「長期にわたるメニエル病の苦しみから開放されて」
55歳M.K
55歳M.K
メニエルで苦しまれている多くの方に少しでもお役に立てればという思いで、私のメニエル病に関する治療経緯について手記を投稿します。私がメニエル病と始めて診断されたのは38歳の時なので、かれこれ17年この病気と付き合ってきており、現在松本漢方クリニックでメニエル病を治療している中でも、最もこの病気で苦しんできた患者の一人だと思います。
38歳右耳でメニエル病発症
当時、ある新製品で開発した海外向けの電子部品の量産立ち上げに現場責任者として携わっており、日々プレッシャーと戦いながら仕事をしていました。それが一段落ついた頃、まず右耳に閉塞感を感ずるようになり聴力が低下し、歩いていても雲の上を歩いているような感覚がしたりと、少しずつ異状を感じるようになりました。その状態は断続的に発生し、地元の耳鼻科医でメニエル病と診断されました。聴力低下時にはステロイド内服薬を処方され最初の頃は直ぐに回復したのですが、その回復は一時的で、その後に同じ症状が繰り返し発生しました。
40歳地元総合病院へ転院
耳の閉塞感や聴力低下の繰り返しが継続して一向に良化しないため、市総合病院へ転院。しかし転院してみてもイソバイドとアデホスとメチコバールを飲むだけで、治療法は変わらぬため症状は継続。数ヵ月後が経過後、会社で朝のラジオ体操をして事務所に戻っているとき、初めて激しい回転性のめまいが発症。生まれて始めての激しいめまいで、嘔吐と呼吸困難から吃驚しました。これが私のめまい人生の始まりで、その後数ヶ月に1度の割合でこのめまいが発生するようになり、その都度、息も絶え絶えに病院に連れられ、点滴を受けて数時間後に帰って来ると言うことが継続しました。めまいは特に冬場に発生する頻度が高く、日曜日の夕食にて家族で鍋を囲んでいるときに突然発生することが続き、一時は鍋料理が怖くなったこともありました。この間1週間程度の入院を3回。
41歳大学病院へ転院
地元の病院でこれ以上の治療方法は無いと言われ、大学病院を勧められ転院する。
しかしここでもメニエル病は難病で治らないので、今よりも悪化させない事が重要と言われ、根をつめて仕事をしないこと、水分は出来るだけ取らぬこと、睡眠を充分取ること、薬をきちんと飲むこと(イソバイド)、などを指示されました。治療も今までと同じ薬を処方されるだけで全く変わらず、その後めまいが頻繁(2~3週間に1回連ベル)に発生するようになったため、右耳に抗生物質のゲンタマイシンを注入して、平行感覚の調整機能を無くす処置を取りました。これにより、めまいからは開放されたものの、同時に右耳の聴力がほとんど無くなり、左耳だけが聞こえると言う状態となりました。その後も大学病院のめまい外来に継続通院しましたが、「右耳の症状が酷かったので、将来70%くらいの確率で左耳も発症する可能性があるため、気をつけるよう」に言われ、書籍等で治療法の調査を実施。漢方薬、クロレラ療法、カイロプラテッィク、青汁、ハチの子と、メニエル病に良いと言われている内容について、片っ端からやって見ました。背骨を矯正するという、今考えれば怪しげな寝具に25万円払ったり・・、とにかく藁をもすがる思いでいろいろ試したものです。残念ながらこの努力は報われず、3年後には左耳も発症し、右耳の時と同じように聴力の低下と、めまいの症状に悩まされ始めます。その後も右耳と同じような経緯をたどり、毎日ステロイド点滴を受けたりしましたが左耳の聴力は回復せず、仕事に支障が出始めました。この頃には私の耳は両耳とも強い耳鳴りが常時するようになっており、シーンとした静寂を今ではすっかり忘れてしまいました。この間、1週間程度の入院が6回。
45歳名古屋市郊外の耳鼻科医院へ転院
