「突発性難聴手記」

50歳男性2013年9月4日

突発性難聴と診断されて

静かな無音に近い環境になると、シーンと言う音が聞こえる事は有りませんか?私自身このシーンと言う音は物心が付いた頃より聞いていたので気にも止めていませんでした。ところが、いつの頃からか?このシーンと鳴っている音が、雑踏の中でも時々聞こえる事が有りました。何か変だな?と感じたのはGWも後半の5月3日。気が付いた時には左耳に聞こえて来るシーンと言う音が、小さなキーンとも聞き取れる音に変わっていました。

翌日の4日には症状が悪化し、耳が遠くなったか?まだそんな歳でも無いだろう?と思っていると、翌5日の朝にはテレビの音が聞こえない・・???え・・???

聞こえないと言うより、出演者が何を話しているのか?・・解らない。

音が入ってこなくなった分、耳鳴りが大きくなってきている。

そう言えば、耳が聞こえなくなるまでに幾つかの症状が出ていた。

まず最初は、何処かにぶつけた様な左後頭部の皮膚の痛みから始まり、眼球の腫れと鎖骨辺りに有る、首の付け根のリンパ節の腫れ。

インターネットで検索すると脳腫瘍等の疑い(眼球が腫れていた為)も有ると。

GWと言う事も有り、医療機関は何処も閉まっている。

諦めて7日まで我慢する事にしたが、正直言って日々刻々と耳が聞こえなくなっている状態なので気が気ではない。

7日朝に会社へ事情説明をして休みを取らせてもらい、総合病院にて午前中に脳のMRIを撮影してもらう。結果、脳は綺麗なもので何処にも異常は見られないとの事。耳鼻咽喉科の受診を進められるも、この病院には該当する診療科が無いので、午後より地元で開業しているS耳鼻咽喉科を受診。

(実はここ数年の行きつけの耳鼻科が有ったのですが、欲をかいて少しでも有名な耳鼻科をネットで検索してしまい・・ここの院長は舞鶴の大きな病院に居た経歴を持った先生なのですが、これが後に後悔する結果になりました。)

オージオメーター(聴力検査機器)で計測した結果は本来12dB位から聞こえていた筈の左耳は50dB以上まで聞こえなくなっていました。

これまでの経緯と次々に現れた症状を説明した後に突発性難聴と診断される。

ステロイドの錠剤と他に数種類の薬を処方され一週間様子を見るとの事でした。

9日には左耳が急に詰まった様になり、症状が悪くなったらすぐ来て!と言っていたにも関わらず、この日は定休日。

仕方なく以前より行きつけのH耳鼻咽喉科へ行くも、他の医院で診察してもらっているので勝手にイジれ無いとの事。10日朝からS耳鼻咽喉科で耳詰まりの話をしたが、まだ1週間経過していないからと・・何の処置も無し。初診より1週間目の13日朝にS耳鼻咽喉科受診するが、全く改善が見られず。紹介状を書くからと言われ、それを持って午後より地元ではメジャーな京都S立病院を受診。

ここでも突発性難聴と診断され、ステロイドを本日より点滴にて9日間連続投与すると説明されて治療開始。

この京都S立病院は外来診察が午前中しかやっておらず、会社に9日間の有給届けを提出して毎日朝から通いました。

その間も毎日Web上で何か良い情報は無いか?自分と同じ症状の人はどんな治療をしているのか?等々とひたすら検索しておりました。

しかし出ているのは突発性難聴は原因不明だの、発症から2週間以内に治療しないと症状が固定される等の話ばかり。

正直、自分の中では左耳はもう治らないのではないのか?

左耳が潰れてしまってもまだ右耳が残っているから・・と半ば諦めかけていました。

しかし、この世の中に原因不明ってあり得るのだろうか?

同じ病気を患っている人達が大勢いるのに原因不明って何?

他の患者さん達はこんな答えで納得しているのだろうか?

