「メニエール病を患って 」
30歳 男性 2016年8月14日
30歳 男性 2016年8月14日
【はじめに】
松本漢方クリニックの門を叩いたのは今年1月のことでした。それから約半年かけて、ほぼ完治に至りました。この手記はその経緯をまとめたものです。治療中は、本当にこの処方で正しいのだろうか、本当に治るのだろうかと誰もが疑心暗鬼になると思います。そのような時に少しでも患者さんの心の支えになれば、と執筆いたしました。
【発症】
メニエール病を発症したのは、平成26年7月のことでした。当時私は、28歳にて2度目の転職をしたばかりで、大きな精神的負荷を抱えていました。新しい職場は製菓機械の輸入商社でした。入社前の面接で私はまだ語学力も十分ではないので、一人で海外出張に行くのは無理だと思うと申していたのですが、その約束は入社翌日に早々に破られ、2週間後の欧州出張を命じられたのでした。初めての欧州出張、しかもお客さんも同行します。不安でいっぱいでした。事務所でその準備をしている時に、いきなり目が回り、倒れてしまいました。出張の1週間前のことでした。その3日ほど前から耳鳴りが聞こえており、気になってはいました。
近くの耳鼻咽喉科に行き、聴力検査などを受けると、メニエール病と診断されました。当時は名前すら聞いたことがなく、医師から「精神的ストレスなどにより蝸牛や三半規管が水膨れになる。」というような説明がありました。この水膨れを抑制するためにゼリー状の利尿剤を処方されました。幸いなことにステロイドは含まれていなかったように記憶しています。
それからというもの、2週間ほど毎食後に医師から処方された薬を飲みましたが、一向に治りませんでした。発作的な眩暈はその後ありませんでしたが、耳鳴りはだんだん強くなっているような気がしていました。また、医師の処方にだんだんと違和感を持ち始めました。耳が水膨れになっているから、利尿剤を処方するということの意味に気付き始めたのです。よくよく医師の処方箋を見ると根本的な原因を取り除く処方は何一つありませんでした。水膨れの水をひかせるという対症療法でしかないのです。水膨れを引き起こす原因を取り除くものは何もないのです。風邪をひいて熱が出ている人に解熱剤を出すような処方でした。風邪だって抗生剤を飲ませるか、飲ませないにしても睡眠や安静を保つなど、別の方法で体内のウィルスをやっつけないことには治りません。解熱剤ではいつまでたってもよくなりません。逆に発熱という抵抗手段を失った体はウィルスを攻撃できなくなりますので悪化することでしょう。これは私の子供の小児科医が「現代医学の常識」と言っておりました。この小児科医が正しいことを言っているとすれば、耳鼻咽喉科の医者の処方は筋違いなように思われてきました。
そこで異なる治療を探し始め、以前お世話になった整体の先生に相談したところ、治療に応じていただき、治療後1週間ほどたった後、眩暈も耳鳴りもしなくなりました。松本先生の理論から推測するに、恐らく整体治療により免疫力が上がり、ヘルペスウィルスとの戦いが終わったのでしょう。この時はこれで一件落着、メニエール病のことは忘れていました。
【再発】
2015年7月、再度耳鳴りが聞こえ始めました。この時も過度のストレスを感じていました。当時、私は札幌に長期出張中で欧州製の製菓生産ラインの立上げに携わっていました。受注額が2億円にも及ぶこのプロジェクトは、私のサラリーマン生活で最も大きなものでした。欧州から何人ものエンジニアがやってきます。彼らと日本人のエンジニアやお客さんを取り持つのが私の役割でした。お客さんから見れば、そこで起きるすべての不祥事は私の責任になるわけです。毎日、あらゆることが起きます。さらに、その他のお客さんから依頼を受けた雑務もこなしていました。このため寝不足の状態でもありました。一応、耳鼻咽喉科に行き、再度聴力検査を受け、メニエール病との診断を受けました。ただ、薬は効かないことが分かっていたため、ほとんど飲みませんでした。
2015年8月、一時的に栃木の自宅に帰宅した際、整体の先生に相談に行き、治療してもらえましたが、今度は治りませんでした。
