「アトピーと鼻炎」

29歳2004年8月13日

治療を始めて、この夏(2004年)で、丸3年が経ちました。去年、一昨年は、ステロイドの離脱やアレルギー症状でつらい日々でした。今年の夏は、あせもが出る程度で、普通の生活を送っています。やっと普通の生活が出来るようになり、嬉しく思っています。これまでの経過を振り返りたいと思います。

私が初めてアトピー性皮膚炎と診断されたのは、小学校1年生でした。子供の頃の記憶ははっきりとしませんが、一番ひどかったのは、小学4年生の夏だったように思います。皮膚科に通うのはもちろん、色々な民間療法も試みましたが、効果があったのかどうかはわかりません。

中学生になると、自然に症状はなくなりました。ですから、塗り薬が手放せなかったとか、辛くて学校を休んだ、ということはありませんでした。

アトピーの症状が再度現れたのは、成人してからでした。正確には、就職して、夜勤をするようになってからです。子供の頃の症状とは違い、手首から先だけに症状が現れました。手のひらも手の甲も、両面がひび割れ、皮膚のシワも無ければ、血管も見房えない程腫れて、浮腫んでいました。バンソウコウ、包帯、綿手袋、ゴム手袋をして、仕事をしていました。夜も、痒みで、熟睡はできませんでした。就職中は、漢方の病院へ通っていましたが、勤務が変則的で、きちんと煎じ薬を服用できず、通院もできず、治療に専念できませんでした。

結婚の為、退職すると、手の症状は治まってきましたが、今度は、顔や耳、胸部などに症状が現れるようになりました。症状に波がありましたが、徐々に症状が広がり、悪化していきました。

この頃、四国のT病院を紹介されて、食事制限や、塗り薬で治療していきました。症状は軽くなりましたが、なかなか薬を手放すことはできませんでした。また、食事の制限がある為、ストレスも多くなり、「食事制限ができないために、症状が良くならないのだ。」と、自分を責めるようになりました。そのうち、T病院にも通わなくなりました。

症状は軽く経過していましたが、出産してから約一年後くらいに、急激に悪化し始めました。ステロイドは塗りたく無かったのですが、微熱も出るようになり、近所の皮膚科で、「こんな状態だったら、塗らないと駄目です。」と言われ、ステロイドを使ってしまいました。それでも劇的に良くなる事はありませんでした。

この頃インターネットで、松本漢方クリニックのホームページに出会いました。「もう、何をしても治らないのだ。」と思っていたのですが、手記を読んで、「治るかもしれない!」と思いました。しかし、あまりの闘病記にびびってしまい、なかなか治療に踏みだすことができませんでした。

治療に踏みだすきっかけとなったのは、1歳になる子供でした。「この先、子供が幼稚園や学校に行くようになった時、母親のせいで、いじめにあってしまうかもしれない。」と考えたからです。「それだけは、避けたい。」と思い、松本漢方クリニックでの治療を決心しました。

2002年8月、松本漢方クリニックでの治療開始。微熱があったので、抗生剤の内服から始まりました。そして、煎じ薬の内服。2~3日で熱が落ち着いてきたので、薬浴を開始。顔、首は赤く腫れ、弱い所はひび割れ、リンパ液がにじんでいました。発汗多量だが、クーラーにあたると、ピリピリと痛い。首には、ガーゼとタオルを巻いて、過ごしていました。

一週間経つと、両足に赤い湿疹がでて、痒い。顔や首の症状は、相変わらず。耐えがたい痒みは、ずっと続く。首は、空気に触れるだけで、ピリピリと痛い。動くのが辛く、日中もうたた寝することが多くなった。リンパ液の匂いが、臭い。全身ヒリヒリ。入浴後、皮膚が剥がれても、下の皮膚も、赤黒い。治療開始後1ヵ月は、このような状態だった。その後は、首の腫れが軽減してきたが、やはり皮膚は赤黒く、他の症状も、あまり変化がない。

