津島 (天の狭手依比売)。
人の現象創造行為の最初は先天構造内のものを頭脳内にイメージを作ることで、そのイメージに至る段階領域。先天領域からイメージの原型の始めの踏み絵が頭脳内にあらわれ、後の螺旋上昇循環の基礎の規範となる。
----津島の津とは渡し場の意 未だ言葉として名のつかない、秘められている区分 先天構造内に起った活動が津島という十言霊の現象を経て、頭脳内で実際のイメージにまとめられ行く過程です 。
まだ言葉として表現されていない内は全く個人的な恣意であって人間社会に通じることのないものです。 先天の活動が言葉の社会、即ち一般社会に出て行く船の発着場という意味で、先天の何か分らない働きが表現された言葉の世界へ出て行く港の意です
【 既に国を生み竟(を)へて、更に神を生みたまひき。 かれ生みたまふ神の名は】
こころに先天構造全体が直接押し出されあらわれて最初の創造現象(イメージ)の全体のきっかけとなる力動で、その韻律は言霊タとなる。螺旋上昇循環の最初の現象となる原型としての頭脳内のあらわれ。
【 言霊 ト 】石土昆古(いはつちひこ)の神を生みたまひ、次に
次に先天構造の頭脳内の心にあらわれた、これから形成される原型としての前イメージの全体現象は父韻のいきさまの乗った主体側の働き・いきさまの実在と、客体側に剖判する。石土(いわつち・五十をつちかう)は先天構造からあらわれたばかりの主体側の内包された五十音言霊となる。
【 言霊 ヨ 】石巣(いはす)比売の神を生みたまひ、次に
客体側の実体・ありさま五十音言霊次元層を内包する母音客体側全体で、これから形成される原型としての前イメージの実在のありさま側に剖判する。剖判によって頭脳内のこころにいきさまの霊側とありさまの実体側のこころの御柱の二面があらわれる。父韻側の韻律は言霊トとなり、母音側の韻律は言霊ヨとなる。
【 言霊 ツ 】大戸日別(おおとひわけ)の神を生みたまひ、次に
次に剖判しているト・ヨの働き・いきさま実在とありさま・実体の間の食い合いは、言霊ツの父韻の律動で行われ、タの全体性の中から、トの父韻の間(ま)の選択と、ヨの客体次元層の大いなる選択になる。この働きかけの韻律は言霊ツとなる。
【言霊 テ】天の吹男(あめのふきを)の神を生みたまひ、次に
次いで、吹きは「フキ・二気」で父韻と母音の二つの気を通わせる「まぐわい」を行うことで、ツの分別選択を実践していく姿を父韻の主体側が、客体側に吹きつけくっつく比喩によってあらわし、先天構造のイメージの形成の準備が整います。この働きの韻律を手にたぐりくっつけ選別する動きに寄せ言霊テとします。
【 言霊 ヤ】大屋昆古(おおやひこ)の神を生みたまひ、次に
次いで、主客が吹きくっついた姿となりイメージを形成した頭脳内の象徴的な形を、「大屋」の構築物として象徴します。ここに先天から持ち来した構造が頭脳内のイメージへと移動構築されました。この実体的な韻律を示すのに言霊ヤを以てします。
先天から言霊タが押し出されてきたように、今度は頭脳内にできたイメージを物として押し出す準備です。
【言霊 ユ】風木津別(かぜもつわけ)の忍男(おしを)の神を生みたまひ、次に
先天構造がイメージの原型の「タ」となり、頭脳内に乗って今度はイメージの「ヤ」の姿になりましたが、それはまだこころの内の心象形象で作用反作用を受ける現象物ではありません。そこで今度は頭脳内から外へ押し出します。外といっても頭脳の外ではなく、イメージの外に出ることです。
ここでの言霊ユは夢の「ユ」で、夢は心象よりは上で、物象よりは下という特別な姿を取ります。
【言霊 エ】海(わた)の神名は大綿津見(わたつみ)の神を生みたまひ、次に
神名の大海津見の神とは大いなる海に渡して(津)明らかに現われる(見)の意です。先天の活動の内容は何であるか、のイメージ化が頭脳の細い道(これが川に譬えられます)を通って次第に明らかになり、その姿が現象子音となり、また言葉となって広い海(口腔に見立てられる)に入って行きます。川から海への境目が江(え)と呼ばれます。
【言霊 ケ】水戸(みなと)の神名に速秋津日子(はやあきつひこ)の神、次に
【 言霊 メ】妹(いも)速秋津比売の神を生みたまひき。』
