、早速、抗ヘルペス剤と漢方薬の服用を開始しました。煎じ薬は飲むには問題はありませんでしたが、お腹がゆるくなる上に、1日に3~4回もお通じがありました。ステロイド剤は、松本先生の指示通り5日間は半錠に減らし、その後10日間は4分の1錠に減らし、その後は一切服用せず、完全離脱を目指すことになりました。

初めて漢方浴療法をした時は、浴槽に20分間浸かったり5分間出たりを繰り返しながら、合計2時間浸かりましたが、少しのぼせてしまいました。次からは、こつをつかみ、上手に入れるようになりましたが、準備から後片付けまで5~6時間かかるので、1日おきから週に1回に回数を減らしました。

灸は主人に、毎日か2日に1度、お願いしました。近くの鍼灸師さんに、もぐさに近い効果のものを分けてもらいました。15日にステロイドの服用を終了しました。

いつリバウンドが始まるのか、そしてどの程度なのか気になっていましたが、一番の悩みは、頭部の異常な大量発汗で、外出もままなりませんでした。

25日を過ぎた位から、少しずつこわばりや痛みが出てきました。特に掃除機をかけたり、拭き掃除をしたりした時は、肩や臀部が辛かったです。しかし、体力、筋力を落とさぬよう心掛け、家事は時間をかけても、なるべく自分でやるようにしました。それは、お腹がゆるいため、必ず自力でトイレに行きたかったからです。そして、趣味の習字やカラオケを今まで通り続けたいという一心からでした。

9月、肩の痛みが更に強くなり、布団を干そうにも重くて持てなくなりました。かぶりの上着を脱ぐ時は、両腕を交差させても力が出ないので、主人に手伝ってもらいました。臀部は1時間も座っていると痛く、立ち上がる時も歩き出す時も、とても痛かったです。また、2年位前から、夜寝る前に腹筋運動を続けていましたが、足の付け根の痛みが辛かったです。

頭部の大量発汗は、涼しくなったために少し改善して、趣味の発表会にも何とか出場できました。

18日、松本漢方クリニックに再び来院しました。「病気を治すのは、自分の免疫だからね」と言われ、血液検査と鍼灸を受けました。体の痛みの割にCRPがあまり高くないのが不思議でした。

10月、肩の痛みが強く、掃除機を二階から降ろす時、腕がちぎれそうな程重く感じました。電話診察の時、松本先生にその事を話すと、抗ヘルペス剤を1日12錠から14錠に増量していただきました。

夜中は、肩などが布団にあたるため、疼痛のあまり熟睡できず、2時間毎に起きていました。痛みに耐え疲れて眠ってしまうことがありましたが、うめき声を出したり、ある夜などは「ギヤー」と叫び声を出したりして、主人から起こされました。余程怖い夢でも見ていたのでしょうか。そのため朝はグッタリと疲れていて、なかなか起き上がれませんでした。主人は毎日朝食の支度や洗濯干し、布団干し等を引き受けてくれて、本当に感謝でいっぱいでした。

11月、それでも一旦起きてしまえば、午後位から少しずつ体が動けるようになり、買い物やお稽古事にも出かけ、台所にも立ちました。なるべく主人に負担をかけないようにと思って動いていましたが、それは何かあっても、いつも主人がそばにいてくれたからでした。何より心強いし有難いことでした。抗ヘルペス剤を増量した効果か、腹筋運動時に足の付け根に感じていた痛みが軽減しました。膝だけは、あまり痛くならず、ステロイド剤を8月15日に完全に止めてからも、正座だけはできていました。

12月、夜中の肩の疼痛は変わりませんでしたが、掃除機は2か月前ほど重く感じなくなりました。12月4日、松本漢方クリニックに3回目の来院をしました。血液検査と鍼灸を受けました。先生は、「医療業界を変えないといけない」とおっしゃられて、手記を書いて送るように言われました。松本先生の治療を受け始めて4か月が経ち、まだ半ばではありますが、これまでの血液検査の推移をみて、体の状態を把握してみました。

CRPは、ステロイド剤中止後リバウンドで上昇し、その後減ってきています。また、コルチゾールやACTHなども副腎皮質ホルモンの働きが正常に向かって改善してきています。鎮痛剤もステロイド剤も使わずに、何とか介助も受けずに生活できていることが何よりの証です。しかも怖い副作用もない方法で。

国がこの松本先生の治療法を承認し、保険適用とし、この病気で苦しむ人々が地元で診療を受けられるようになれば、どれほど多くの人が救われることか。そして、健康保険組合の負担する医療費は年々膨らんでおり、医療制度の破綻が危惧されて久しいですが、根本治療が増えれば、その解決の一助になるのではないかと思います。いつかそのような日が来ることを心から願っております。

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