全身性強皮症の自分と向き合って
49歳 女性 2017年12月14日
49歳 女性 2017年12月14日
4月末
地元の大学病院で びまん性全身性強皮症と診断されました。肌硬化が広範囲だったこともあり、内臓にも進行している可能性があるので、一刻も早く入院することを勧められました。
原因不明の難病であること、治療法がないこと、命にかかわる病気であることが分かり、夜ひとりになると自然に涙があふれてきました。自分はこれからどうなってしまうのか、今まで通りの生活はできないのだろうか考えると、とても苦しかったです。
5月
幸い内臓に硬化(疾患)はみられずに、2週間で退院することができました。ステロイド治療は、今後の経過をみてから決めることになりました。この時は、まだステロイドの恐ろしさがわかっていなかったので、ステロイドを処方されていたら、なんの疑いもなく、服用していたと思います。
発症時期
7年前の冬、指先に痛みがありました。
5年程前から身体がだるく、休日に寝て過ごすことも多くなり、やる気のでない自分を責めていました。思い通りにならない身体が恨めしかったです。
3年前の冬、指先にレイノー現象がありましたが、冷えからくるものだと思い、深刻には考えませんでした。この頃から寒い季節になると、指先の痛みが頻繁におこりました。病気と診断されてからは、不安もありましたが、体調不良の原因がわかり納得することができました。
肌硬化は、手、腕、脇、顔、首、胸、腹部にありました。
硬化が進んでいましたが、体調不良はすべて更年期のせいだと思っていました。今から思えば、体の変化に目を背けていたような気がします。病気とわかってからは、怖いくらいに症状が進んでいくように感じました。
手はこわばり、人差し指も曲がりにくく、また手先がピリピリと痛くて、手の甲や手首がかたくて、ゴムみたいにピカピカと光って見えました。顔の表情がなく、能面の様でした。皮膚が固くなって、むくんでいるようにも見えます。首と胸もピカピカ、腹部は限局性硬化症と合併症を起こしているので、皮膚硬化だけでなく赤くなっています。
松本漢方クリニックへ
退院してから、偶然、松本漢方クリニックのホームページを見つけました。
松本先生の理論や患者さんの手記を読ませてもらいました。先生の理論は、難しくてすべてを理解することはできませんでしたが、読み進めていくと、ここに真実があると思うことができました。これまでずっともやもやしていたこと、原因不明の病気って何だろう、そんな疑問が晴れたような気がしました。まだ受診もしていないのに、自分は治ると確信することができました。病気がわかってから初めて明るい気持ちになりました。今思うと、どうしてそんな事を思えたのかとても不思議です。
また、リバウンドで一年でも二年でも寝込む覚悟をしました。それでもいい、必ず治したいと思いました。
6月はじめ
松本漢方クリニックの診察
自宅から松本漢方クリニックは片道4時間の道のりです。緊張はしましたが、晴れやかな気持ちで向かいました。絶対に治る、治してみせると強い気持ちが強かったです。
松本漢方クリニックに到着し、待っている間、待合室にも先生の声が響いていました。
診断では、私の話を丁寧に聞いてくださり、入院中の血液結果を見ながら、頭を抱える姿は、とても誠実で、人間味あふれる先生だと思いました。「何も心配することはない。自分が治すんや。怖い病気と違うよ」と言ってくださり、一緒にいた両親とも握手をしてくれました。心強く、ありがたかったです。先生の優しさが伝わってくるようでした。
診察の間にも、ほかの患者さんと電話で応対をされていました。何気ない会話が、私に向けても話されていることが分かり、先生の言葉をすべて聞き逃さないつもりで、耳を傾けました。体が温かくなり、血が通っていくのがわかりました。行きの電車では、手が冷たくて手袋をしていましたが、帰りは冷房が切れているのかと思うほど体がポカポカしていました。
翌朝、手のツボが痛くて、手を振りながら目覚めました。その時、指先の冷えがなくなっていました。漢方を煎じて、朝・昼と飲みました。仕事帰り、ふと腕を触ると、皮膚が柔らかくなっていることに気づきました。車道脇に車を停めて、確認をしました。たった一日、漢方を飲んだだけです、この変化には驚かされました。
肌硬化は日に日によくなっていくのがわかりました。毎日、自分に起きるいい変化をみつけることができました。
そして、その変化は、私だけでなく家族を幸せにしてくれました。
松本漢方クリニックに通うことに反対はされませんでしたが、家族が、標準治療ではないことに半信半疑であることは私にも伝わっていました。それが、だんだんと応援をしてくれるようになりました。毎日の生活を当たり前に過ごせることがとても幸せに感じました。回復のスピードがとても早く、ご褒美をもらっているような気持ちになりました。家事で使うゴム手袋もすぐに要らなくなりました。
食前の漢方は甘くて飲みやすいのですが、食後の漢方は少し飲みにくかったです。また、できるだけ睡眠をとることを心掛けました。無理をしない生活を続けると、日一日と体調がよくなっていくのがわかりました。朝、すっきりと起きられることも多くなり、昨日より元気と思える日が続きました。仕事を続けていたので、日中は辛い時もありました。とにかく眠たかったです。リバウンドがくるまでは、なんとか頑張ろうと踏ん張りました。
あとは、お腹が緩くなりました。ただ、その後、体調が良くなっていくのを感じられたのであまり心配はありませんでした。ただ、団体生活は難しい面もありました。
8月末
松本漢方クリニック2度目の診察
前回の診察から約3か月、体調も2か月を過ぎたころから、ぐっと良くなっていました。この時の血液結果では抗核抗体が1280倍と前回と変わっていませんが、数値はあまり気になりませんでした。
家族のことも相談させてもらいました。時間をかけて話を聞いてくださり「一度診察に来たらいいよ、診てあげるから。治るからね。」と言ってくださいました。長い間苦しかった私の心がほぐれていくのがわかりました。松本先生は、私にとって恩人であり、お守りのような存在です。
9月初め
肩と背中が痛く、体が急にだるくなりました。心配になり先生の理論を読み返すと今体で起こっていることを理解することができました。10日程で痛みがなくなりました。
12月現在
肌硬化はまだありますが、気にならない程度です。寒い日の朝は、右手の人差し指がこわばり少し曲げにくく感じることもあります。レイノー現象がでて焦ることもありますが、この冬を乗り切ろうと思っています。
体調がよく、油断から漢方やヘルペスの薬を少しさぼり気味になっています。完治に向けて、いましばらく頑張っていこうと思います。
全身性強皮症と診断され、絶望の中にいましたが、生きることを諦めなくてよかったと思います。
最後になりますが、すべての全身性強皮症、膠原病で苦しむ方がいなくなればいいなと心から祈っております。