水戸とは港の事であります。速秋津とは速くすみやかに、あきらかに渡す、という意味です。頭脳内の細い川のような所を通って先天の意図が一つのイメージにまとまって来て、終に川から海のように広い口腔に達し、そこが港、それから向うは海となります。言霊ケ、メはイメージが言葉に組まれる直前の集約された姿のことです。この明らかにイメージとしてまとまったものも霊と体、主体と客体を分け持っております。言霊ケは気であり、主体であり、また霊であります。言霊メは芽、目で客体であり、体であります。
イメージが自他と交流し表現されるには物象化されなければ創造物として認知されないので、物象化される条件を整える段階の領域。
佐渡の島。
----佐渡とは助け(佐)渡す(渡)の意 何を助け何を渡すのかといいますと先天の活動が一つのイメージ化され、そのイメージを誰にどのような表現で伝えたらよいか、が検討されて言葉として表現・発生される処の区分 。
どんなに立派な心中のイメージであっても言葉として、または絵や記号、詩などに表現しなければ人に伝わることがない心中の発想で終ってしまいます 宗教上の悟りや哲学上の発見も、それが人間の頭脳内のイメージとして捉えられただけでは、表現しない限り真理とはなりません 言葉となって此岸から彼岸に渡されます。
真名とも言います。
【 この速秋津日子、妹速秋津比売の二神(ふたはしら)、河海によりて持ち別けて生みたまふ神の名は、】
【 言霊 ク】沫那芸(あわなぎ)の神。次に。 ( こころの表現発生)
言霊ク、ム 先天構造内で伊耶那岐・伊耶那美の二神言霊イ・ヰが婚(よばい)し、結びついて現象子音が生れて来ると説明されました。しかしそれは人の意識では触れることが出来ぬ先天構造内の出来事でありました。その先天構造内の活動を、今度は意識で触れることが出来る後天現象として伊耶那岐・美二神の婚(よば)いの活動を再構築する働き、これが沫那芸・美の二神、言霊ク・ムの働きであります。沫那芸・美の沫は言霊ア・ワを意味し、また敷衍(ふえん)しますと言霊アオウエイとワヲウヱヰでもあります。この二言霊の活動でイメージが言葉と結びつけられます。心と身が、霊と音が、私と貴方が結ばれます。
ク・ムで先天のイメージが物象と組まれると同時に、アワナギとアワナミとをも組むわけです。頭脳内の過程から口腔内のことに移動してきます。言葉を発生するための頬骨だったり、唾液のエネルギーとかの比喩が用いられます。
【言霊 ル】頬那美の神。次に
言霊ス、ル 前の沫那岐・美、言霊ク・ムで先天活動の内容が言葉と結ばれたものが、この頬那芸・美の二神、言霊ス・ルで言葉として発声されます。発声には口腔の筋肉などが作用しますので、神名として頬(つら)(ほほ)の字が入っている訳です。頬那芸・頬那美と芸と美即ち気と身で霊と体、私と貴方を互いに受け持っています。
言霊ソ、セ 水分(みくまり)は水配(みずくば)りの事であります。心を言葉に組んで発声するには、無言から有言ヘ、意志の一段の推進力が加わる必要があります。私達は言葉を発して相手に伝えようとして一瞬ためらう時があります。その最中(さなか)にこの言霊の働きの姿を垣間見ることが出来ます。天の水分は意志の一層の意欲、国の水分は体的エネルギーの補給、実際には弁舌の舌を潤(うるお)す唾液の事でありましょうか。
言霊ホ、ヘ 久比奢母智とは久しく(久)その精神内容(比・霊)を豊かに(奢)持ち続ける(母智)の意。天の久比奢母智は霊を、国の久比奢母は体を受け持ちます。先天意志の内容であるイメージが音声と結ばれ、発声されますと、その言葉の内容は何処までも豊かに持続され、発展して行きます。言葉というものは発声されたらそれで終りという訳ではありません。
イメージは物象化され、物として固定化されないと自他との現実の物として現実化されず、作用反作用の交流を得られないので、それが現実化され認知される段階の領域。
大倭豊秋津の島 (天津御虚空豊秋津根別)。
----大倭は大和とも書きます すべてが共存調和するという意 三十二個の言霊がこの区分の言霊の誕生によって全部で揃い、それが豊かに明らかに現われる(津)区分(島)という意味となります 。
音声が空中を飛ぶ言霊フモハヌは「神名」ともいいます 電波、光波でも同じです 。
声は耳により入って聞いた人の頭脳内で「ああこういうことか」と了解され行動になります その後、言葉は先天宇宙に帰り、記憶として印画されて言葉の循環はここで終ります 耳から入って了解されるまでの言霊は真名です 。
