○ 『め』。言霊メの発生。
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アメのメ。1。
言霊メ。妹(いも)速秋津比売(はやあきつひめ)の神
メはローマ字式で書くと、MとEとMeで三つに分かれます。
アメのアはAだけで、母音は息の続くかぎり同じアーーーとなるためです。
メの場合はEの母音を発音する前にMによる塞がれた戸を開けなければなりません。
MがEと結ばれてMe の子供が誕生します。
子音はこのように、MとEとMeの三つの言霊要素に分かれます。
古事記では言霊要素Mは言霊ミ ( M )妹活杙(いくぐひ)の神で表記されています。
各言霊を下に引用します。対となる相手も記していきます。
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言霊キ、ミ ( K / M )
角杙(つのぐひ)の神。妹活杙(いくぐひ)の神。
言霊キの韻は掻き繰る動作を示します。何を掻き繰る(かきくる)か、と言うと、自らの精神宇宙の中にあるもの(経験知、記憶等)を自分の手許に引寄せる力動韻のことです。
父韻ミは自らの精神宇宙内にあるものに結び附こうとする力動韻という事が出来ます。
人は何かを見た時、それが何であるかを確かめようとして過去に経験した同じように見える物に瞬間的に思いを馳せます。この動きの力動韻が父韻ミです。
またその見たものが他人の行為であり、その行為を批判しようとする場合、自分が先に経験し、しかもそういう行為は為すべきではないと思った事が瞬間的に自分の心を占領して、相手を非難してしまう事が往々にして起ります。心に留めてあったものが自分の冷静な判断を飛び越して非難の言葉を口走ってしまう事もあります。これは無意識にその経験知を掻き繰って心の中心に入り込まれた例であります。
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言霊エ、言霊ヱ (E/e)
国の常立の神。豊雲野の神。
国の常立の神は言霊エ、豊雲野の神は言霊ヱであります。
国の常立の神とは国家(国)が恒常に(常)成立する(立)根本の実体(神)といった意味です。この宇宙からは人間の実践智が発現して来ます。言霊オから発現する経験知が過ぎ去った現象を想起して、それ等現象間の関連する法則を探究する経験知識であるのに対し、言霊エから発現する実践智とは一つの出来事に遭遇した時、その出来事に対して今までに剖判して来た言霊ウ(五官感覚意識に基づく欲望)・言霊オ(経験知識)・言霊ア(感情)の各人間性能をどの様に選(えら)んで採用し、物事の処理に当るか、の実践的智恵の事を謂います。経験知と実践智とはその次元を異にする全く別なる人間性能であります。
豊雲野(とよくも)の神なる神名は豊(十四〈とよ〉)を雲(組〈く〉む)野(領域・分野)の神(実体)といった意味であります。十四を組む分野の実体と言いましても意味は分かりません。
豊雲野の神の「雲」が示す「組む」という働きが実際には主体である母音と客体である半母音を結び組むことを意味しているという事、また母音五、半母音五の中で、半母音五を言霊ワの一音で代表させますと母音と半母音は六、それを結び組む八つの父韻八、六と八で合計十四となります。
人間の実践智の性能とは結局はこの十四の言霊をどの様に組むか、の性能の事なのであります。これは言霊学の基本となる法則であり、豊の字は日本国の古代名である豊葦原水穂国にも使われております。
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言霊ケ、メ (Ke.Me)
水戸(みなと)の神名は速秋津日子(はやあきつひこ)の神、妹(いも)速秋津比売(ひめ)の神
水戸とは港の事であります。
速秋津とは速くすみやかに、あきらかに渡す、という意味です。
頭脳内の細い川のような所を通って先天の意図が一つのイメージにまとまって来て、終に川から海のように広い口腔に達し、そこが港、それから向うは海となります。
言霊ケ、メはイメージが言葉に組まれる直前の集約された姿のことです。
この明らかにイメージとしてまとまったものも霊と体、主体と客体を分け持っております。
言霊ケは気であり、主体であり、また霊であります。言霊メは芽、目で客体であり、体であります。
言霊メは女(め)・目(め)・芽(め)・姪(めい)・飯(めし)・恵(めぐむ)・廻(めぐる)・召(めす)・雌(めす)・捲(めくる)等に使われます。
ーーーーーーーーーーーーーー 以上。
アメのメ。2。
言霊メ。妹(いも)速秋津比売(はやあきつひめ)の神