ステロイド投与7日目、この日最悪な事に右耳にも耳鳴りが始まってしまいました。と、ここで気になるホームページ「耳ヘルペスになった-はるにわ日記」を発見。その記述の中に「触ると頭の左側の頭皮表面がヒリヒリする。」と言う文言。私の場合は左後頭部でヒリヒリ感と言うよりも、触るととりあえず痛い感じでしたが、先にも述べた様に今回リンパ節の腫れも有ったのでウィルスを疑いました。昨年の冬頃に額に小さな帯状疱疹を患った事も有り、可能性は否定できないなぁと実感。ステロイド投与8日目の朝には右耳も詰まった様な状態に陥り、聴力検査の結果は左耳と同じく50dB以上に低下。

洒落にならない状況に、片耳位なら仕方が無いかと思っていたのですが、まさか両耳が発症するとは。さすがにその時の担当医も驚いた様子で「両耳が発症する事は本当に珍しいのですが・・・。」Webの情報では両耳共に発症するのは、極めてまれな事で1%程度の様です。この時点で先に発症した左耳は5dB程度回復したものの、ピィ~とかプワァ~とかハレーションを起こしている様な状態。TVを観ていても女性の声はピュ~ピュ~と耳元で口笛を吹かれている様にしか聞こえず、右耳は聞こえないで、あぁ・・俺は聾になってしまうのかぁ・・と絶望感だけしか有りませんでした。それでもこの病院はステロイド投与を中止する様子も無く9日目終了。今度はメニエール病用のイソバイドなる薬を処方すると言い出し、1週間様子を見るとの事。はっきり言って私はメニエール病の様な回転性的な目眩等は無い。

そう言えば、ステロイドの投与をする際に、免疫力が急激に下がる為9日間を各3日単位で強・中・弱と言った風に薬を徐々に弱めて元へ戻して行くと言っていたなぁ・・・右耳に発症したのはステロイドの効力が弱くなってきて、免疫力が上がって来たのが要因じゃ無いのか?で、内耳の中で喧嘩が始まったと考えれば7日目辺りから右耳がおかしくなり出したのも辻褄が合う。Web上で様々な難聴の記述を探していると「低音傷害型感音性難聴になって」の手記を見つける。私の症状とは少し違うが、気になったのが記載されていたアシロベック400mg?抗ウィルス剤か?この時点でやっと松本漢方クリニックのホームページと出会いました。ここへ行けばひょっとして助かる?

でも自分の診断された突発性難聴に際しての記事は無いし・・いや、ダメで元々じゃないか?実際、耳が聞こえなくなってしまったら自分には何の仕事が出来るだろうか?

人とコミュニケーション取れなくても、この先も生きていかないと・・と、そんなこんなで転職する事まで考えていました。1週間経過して京都S立病院にて聴力検査するも、両耳共に全く変化は無し。その時の担当医に「先生、これってヘルペスじゃぁ無いの?昨年に帯状疱疹を患ったのだが?初診でリンパが腫れたと説明しましたよね?ウィルスが原因じゃ無いのか?」と聞きましたが、耳の中を見て「う~ん・・今から抗ウィルス剤を入れても効果が有るかどうか?」と、血液検査等で調べようとする様子も有りません。あ~ぁ・・こいつに何を言っても駄目だな、だいたい毎週同じ曜日に来ているのに、ほぼ毎回担当医が変わるのは何故だ?患者の話すら聞かないバカしか居ない病院ではこれ以上期待出来ない!と思い、午後から高槻市の松本漢方クリニックへ行く決心が付きました。

初めて行く高槻市・・・この日は朝から雨でして、これは治らないわ!なんて言われるのでは無いか?涙雨にならなきゃ良いけど・・・等々考えながら・・・期待半分、不安半分。ウロウロと彷徨いながら診察時間30分前には到着!早く着き過ぎたから何処かで時間を潰そうかと思っていると、何やら学生らしき男の子が入って行ったので、え?入って良いの?と、後から付いて行きました。受付で受診の手続きを済ませて問診票を書いて待っていると、血液検査の為に採血するからと呼ばれまして、まず血圧を計測中に松本院長先生登場!少し事情説明をすると「ステロイド入れたんかいなぁ!アホやな~、治りが遅くなるでぇ。大丈夫やぁ、うちで治してあげるから!」・・・と。普通のその辺にいるお医者さんが「うちで治してあげる」って言い切れるでしょうか?・・面食らうと同時に最初の不安は完全に吹き飛びました。

後日この話を心配してくれていた知人達に聞かせると、「えぇ~?治すって言い切らはるの?」と皆ビックリしていました。

診察室では院長先生が「儂が治すんや無い!君の免疫力が治すんや。」

と言われるがままに、「免疫力を上げる為の鍼灸をして帰り!」鍼がどんな物か?ましてや、お灸なども今までやった事も無く・・で、初体験。鍼刺す時は痛いのか?~・・どきどきしながら施術開始。身体のあちらこちらに鍼を刺して行き、耳の近辺や後頭部に鍼を入れられた時に、ポコッ!と音が。ん?あれ?左耳の詰まりが抜けた・・おぉ!凄い!

