「子供の頃からの頭痛と鼻炎からの解放 」

40歳女性

平成13年7月の土曜日未明、突然首筋の激しい痒みで目が覚めました。鏡を見てみると首筋に大きく地図のように広がる蕁麻疹で、腫れては引くを繰り返しました。月曜日の朝を迎え、近くの皮膚科に行って抗ヒスタミン剤を処方してもらい服用しました。しばらくすると痒みも腫れも次第になくなりました。あまりの劇的な治り方に感激しながらも、すぐに治るということはまた何度も同じ事を繰り返すのでは?とふと私は思いました。(抗ヒスタミン剤という名のステロイド剤の可能性があります。それはセレスタミンという名前です。)それで別の医師の意見を聞いてみたいと思いタウンページで知ったのが松本漢方クリニックでした。翌火曜日にはもう蕁麻疹による痒みや腫れもほとんど無くなっていたのですが、松本漢方クリニックのことがどうしても気になり訪ねることにしました。

扉を開くと、待合室で待つ人の多さと漢方薬の匂いに実のところちょっと戸惑いました。先生に蕁麻疹がきっかけで受診したこととそれまでの経過をお話しました。私が記入した問診表に目を通されて、蕁麻疹の跡などを診ての診察と説明を受けました。その後、再び問診表に視線を落とされ先生は突然(私にとっては)「君は鼻炎か、頭痛もあるのか、交通事故に遭っていないか?」と聞かれました。6歳の時にオートバイに跳ねられたことをお話しました。すると「治してあげる。鼻炎も治る。肩凝りもあるでしょう、それも治してあげる。薬を合わせてあげるから。」と強くおっしゃいました。先生も頭痛で苦しまれていたが漢方で治られたことを聞き私はびっくりしました。(私がこのような医療が出来るようになったのも20年間も偏頭痛で悩まなければならなかったからです。私が医者になったのはどの医者も私の偏頭痛の原因を突き止めることが出来なかったので、自分の病気の原因を自分で突き止めたかったからです。医学部の二回生の時に整形外科の助教授の診断で判明したのです。その原因は小学校の頃に眼に当たった硬球が右眼の高度視力障害を引き起こすと同時に、衝撃が第二頚椎のズレをも引き起こし、この二つの原因で激しい偏頭痛が生じるようになったのです。その後医者となり漢方との出会いがあり、漢方で偏頭痛をなくすことが出来たのです。この漢方の素晴らしさに目覚め、漢方を熟知していた岳父に漢方を教えてもらい、現在の治療法を確立するまでに至ったのです。従って頭痛持ちに対しては本能的な共感を感じ同じように治してあげたいと思ったのです。このような意味で私の本当の専門は慢性頭痛なのです。実を言えば私の20年に渡って続いた起床時の慢性頭痛の原因もそんなに難しいことではないのです。血圧調節や炎症を発現するのに関わるブラディキニンと平滑筋を強く収縮させるセロトニンが頭痛に関わっています。強いストレスや頚椎症による血管神経の病的圧迫等の原因で神経伝達物質であるセロトニンが大量に血管に放出されるとまず血管が収縮します。睡眠中に血管を開かせる副交感神経が優位になる上に頚椎症の為にさらに過剰に血管が開き、この時血液や組織に存在する蛋白分解酵素であるカリクレインがキニノーゲンという蛋白からブラディキニンを作り出します。できたブラディキニンはさらに血管を拡張し、毛細血管の透過性が上昇し、脳浮腫が局所に生じ、そこに溜まったブラディキニンがいつまでも知覚神経を強力に刺激して痛みが出るのです。このブラディキニンが血管に吸収される正午頃までは痛みが毎日とれなかったのです。漢方はこのような急激な血管の収縮と拡張を調整してくれるのです。)何故なら小学校の時あまりの激しい頭痛と不安に泣きながら帰宅して以来、頭痛で目覚めては鎮痛剤を飲まなければ日常生活を送ることが出来ませんでした。また突然の頭痛と吐き気で食事も取れず、鎮痛剤を飲んで寝る事もよくありました。勿論、以前には脳波検査やレントゲン、CTスキャンなどの検査もしましたが、さしてどこも悪くないと診断されていました。鼻炎についても、耳鼻科で処方してもらった抗アレルギー剤を、症状が出れば飲み治まれば止めるということを繰り返していました。その日は、皮膚に症状が出たらと皮膚の消毒薬と塗り薬、そして煎じ薬を処方してもらいました。今思えばあの頃は資格試験があり、ストレスと暑さと多忙さで体力も落ちていました。そこで様々な薬を長期に渡り無節操に飲んでいたことが蕁麻疹という症状になったのだと思います。蕁麻疹については、その後1度も症状が出ることは無く今日に至っています。