(メ)MがEと結ばれてMe の子供が誕生します。
古事記はギ、ミの命のまぐわいから子供(子音)が誕生することを告げています。
始めに失敗談がでてきます。蛭子と淡島です。
最初に女が発声したというのは、母音を先に発音したということで、母音Eを発声して、その後に男がMを発声してもE-Mでは子音は発音、創造できない。それでも、ウーウームームームニャムニャというように意味不明な発声だけが産まれてしまう。それを蛭子といい、ひるこ=霊流子=ヒが流れさって実態を持つ子とならない、を産むことになる。
同様に女-母音と男-父韻が互いに相手を考慮せずに自分の都合だけを主張していくと、アーアーアムームームブクブクフクと実体のない泡あぶくのような淡島しか出てこない。
日常生活時にはこういったことは普通にあり、禁止してもできないことなのでそのまま世界に流通させたということです。
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言霊ミ ( M )
妹活杙(いくぐひ)の神。
父韻ミは自らの精神宇宙内にあるものに結び附こうとする力動韻という事が出来ます。
人は何かを見た時、それが何であるかを確かめようとして過去に経験した同じように見える物に瞬間的に思いを馳せます。この動きの力動韻が父韻ミです。
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言霊エ (E)
国の常立の神。
国の常立の神は言霊エであります。
国の常立の神とは国家(国)が恒常に(常)成立する(立)根本の実体(神)といった意味です。
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言霊メ (Me)
妹(いも)速秋津比売(はやあきつひめ)の神 。
速秋津とは速くすみやかに、あきらかに渡す、という意味です。
言霊メはイメージが言葉に組まれる直前の集約された姿のことです。
言霊メは芽、目で客体であり、体であります。
言霊メは女(め)・目(め)・芽(め)・姪(めい)・飯(めし)・恵(めぐむ)・廻(めぐる)・召(めす)・雌(めす)・捲(めくる)等に使われます。
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古事記は非常に省略簡略された世界なので、理解が難しい。、キミの命のまぐあい、母音父韻のまぐあいといっても実際にはどういうことなのか簡単には出てこない。
MとEとがムーエーむえーとなって、メを発音して造ってみせることはできるが、言葉となっているメに魂を感じることは難しい。、言霊メは女(め)・目(め)・芽(め)等に使われると言われても、木の芽草の芽を前にして睨めっこしてもなかなかうまく芽がでない。
そこで頼りになるのは教科書である古事記と自分だけとなってしまう。
このようにグチもでてくるが、これをグチが出る芽として捉えると、今丁度その時に当たっているというオチができる。
冗談はさて置いて、ここで休憩。
アメのメ。3。言霊メ
古事記では何かが産まれる時には必ず何らかのお膳立てがされています。
天御中主の誕生の時、そのまえに天地と高天原がある。
オノゴロ島を造る時、沼矛と天の浮き橋があり、天つ神の依頼がある。
ギミのまぐあいの時、天の御柱と八広殿がある。国を産もうと思う。
国うみ、神産みの時、天つ神に聞いてから、天の御柱を廻る。
健御雷の男を産む時、泣いてから、十拳の剣とかぐつちの首がある。
禊の前に、禊をすると言う。あはき原と投げ捨てるもろもろの物がある。
天照大御神を引き出す時、思金の思いと鳥の鳴き声その他を細々と用意する。
その他。
ほとんどに共通のところは、剣杖柱など判断の基準となる象徴があることと、言依思いなどがあって、それが繰り広げられる場所がある、というところにある。
ことに岩戸開きのところでは多くの手順が示されてるようですがうまく理解できません。岩中にいる天照をこれから産まれる言霊メとして、天手力男に引き出されてメとなるように思えますが、簡単ではない。
桶を伏せているので、何かを逆さにすることが必要なようです。またどよめきのインパクトはかなり強烈でなくてはならないようです。左右の反転する鏡も何を指しているか?。
さて、今度は言霊メを芽生えさせることです。
どんなお膳立てが必要なのか。
いまあるのは、
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言霊ミ ( M )
妹活杙(いくぐひ)の神。
父韻ミは自らの精神宇宙内にあるものに結び附こうとする力動韻という事が出来ます。