2015年10月以降、プロジェクトも一段落し、メニエール病の治療について考えるようになりました。Google等で検索して、いろいろ分かってきたことは・・・・
1.蝸牛や三半規管が水膨れになった時に症状が出る。
2.ただし、これらの原因はよくわからない。
3.どうも精神的ストレスが関わっているらしい。
4.一生治らない病気、として付き合っていく必要がある。
がっくりと来ました。ある芸能人もメニエール病を患っているらしく、「耳鳴りは治まらないが、人間という生き物はこういう状況に慣れてくるので、今ストレスはないです。」という趣旨の発言をしていました。一生治らない病気に罹り、強がっているようにしか見えませんでした。また同時に、原因も分からないのに薬を処方する医師たちに強く嫌悪感を抱きました。根本的治療をしようにも、原因が分からないため、根本的治療ができないのです。本当にそうなのかは分かりませんが、少なくともそういう建前なのでしょう。
さらに調べていくと、様々な治療法が出てきました。鍼治療、漢方治療、運動療法、ストレスのない生活を送ること、などなど。残念ながらどれも根拠に乏しいものに感じました。そもそもその治療でなぜ治るのかを一切説明してくれていません。比較的わかりやすいことをおっしゃっていたのが、ストレスがこの症状の原因なのだから適度な運動をして、ストレスのない生活を送れば治ると述べている眩暈専門医の先生でした。しかし、私は運動が嫌いなので運動をすることによりストレスをため込んでしまいます。また、この仕事をしている限りストレスは付き物ですし、だからと言ってすでに2回も転職しており、再度会社を辞めるわけにもいきません。加えてストレスがなぜ耳鳴りや眩暈につながるのかもよく分かりませんでした。従ってこれも私にとっては有用な治療法ではないように感じました。
そして漸くしてから松本漢方クリニックのウェブサイトを見つけました。「メニエール病は完治する。その理論と証拠」の中で、松本先生ははっきりとその症状の原因をヘルペスウィルスだと指摘していました。そしてヘルペスウィルスと抗体が戦うときにメニエール病の症状が出るという結論でした。免疫がヘルペスとの戦いに勝った後、根本的に病気は完治すると書いてありました。メニエール病の治療に一番飲んではいけないのが免疫を抑制するステロイドだとのことでした。これは前述の小児科医の解熱剤に対する見解と一致します。
医学や生物に関する専門知識がありませんので、その真偽を私のレベルでは判断できませんでしたが、今までの先生方に比べると遥かに具体的で論理的な説明がされていました。漸く試す価値のある治療法に出会えた気がしました。
【松本漢方クリニック訪問】
今年の1月、大阪に出張に行く機会があり、松本漢方クリニックを訪問しました。皆さんがおっしゃるように強い漢方の臭いが印象的でした。診察の前に鍼灸治療が行われ、その後、診察となりました。前述の経緯をお伝えし、「免疫があんたを治すんや、必ず治る!!」と言われました。ただこの時点で、私にはこの処方でメニエール病が完治するという確信はありませんでした。松本先生のお言葉と皆さんの手記に勇気づけられつつ、またこの他に有効と思える治療法もなかったため、とりあえず試してみようと思っていました。
毎日下記を実践するよう指示がありました。
1.アシクロビル 毎食後&寝る前 各3錠の服用
(計12錠/日です。最初は驚きました。)
2.漢方薬を煎じて飲むこと(面倒くさそう・・・というのが第一印象です。)
3.灸の治療
(これも面倒くさそう、多分毎日は無理だろう・・・と思いました。)
その後、会計となりましたが、その額の大きさに驚きました。保険が効かない旨、文章で説明されていたので、嫌な予感はしていたのですが、財布の中のお金が全部消えてしまいました。
【服用/実行状況】