耳の病気に関する書籍を読む中で、関東の大学病院で積極的に行っているメニエル病への治療方法として、耳にステロイドを直接注入する療法を知り、東海地方ではその治療を名古屋郊外の小さな医院で行っていることがわかったため、大学病院での治療をあきらめ、そちらに転院しました。このステロイド注入療法は非常に効果があり、ほとんど聞こえなくなっていた左耳の聴力は直ぐに回復。そこの先生には、私が通っていた大学病院に対して「あそこは直ぐにゲンタマイシンを使いたがる」と言われ、もっと早くステロイド注入治療を知っていれば、ゲンタマイシンを使わずに済み、右耳の聴力も失わずにすんだのではないかと非常に後悔しました。その後、イソバイド、アデホスをほぼ常時服用しつつ、聴力が低下した時にステロイドの注入治療を行ないました。しかしこの治療方法の効果も徐々に低下し、治療を始めて3年くらい経過した頃には、ステロイド注入治療をしても聴力回復の効果はほぼなくなり、単なる気休めのようになっていました。そのため、その他の治療法を再度いろいろ探し、星状神経節ブロック療法を平行して実施したりしましたが、6ヶ月続けても効果は全くないため断念しました。45歳以降はめまいについては1回/年程度で安定しており、この頃の一番の問題は聴力の低下でした。特に冬場になると聴力が低下する傾向が顕著で、感覚的に寒さとめまい発生には相関があると感じていました。また40歳台後半からは、同じく冬になると毎年ひどい口唇炎が必ず出るようになりました。更に50歳頃には緑内障を発症し、点眼薬を使用するようになりました。
53歳耳鼻科の廃院に伴い鍼灸治療
通院していた市郊外の耳鼻科が後継者の問題で廃院となったため、ほぼ一年間、イソバイド、アデホス等の内服薬やステロイドによる治療を一切やめ、鍼灸治療を開始(6ヶ月、2回/週)しました。また「体内の毒出し」と「冷え取り」いうことで、絹の靴下を何枚も履いたり、食生活を変えたりといろいろ試しましたが効果は全く見られず。この間断続的に左耳の聴力が低下(右耳は40歳以降聴力無し)し、仕事へも支障が続きました。しかしながら、めまいについては1~2回/年の頻度で安定しており、やはりこの頃の最大の悩みは聴力の低下でした。
54歳地元耳鼻科
薬を使わない治療に限界を感じ行き詰まりで悩む中、聴力低下が頻繁に発生するようになったため、再度地元の耳鼻科に通い始めステロイド治療を開始。一年間薬による治療をしていなかったためか、当初はステロイドを内服することで、聴力低下はすぐに回復しました。そのためイソバイド、アデホス等をほぼ常用しつつ、聴力が低下した時にステロイドを内服するようになりましたが、半年程度でステロイドの効果は無くなりました。特に寒くなる10月以降は聴力低下が激しく、自分の声が聞こえないレベルまで悪化することがあり、仕事への影響が非常に大きくなりました。更に聴力悪化に加え、めまいの発生頻度が1回/2ヶ月くらいにあがってきました。医者からは、これ以上治療方法はないので、聴力が悪化した時は総合病院に入院するように勧められました。
55歳市総合病院、大学病院、地元耳鼻科
通常は地元耳鼻科に通院し、聴力が低下したときだけステロイドの点滴治療を行うため総合病院に入院するという形を取りましたが、聴力は回復せず、総合病院でもこれ以上の治療方法は無いと言われました。そのため以前通っていた大学病院にも、治療方法の進歩を期待して再度通院しましたが、こちらも耳へのステロイド注入以外には有効な治療法無しと言われました(15年前に通っていた時はステロイド注入をしていなかったので、少しは進歩していましたが・・・)。更にこの年(昨年)の冬からは特にめまいが酷くなり、10月の中旬以降は、平均で2日に1度くらいの高い頻度となりました。まためまいが発生しない時でも、常時の激しい耳鳴りと平衡感覚の違和感で、仕事にも大きな支障が出てきました。その後、1日に発生するめまいの回数も増え初め、酷い時には一日に3回おきることもありました。めまいは夕方帰宅している途上で発生する場合が比較的多く、特に電車に乗っていると途中から回転性のめまいが起こり、本当に困ってしまい、休職することを真剣に考え始めるようになりました。この頃は耳の聴力も常時低下して自分の声も聞こえない状態で、補聴器をしても相手の言葉が上手く聞き取れなかったため、一日中ほとんど人と会話しない日もありました。また休日もほとんど外に出られず、横になる日が続きました。