人は何かを見た時、それが何であるかを確かめようとして過去に経験した同じように見える物に瞬間的に思いを馳せます。この動きの力動韻が父韻ミです。
言霊エ (E)
国の常立の神。
国の常立の神は言霊エであります。
国の常立の神とは国家(国)が恒常に(常)成立する(立)根本の実体(神)といった意味です。
言霊メ (Me)
妹(いも)速秋津比売(はやあきつひめ)の神 。
速秋津とは速くすみやかに、あきらかに渡す、という意味です。
言霊メはイメージが言葉に組まれる直前の集約された姿のことです。
言霊メは芽、目で客体であり、体であります。
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言霊ミ( M )の妹活杙(いくぐひ)の神が、言霊エ(E)の国の常立の神に働きかけて、言霊メ(Me)妹速秋津比売(はやあきつひめ)の神を産むということです 。
これでもう言霊子音メが産まれちゃったわけですが、どのようにしてなのかがさっぱり分かりません。
剣矛に相当するのは言霊ミ妹活杙(いくぐひ)の神で、
柱とか原に相当するのが言霊エ国の常立の神と思います。
そこに足りないものは思金の神とか依頼とか禊せむという意志ではないかと思う。
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そこで、わたしは木の芽に成り済まし、自分のように見てみたい。
わたしにはまだ名前は無い。
わたしはこれから芽を産むだろうと期待はしているが、まずわたしがここにいることから始めよう。
わたしは自分でここにいるのではない。両親の雌蕊と雄蕊によってわたしが誕生しこの地に植えられている。わたしかここまで大きくなったのは条件が良く成長の幸運があったからだろう。
条件とか生育するための幸運とかは数え挙げれば無数にある。すなわち八百万の神が、神集い集いてという天の岩戸の話と繋がってくる。天の安の河原はわたしの生育に安定した場ということだろう。
時が経ち大きくなってくると自分の中に自分の分身のようなものが動き始めうずき揺さぶられる思いがでてくる。それは何であるか形はまだなくその姿は形成されてもいない。それを高御産巣日の神がその思金におもはしてと言っている。
わたしにゆさぶられる思いがぼやっと出てくる。しかし、自分でもそれは実際にはどのような揺れなのかは分からない。原が減ってなのか、考えることが増えて頭が奮えるのか、右枝か上枝か、前にもそんなことはあったのか探して動いているのかどうにも検討がつかない。
そこで出てくるのが天手力男の神で、わたしは何であるか、わたしの方向性を決めていく。彼はわたしが単なる樹木であり、新芽の為に水分養分を吸収するために動いたのであり、右の方が日当たりがいいので右を選んだりしていく。
天手力男の神はわたしの胎動を感じて、その将来に芽になるだろうものに条件を結び付けていこうとしている。その行いは芽の出ていくまで続いていく。
受精した始めは何にも感じられなかったが、どんどんと水分養分が将来の芽となるものの方へ移動していく、この動きはわたしばかりでなくわたしの回り、わたしの条件環境をも取り込むように大きな動きとなっていく。そのことを天宇受売の命のどんちゃん騒ぎで示している。
とうとう木の皮を破る時がきました。天手力男の神の最後の仕事です。こうして発芽しました。
新芽はまだ木でなく枝でなく葉でもありません。でもそこにあるのは将来の集約された姿ですq
言霊メの誕生です。
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26。 水戸(みなと)の神名は速秋津日子(はやききつひこ)の神、
27。妹(いも)速秋津比売(ひめ)の神
言霊ケ、メ 水戸とは港の事であります。速秋津とは速くすみやかに、あきらかに渡す、という意味です。頭脳内の細い川のような所を通って先天の意図が一つのイメージにまとまって来て、終に川から海のように広い口腔に達し、そこが港、それから向うは海となります。言霊ケ、メはイメージが言葉に組まれる直前の集約された姿のことです。この明らかにイメージとしてまとまったものも霊と体、主体と客体を分け持っております。言霊ケは気であり、主体であり、また霊であります。言霊メは芽、目で客体であり、体であります。
言霊ケは木(け)・毛(け)・気(け)・日(け)・蹴(ける)・穢(けがれ)・消(けす)等に使われ、言霊メは女(め)・目(め)・芽(め)・姪(めい)・飯(めし)・恵(めぐむ)・廻(めぐる)・召(めす)・雌(めす)・捲(めくる)等に使われます。
