ここに詔りたまはく、「上(かみ)つ瀬は瀬速し、下(しも)つ瀬は弱し」と詔りたまひて、初めて中つ瀬に堕(い)り潜(かづ)きて、滌(すす)ぎたまふ時に、成りませる神の名は、
八十禍津日(やそまがつひ)の神。次に(ア)
大禍津日(おほまがつひ)の神。(イ)
この二神(ふたはしら)は、かの穢(きたな)き繁(し)き国に到りたまひし時の汚垢(けがれ)によりて成りませる神なり。
次にその禍を直さむとして成りませる神の名は、
神直毘(かむなほひ)の神。次に(オ)
大直毘(おほなほひ)の神。次に(ウ)
伊豆能売(いずのめ)。(エ)
次に水底(みなそこ)に滌(すすぎ)ぎたまふ時に成りませる神の名は、
底津綿津見(そこつわたつみ)の神。次に底筒(そこつつ)の男(を)の命。(エ)中に滌ぎたまふ時に成りませる神の名は、
中津綿津見の神。次に中筒の男の命。(ウ)水の上に滌ぎたまふ時に成りませる神の名は、
上津綿津見の神。次に上筒の男の命。(オ