56歳松本漢方クリニック
毎日のように発生するめまいと平衡感覚の違和感、そして常時の激しい耳鳴りで精神的にもかなり参ってしまい、このままではうつ病になると自分でも自覚し始めた頃、インターネットにてたまたま「メニエル病完治」で検索したところ、松本漢方クリニックがヒットしました。そこにはメニエル病はヘルペスウィルスが原因であり、完治できると書かれていました。20年近く前からメニエル病は難病で治療法はないと、医者からずっと言い続けられていたため、自分も家族もこの病気は完全に治療することは出来ないと信じきっていたので、びっくりしました。名古屋まで出るのに1時間程かかるの場所に住んでおり、大阪の高槻市はすこし遠いなと思いつつも、藁をもすがる思いでその週の土曜日に始めて訪問しました。
初めて訪問した時の印象は、皆さんが感じられた様に昭和レトロの雰囲気と、漢方薬の匂いに驚き、さらに松本先生の強い個性に圧倒され、極め付きは保険の利かない治療費に驚かされました。
処方されたアシクロビル(16錠/日)と漢方薬を飲み始めたところ、その効果は絶大で、毎日のように苦しめられていためまいがピタリと止まり、それ以降全く発生していません。強い耳鳴りは相変わらずですが、聴力の方はというと大幅に改善してきました。利き耳である左耳の聞こえ度合いには波があり、補聴器をしなければ会話が出来ない日と、無くても少し大きな声でしゃべってもらえば会話できる日がありますが、昨年の冬はほとんど毎日が補聴器をしても上手く聞き取れなかったことを考えると、大幅に良化していることは間違いありません。最近は補聴器をする機会もぐっと減るようになりました(ゲンタマイシンで聴力が無くなった右耳は聞こえないままです)。一年前は、朝起きた時に「あ、あ」と発声し、自分で聞こえるかを確認して一喜一憂する毎日でしたが、今はそんな心配も無くなりました(とは言いながらも、毎朝チェックする習慣は治りませんが・・・)。松本先生からも、ステロイドの投薬期間がかなり長いため聴覚神経のダメージが大きいことから、聴力の回復には2~3年はかかると言われており、焦らずゆっくり直せば良いと思っています。とにもかくにもめまいがストップしたため、精神的な苦痛からも開放され、昨年と比較したらまさに夢のような気分です。またその他の効果として、貧血が原因と思い込んでいた立ちくらみが全く無くなったこと、1ヶ月に1回程度起きていた睡眠中の激しい動悸も、めまいと共に無くなりました。特に毎日起きていた立ちくらみが、突然なくなったことには驚きました。ホームページの解説では、これらの原因もヘルペスウィルスと記載されており、自分の経験からみてこの指摘は正しいと感じています。
インターネットで「メニエル病ヘルペス」で検索すると、日本めまい平衡医学会名で「メニエール病の原因としてのヘルペスウィルスの再活性化に対する見解」という文章が上位でヒットします。しかしながらその内容はメニエル病へのヘルペスウィルスの関与を肯定せず、抗ウィルス剤の効用についても否定的な見解が記載されています。多くのメニエル病患者が抗ウィルス剤の効果を認めているのにもかかわらず、その実態を正しく把握しようともせず、従来の主張のみを繰り返している医学会のお偉方は、医者としての初心を忘れていらっしゃるのではないかと感じます。大学病院に通院していた時には、患者の苦しみを真剣に考えることなく、治療を流れ作業的にこなしているような若いドクターも見受けられました。松本先生の仰るヘルペス起因説(メニエル病に限らず)が医学会できちんと認められ、多くのメニエル病患者が、容易に抗ウィルス剤を服用できるような環境になることを切に望んでおります。またそれと同時に、その機会を与えて頂けた松本先生に感謝申し上げます。
<以上>