以上、大事忍男の神より妹速秋津比売の神までの十神、タトヨツテヤユエケメの十言霊の説明を終えます。これ等十神、十言霊が精神宇宙に占める位置を津島と呼びます。津とは渡すの意。意識では捉えることが出来ない心の先天構造の働きが実際にどんな内容、どんな意図があるかを一つのイメージにまとめる過程の働き、現象であります。この十個の言霊の働きによって、先天の活動を言葉として表現する次の段階に渡す、即ち津島であります。またの名を天の狭手依比売(さでよりひめ)といいます。先天の活動が狭い処を通り、手さぐりするように一つのイメージにまとまって行きますが、まだ言葉にはなっていない、すなわち秘められている(比売)の段階という意味であります。子音創生の話しはこれより佐渡の島と呼ばれる段階に入ります。
【註】「古事記と言霊」の中でこの津島の十言霊の後半にありますユエケメの中の言霊ユとメを取り上げて、これが日本語の「夢」の語源となる理由を示唆している、と書きました。意識外の先天構造の動きが津島と呼ばれる十言霊の働きによって次第に一つの建造物の如くイメージにまとまって行き(言霊ヤ)、それが湯が湧き出すように(言霊ユ)現われ、そのイメージが言語と結び付く直前の処まで、即ち発声器官に渡される境目(言霊エ、ケ、メ)にまで来た状態、しかし確実な言葉と結ばれてはいない(秘められている)様子、夢とは其処に深く関係する、と言う訳であります。読者の皆様もこの夢多き人間の心の活動と言葉との関係探索の旅を自らの心の中に楽しまれたら如何でありましょうか。
26。水戸の神名は速秋津日子の神・言霊ケ、
27。妹速秋津比売の神・言霊メ
水戸とは港の意です。速秋津とは速やかに(速)明らかに(秋)渡す(津)という事。心の先天構造から発し、頭脳内の細い川と譬えられる処を通り、一つのイメージにまとまり、集約されて海に譬えられる口腔に辿り着きました。そこが港です。言霊ケとメは一つに集約される現象です。ここでも霊と体の区別は明らかで、言霊ケは気であり、主体であり、言霊メは芽であり、眼であり、客体であります。これまで言霊タから言霊メまでの十言霊の働きで、先天の意図がはっきりと一つのイメージにまとまり、次の段階でこのイメージに言葉が結び付けられます。
言霊ケに漢字を当てますと、気(け)、消(け)す、毛(け)、蹴(け)る、煙(けむり)、……等があります。
言霊メに漢字を当てますと、眼(め)、目(め)、女(め)、芽(め)、姪(めい)、廻(めぐ)る、捲(めく)る、盲(めくら)、恵(めぐみ)、召(め)す、……等があります。
メモ------------------
変態の準備。
先天17・で準備され、先天から形而上へ。変態。
大事忍男の神 タ ・先天がもやもやイメージへ。
石土毘古の神 ト ・もやもやから形を造る方向へ。
石巣比売の神 ヨ ・もやもイメージから形の原型イメージへ。
大戸日別の神 ツ ・原型イメージに先天17の準備が旅立てることになり、
天の吹男の神 テ ・原型イメージが動きだし(吹きつけ)、象徴イメージとなり、
大屋毘古の神 ヤ ・意図の枠組みを構成し、
風木津別の忍男の神 ユ ・意図と構成体を整え、夢イメージとなり、
大綿津見の神 エ ・意図構成の相手を選択し自己を整え始めの形を造り、
水戸の神名は速秋津日子の神 ケ ・夢イメージ意図構成イメージへと組立あげられ、
妹速秋津比売の神 メ ・速やかに意図構成イメージが現象へと変態出来るために働きかける。
上記二神は以下の神々を生む。つまり次の変態をする。意識で判別できるより現象物質次元での実在に近づく。
沫那芸の神 ク
沫那美の神 ム
以下続く。
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水戸(みなと)の神名は速秋津日子(はやききつひこ)の神、妹(いも)速秋津比売(ひめ)の神
言霊ケ、メ 水戸とは港の事であります。速秋津とは速くすみやかに、あきらかに渡す、という意味です。頭脳内の細い川のような所を通って先天の意図が一つのイメージにまとまって来て、終に川から海のように広い口腔に達し、そこが港、それから向うは海となります。言霊ケ、メはイメージが言葉に組まれる直前の集約された姿のことです。この明らかにイメージとしてまとまったものも霊と体、主体と客体を分け持っております。言霊ケは気であり、主体であり、また霊であります。言霊メは芽、目で客体であり、体であります。
言霊ケは木(け)・毛(け)・気(け)・日(け)・蹴(ける)・穢(けがれ)・消(けす)等に使われ、言霊メは女(め)・目(め)・芽(め)・姪(めい)・飯(めし)・恵(めぐむ)・廻(めぐる)・召(めす)・雌(めす)・捲(めくる)等に使われます。