それでも、9月半ば、子供を連れ、5分ばかり外を散歩するまでになった。季節が秋になり、過ごしやすくなると、症状は軽くなっていった。この頃辛かったのは、足の付け根。シワに沿って、ほとんどがひび割れて、リンパ液がにじんでいた。痒みも辛いが、トイレの時、しみて痛く、苦痛だった。トイレを我慢してしまう程、苦痛だった。しかし、この症状は、半年も続いた。秋冬は、全身に症状が見られたが、何とか普通の生活を送ることができた。

しかし、次の年(2003年)の春。また症状がでてきた。今度は、リンパ液こそでなかったが、皮膚の痒み、乾燥、赤みが主だった。夏にかけて、どんどん酷くなり、全身の皮膚が、軽い火傷をしたような感じで、薄いピンクの長袖長ズボンをはいているようでした。正常な皮膚のように、しなやかさがなく、関節を動かすと、皮膚が伸びないので、体を動かすたびに、ヒリヒリと苦痛でした。

この年は、前年よりも体重の減りが激しく、38kgまで落ちてしまいました。プロテインを飲んでいましたが、全く体重は増えませんでした。体がだるく、生活の意欲も低下していました。子供を外に連れて行くこともできず、周りの家族に頼りっぱなしでした。この年は、アトピーが治るようにと、調子の良い時に、少しずつ千羽鶴を折っていました。薬浴は、ずっと入り続けていました。毎日、古い皮膚が剥げるのに、次の日には、また皮膚が剥げる、の繰り返しでした。

11月下旬頃、症状が落ち着いてきました。皮膚も剥がれなくなり、12月には、薬浴を卒業し、普通のお湯に入るようになりました。また久しぶりに、家族で、遠出(ドライブ)をしました。体に負担がくることも無く、普通に過ごせました。この時初めて、治療のヤマ場を超えたのかな、と実感しました。

2004年春。また夏に向けて、症状が現れるのでは、と心配していましたが、落ち着いていました。しかし花粉症になってしまい、くしゃみ、鼻水、目の痒み、目ヤニ等の症状が現れました。松本先生に、電話で症状を伝えると、「アトピーの煎じ薬から、花粉症の煎じ薬へと変えましょう。」とのことでした。花粉症の煎じ薬は、飲むと、急速に鼻詰まりが治るので、すぐに楽になりました。

5月に入ると、花粉症の症状は、自然に軽くなっていきました。そしてこの夏、汗疹の症状はありますが、それ以上に悪化することなく、経過しています。

以上が今までの経過です。余談ですが、子供は、1歳前に、卵アレルギーであることが分かりました。食べると、体にブツブツが出るのです。子供とは、毎日、一緒に薬浴に入っていました。現在、3歳になります、が卵を食べても、体にブツブツがでることはありません。先生からは、「薬浴に一緒に入り続けたことにより、子供のアレルギーも、治ってしまったのだ。」ということでした。

また、治療を始めてから、生理も止まっていましたが、それも正常に戻り、現在二人目を妊娠中です。まだ完治宣言をしていただいてないので、正直、その事実に戸惑いましたが、この2~3年の事を思うと、本当に信じられません。嬉しいです。

事実、もう二人目は、諦めていました。あまりに、自分の置かれている状況に絶望し、普通に生活できることを、ずっと羨ましく思っていました。洋服にしても、デザインより素材。暑い夏でも、半袖を着る事ができない。薬の色が染み込むので、それが目立たない色。髪の毛も、生え際が抜けてしまい、顔の症状を隠す意味も含め、いつも帽子を深くかぶっていました。何より、人の目が気になるのです。

身体的な苦痛と同時に、精神的な苦痛もあじわってきました。アトピーで苦しんでいる方、治療中の方、皆さん、同じ思いをされているのではないかと思います。でも、必ず良くなります。

また、治療を受けるにあたり、松本漢方クリニックの治療方法を理解してくれ、励まし、支えてくれた家族に感謝します。

私は、普通の生活を送れるようになりましたが、完治するまでは、根気よく治療を続けていくつもりです。