煎じ薬を初めて飲んだときは、ハッキリ言ってとてもまずいものでした。飲み始めて2日目には、飲んだ薬を吐いてしまいました。「良薬は口に苦し」というけれどもこれがそうなのか!?と毎食前に湯飲みに入った薬を見ては思いました。けれど、自分で言うのもなんですが真面目に飲みました。本当に治るのだろうかと不安になることもありました。毎日毎日煎じるのも面倒はありましたが、「あの不快な頭痛が良くなるならば。先生も治ったのだから。」と思い続けて飲みました。煎じている匂いも換気をよくすればすぐに消えてしまうので気にならなくなってきました。

飲み始めてたぶん3ヶ月くらいが経った時、私の手に触った家族が「手が暑い。すごく暖かい。」と言ったのが変化の現れでした。(私の漢方を飲むことによって脳の循環が良くなるのみならず、体全体の血流が改善された為に手足が暖かくなるのです。)また3日に1度は頭痛で目覚めていたのが、1週間に1度になり、2週間に1度になり始めました。それでも頭痛はありましたが、頭痛で目覚めても煎じ薬を飲んで少し安静にしていれば、半日もすれば治るようになりました。その年の冬は、毎年の手足の冷えからくる辛さが少し楽になったようにも思いました。(漢方を飲むことによって脳の局所の鬱血が改善されると共に頭痛を起こしていた部位の組織に溜まっていた発痛化学物質であるブラディキニンも血管に吸収されて流れ去ったからです。漢方の効能の多くは血流を顕著に改善することなのです。)

年も変わり平成14年の春にはすっかり頭痛も減り、日中に頭痛になることは無くなっていました。ついつい煎じ薬を飲むのを忘れがちになるほどでした。でも先生に「きっちり飲まないとあかんで!」と言われ、あともう少しと飲み続けました。またその頃からでしたでしょうか、以前から続いていた鼻水・鼻詰まりの症状がひどくなり始めたので先生に相談したところ、すぐに顆粒になった漢方薬を処方していただき症状が和らぎました。(私は鼻炎の症状も簡単に除去できます。)いつも鼻詰まりとセットでなっていた耳の閉塞感と中耳炎にならずに過ごす事が出来ました。夏には頭痛もほとんど無くなり、気持ち良い目覚めを得ることが出来るようになりました。目覚まし時計が鳴る前に頭がガンガンして目覚めていた日々から解放された今日この頃です。10月末には、先生から「もう大丈夫やね。」という言葉を聞いたときには「やったー!」という感じでした。

今は頭痛の煎じ薬はなく、鼻詰まりの煎じ薬を処方してもらい飲み始めています。まだ2週間ほどですが、飲み始めた翌日から今までのような不快症状が軽減していることに気付き驚いている毎日です。そして今のお薬はほんのりと甘味があり、飲み物としても美味しいものです。(この方も交通事故のために頚椎の一部がずれて血管神経が過度に刺激され、血管の過剰収縮と拡張によって慢性頭痛が生じていたのです。私と同じ病気だったのです。)