以上、大事忍男の神より妹速秋津比売の神までの十神、タトヨツテヤユエケメの十言霊の説明を終えます。これ等十神、十言霊が精神宇宙に占める位置を津島と呼びます。津とは渡すの意。意識では捉えることが出来ない心の先天構造の働きが実際にどんな内容、どんな意図があるかを一つのイメージにまとめる過程の働き、現象であります。この十個の言霊の働きによって、先天の活動を言葉として表現する次の段階に渡す、即ち津島であります。またの名を天の狭手依比売(さでよりひめ)といいます。先天の活動が狭い処を通り、手さぐりするように一つのイメージにまとまって行きますが、まだ言葉にはなっていない、すなわち秘められている(比売)の段階という意味であります。子音創生の話しはこれより佐渡の島と呼ばれる段階に入ります。
【註】「古事記と言霊」の中でこの津島の十言霊の後半にありますユエケメの中の言霊ユとメを取り上げて、これが日本語の「夢」の語源となる理由を示唆している、と書きました。意識外の先天構造の動きが津島と呼ばれる十言霊の働きによって次第に一つの建造物の如くイメージにまとまって行き(言霊ヤ)、それが湯が湧き出すように(言霊ユ)現われ、そのイメージが言語と結び付く直前の処まで、即ち発声器官に渡される境目(言霊エ、ケ、メ)にまで来た状態、しかし確実な言葉と結ばれてはいない(秘められている)様子、夢とは其処に深く関係する、と言う訳であります。読者の皆様もこの夢多き人間の心の活動と言葉との関係探索の旅を自らの心の中に楽しまれたら如何でありましょうか。
水戸の神名は速秋津日子の神・言霊ケ、妹速秋津比売の神・言霊メ
水戸とは港の意です。速秋津とは速やかに(速)明らかに(秋)渡す(津)という事。心の先天構造から発し、頭脳内の細い川と譬えられる処を通り、一つのイメージにまとまり、集約されて海に譬えられる口腔に辿り着きました。そこが港です。言霊ケとメは一つに集約される現象です。ここでも霊と体の区別は明らかで、言霊ケは気であり、主体であり、言霊メは芽であり、眼であり、客体であります。これまで言霊タから言霊メまでの十言霊の働きで、先天の意図がはっきりと一つのイメージにまとまり、次の段階でこのイメージに言葉が結び付けられます。
言霊ケに漢字を当てますと、気(け)、消(け)す、毛(け)、蹴(け)る、煙(けむり)、……等があります。
言霊メに漢字を当てますと、眼(め)、目(め)、女(め)、芽(め)、姪(めい)、廻(めぐ)る、捲(めく)る、盲(めくら)、恵(めぐみ)、召(め)す、……等があります。
津島 またの名は
天の狭手依比売(あめのさでよりひめ)
以上お話してきました大事忍男の神より妹速秋津比売の神までの十神、タトヨツテヤユエケメの十言霊の精神宇宙に占める宝座、位置とその内容を表わす島の名前を津島と申します。津島とは渡し場の意。先天の活動が現象となり、その内容が頭脳内の狭い通路(川に譬えられる)を通りあれこれと検討され、次第に一つの明確なイメージにまとまって行くけれど、まだそのイメージに言葉が付けられるに到ってない状態、これから改めてそのイメージにふさわしい言葉が付けられる前段階であります。この場合の十音を未鳴と呼びます。まだ名としての言葉が結ばれていませんので、またの名を天の狭手依比売といい、秘められたものとして比売の名が付きます。狭手依(さでより)とは狭い通路を手さぐりで検討するの意であります。
当会発行の言霊学の教科書「古事記と言霊」の中で現在お話申上げている「津島」の説明の終りに、私達がよく見る夢について簡単な解説を試みました。言霊学の講座の先天より後天の言霊が生れて来る消息をお聞き下さって、読者の皆様には夢と日本人の先祖が名付けたものの実相をよくお分かりくださった方も多いと思われます。夢とは先天が津島の段階に於てタトヨツテヤユエケメの十言霊の中の七番目の言霊ユと十番目の言霊メを結んで夢と名付けました。意識では捕捉出来ない先天の意図が津島の段階で次第に一つのイメージにまとめられて行きます。けれど津島の終る段階でもまだ言葉が結ばれません。その言葉を結び付ける作業(これを佐渡の島と言いますが)が津島の十音の作業の何処ら辺までを捉えているか、によって夢は正夢、逆夢、その他いろいろな夢の姿が変わって来ることになります。夢を考える上に於て参考になるや、と思い一筆文章にいたしました。
神々の誕生といわれ、言霊子音の創生と呼ばれる章の中の、先天の意図のイメージ化の仕事である津島の解説が済みましたので、次に佐渡の島と名付けられる八つの子音の創生の項に入ることといたします。
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