第一印象の通り、毎日の漢方と灸を行うのはかなり大変なことです。特に私は出張の多い生活なので、これらの実行はかなり困難を極めました。最初に漢方を煎じてみましたが、いつの間にか水が全部蒸発してしまい、鍋が空焚き状態になっていました。そこで、「文火楽々(とろびらくらく)」という自動漢方煎じ器を購入し、出張中も持ち歩くこととしました。これは水と生薬を入れスイッチを入れれば、勝手に煎じてくれるので大助かりでした。2万円弱でAmazon等にて買えますので、お勧めです。灸は休日や時間のある日のみ行っていました。(最近はずっとやってません・・・。)
【病状経過】
私の場合、眩暈の発作は2014年7月に事務所で倒れた後はありませんでした。その代り、耳鳴り(左耳のみ)がひどく、ほとんど聞こえない状態の時もありました。治療開始後1、2ヶ月は状況に大きな変化はありませんでした。あまりにも変化がないので、松本先生に「どのくらい完治まで時間が掛かるんですか?」と聞いたら、「耳の中のヘルペスウィルスの数を数えればわかるかもしれないが、そんなのできるか!」と怒られたことをよく覚えています。
変化があったのは治療開始後2ヶ月がたった3月頃です。段々、耳鳴りの音が高くなってきました。ヘルペスと抗体が戦っている戦場が変わってきているのだろう、というような説明を松本先生から受けました。4月の中旬の頃になると、もっと耳鳴りの音が高くなり、音が小さくなってきました。6月初旬になると、耳鳴りが無い日も出てくるようになりました。そのような中、松本漢方クリニックを訪問し、鍼灸治療を受けました。すると直後から、なんと低い音の激しい耳鳴りが再発しました。以前よりもひどい耳鳴りでした。その後3週間は低い音や高い音の耳鳴りが聞こえてきました。恐らくこの時期、免疫が弱っており、鍼灸治療によりこの免疫が活性化されたため、このようなことになったのでしょう。2週間ほど続きました。この時点で松本先生に「ほぼ治りました!!」と連絡しました。
7月中旬、再度耳鳴りが再発しました。この時期、耳鳴りのあるときは1~2時間の間で低い音から始まりだんだん高くなり次第に収まっていきました。この周期が幾度となく繰り返されました。溜まりに溜まった代休を消化するため、7月27日からお盆明けまで、長期休暇となりました。その後も耳鳴りは続きました。先週(8月第1週)後半あたりはほぼ耳鳴りのない状態になりましたが、夜と朝のみ激しい耳鳴りを感じました。今週(8月第2週)に入ってからはほぼ耳鳴りを感じなくなりました。時間を問わず、僅かに高い耳鳴りが聞こえる程度で、「小康状態」が続いています。後は、仕事が始まって再度ストレスを感じる状況に陥ったときにまた耳鳴りを感じるのかどうかがポイントだと思っています。
全体を通してみると、ストレスを強く感じる仕事を抱えている時に耳鳴りが無くなり、少しホッとすると耳鳴りが強くなるという傾向があるように思います。ストレスが強いときは免疫が弱まり、耳の中のヘルペスが増え、ホッとすると今度は免疫が高まり、免疫がヘルペスと戦うために耳鳴りが聞こえる・・・という具合だと思います。また、左耳が収まっているときに、右耳で弱い耳鳴りがする、ということもあったことを付記しておきます。
【終わりに】
今後、本当の完治までにどのくらいかかるか、分かりませんが、少なくとも現在はほぼ完治の状態です。どうも松本先生のお考えに、間違いはなかったようです。お世話になっている松本先生をはじめ、関係者の皆様に感謝申し上げます。耳鳴りのある中での仕事は、ただでさえストレスのある仕事をさらにストレスフルにしました。このような状況でも、(今回の代休消化を除き)仕事を休むことなくほぼ完治に至ったことは、私自身にとっても大きな自信となりました。
闘病生活を通して分かったことは、病気を治せるのは自分自身だということです。これは「自分の免疫」という意味だけでなく、治療法を自分で調べ、自分で考え、自分で選び、自分で費用を払い、自分で努力しなければ治らない、ということです。もちろん、その過程で松本先生や自分の家族をはじめ、多くの方に協力頂くわけですが、究極的には自分で治すものだということを強く感じました。同じメニエール病やその他の病と闘う皆様がこの手記を読み、少しでも治癒の一助となれば幸いです。長文にもかかわらず、最後まで読んでいただきましてありがとうございました。
以上