後は期待していた抗ヘルペス剤のベルクスロン錠と漢方薬を2週間分処方して貰い帰宅しました。それからは松本漢方クリニックで診てもらっている事は言わずに毎週午前中は京都S立病院へ行き(目的は聴力検査だけ)、午後からは松本漢方クリニックへと通いました。

1週間経過後は両耳共に10dB改善!担当医は自分が出したメニエール病の薬が効いていると思っている様だ。松本漢方クリニックにて2度目の鍼灸。帰る頃には右耳の詰まりも抜けていました。血液検査の結果、「出た!水痘ヘルペス!」抗体値が上がっていました。

2週間目には更に両耳10dB改善!京都S立病院にはここでタネあかし。

やはり水痘ヘルペスだったと話すと、担当医曰わく「ん~、症状が見られなかったのですよねぇ。」ですと。「この病院ではこれ以上はして貰う事が無くなったので、もう来ません。」と言い残し退院?して来ました。症状が表に出ないから抗ウィルス剤を出せない、それを聞いて思い出した!帯状疱疹が額に現れた時、皮膚科では確かに間髪入れずに抗ウィルス剤を処方された。

更に冒頭で述べている、H耳鼻咽喉科へ行かずS耳鼻咽喉科へ行って後に後悔したのは、ここ数年に2回程でしょうか?

食物を飲み込む時に喉に妙な痛みが有ってH耳鼻咽喉科で診察を受けた際、リンパが腫れるのは何かのウィルスが原因でしょうと抗ウィルス剤を出して貰っていたのです。

最初からH耳鼻咽喉科へ行っていればここ迄の酷い症状にはならず、少しでも軽減されたかも知れません。松本漢方クリニックでお世話になってもう3ヶ月を過ぎましたが、実際は2ヶ月を過ぎた辺りから変化はほとんど無く、現在は自己責任の上で薬を飲むのを止めています。(万が一の為に少しの分量だけを冷蔵庫で保管しています。)

毎日が劇的に変化する訳でも無く、いったいいつまで薬を飲み続けなければならないのか?それを服用し続けたとしても、本当にどこまで回復するのか?自問自答ですね。

保険適用外のベルクスロン錠を服用している為、経済的にもキツいのは勿論の事ですが、薬を飲み続ける事自体がストレスになってしまいかねません。

今ではしっかり音も人の声も元の様に聞こえる様になり、少し前まで途中で音が途切れていた風鈴の余韻や蚊の羽音までしっかり聞こえる様になりました。

耳鳴りに関しては現在も消えてはいませんが、普段は気になる事も少なくなり、あれ?鳴っているのか?と感じる時は頭の奥の方に小さくチー・・・と言う感じで探さないと聞こえない時も有ります。

体調の変化や肩こり、もしくは首こり等で血流が滞る為か?コンディション?によってはキーン・・・と大きく聞こえる日も有ります。

もちろん自分自身でも耳の血流改善のつぼを押してみたり、浴槽で耳までどっぷりとお湯に浸かって暖めてはマッサージを繰り返したりと日々改善を願いながら努力をしておりますが、耳鳴りの原因と言われている有毛細胞の損傷具合が外観から判断がつかない為、実際には中がどんな様子かは誰にも解らない上に、この細胞は非可逆性で再生しないとも言われています。

若先生にも「できれば耳鳴りも治してあげたいのだが・・・」と言ってもらいましたが、私は「ここまで治してもらっているだけでも十分感謝しています、だって先生達は神様じゃ無いのだから」と話しました。

今は薬を止めて1ヶ月程ですが、時々右耳も左耳も思い出したかの様に、耳が遠くなった後にピーとかプワァ~とか鳴っていますが一時的なもので、すぐ現状復帰します。

今は割り切って、この余計な音まで聞こえる耳と気長に付き合って行こうと思っています。また症状が悪化する様な事が有れば、すぐにお世話になりますね!

院長先生や若先生及び鍼灸師の方々にはただただ感謝しか有りません。

この医院に出会わなかったら、今頃は暗い表情で生きていたかも知れません。

そう考えただけでも背中が寒くなってしまいます。

本当にお世話になりました、そして、ありがとうございました!