別名 天津御虚空豊秋津根別(あまつみそらとよあきつねわけ)といい先天の活動(天津御虚空)が豊かに明らかな音(根-ね)となって現われる(津)区分。
大倭豊秋津島の区分に属す神(言霊)はこの四神に続いて天の狭土の神以下大宜都比売(おほげつひめ)の神まで十神がありますが、説明の都合上取り合えず志那都比古の神以下の四神、言霊フモハヌの四言霊を先に登場させます。何故かと申しますと、心の先天構造が活動を起し、それによって子音創生が始まり、タトヨツテヤユエケメの十言霊が属す津島の区分で先天の意図がイメージとしてまとめられ(未鳴)、次にクムスルソセホヘの八言霊の属す佐渡の島の区分でイメージに音声が結ばれ、発声されます(真名)。発声された言葉は次に大倭豊秋津島の区分に入り、空中を飛び(神名)(かな)、聞く人の耳に入り、復誦、検討され、その内容が了解され、そこで先天の意図が達成され、一連の言霊の宇宙循環は終り(真名)、再び先天に帰ります。この大倭豊秋津島の区分の言霊はフモハヌ・ラサロレノネカマナコの十四言霊であります。その中で先ず取上げました志那都比古の神以下の四神、フモハヌの四言霊は大倭豊秋津島の区分の十四言霊の中の空中を飛んでいる言葉(神名)の内容を示す言霊なのであります。
【次に
【言霊 フ】風の神名は志那都比古(しなつひこ)の神を生みたまひ、次に。 (発声伝達)
言霊フ 志那都比古とは先天活動の意図(志)がすべて(那)言葉となって活動している実体(神)と言った意味です。心は言葉に乗って何処までも活動します。言霊フモハヌは空中(外界)を飛ぶ言葉の内容でありますので、風・木・山・野の神と自然物の名が附けられています。風の神の風は人の息(いき)のことでありましょう。フとはその心、その言葉の内容を意味します。
【 言霊 モ】木の神名は久久能智(くくのち)の神を生みたまひ、次に
言霊モ 久久能智とは久しく久しく能(よ)く智を持ち続けるの意。人が発声した言葉はそれ以後人との関係がなくなる、という訳ではありません。心はその言葉に乗って何処までも影響力を持ち続けます。木の神の木は気(き)、霊(ひ)の意。空中を飛んでいる言葉は気、霊を宿(やど)している事を示しています
【 言霊 ハ】山の神名は大山津見(おおやまつみ)の神を生みたまひ、次に
言霊ハ 山の神、また大山津見の山とは八間(やま)の意です。言霊八父韻チイキミシリヒニが発現する姿を図示しますと■となります。この図の八つの間に一つずつ父韻が入ります。またその図の平面の中央を面より直角に引き上げますと山の形となります。先天の意図が津島でイメージ化され、佐渡の島で音声と結ばれ、そして渡(わた)され現われ(津見)たものが言霊ハの言葉だという訳です。父韻ヒは「物事の表現が心の宇宙の表面に完成する韻」と説明されます。その実現の姿が言葉です。
【 言霊 ヌ】野の神名は鹿屋野比売(かやのひめ)の神を生みたまひき。またの名は野槌(のづち)の神といふ。』
言霊ヌ 鹿屋野(かやの)の鹿屋(かや)は神(かみ)の家(いえ)の意です。これを神名(かな)と呼びます。佐渡の島の真名が口で発声されて神名となり、空中を飛んで大山津見の言葉となり、山が裾野(すその)に下って来て鹿屋野の野に着いた、という太安麻呂独特の洒落であります。野に到って、そこで人の耳に聞かれることとなります。耳の鼓膜を叩くので野槌(のづち)の神と付け加えたのでしょう。
先天十七言霊(天名)(あな)の活動の内容が津島と呼ばれる区分に属す十言霊(未鳴)(まな)の現象を経て一つのイメージにまとめられ、次に佐渡島という区分の八言霊(真名)(まな)の現象で言葉と結ばれ、口腔にて発声され(神名)空中を飛びます。空中を飛んでいる音声も心を乗せています。その音声の心はフモハヌ(神名)(かな)の四言霊であり、やがて人の耳に達します。この空中を飛び、人の耳に入り、聞いた人が復誦、検討して終に発言した人の言葉の内容を了解して、言葉の循環は終り(真名)、記憶として遺り、元の先天に帰ります。発声されて空中を飛ぶ内容の四言霊、それが耳で聞かれ、了解されるまでの十言霊ラサロレノネカマナコを加えた計十四言霊の宇宙区分を大倭豊秋津(おおやまととよあきつ)島、またの名は天つ虚空豊秋津根別(あまつみそらとよあきつねわけ)と呼びます。この区分の現象で言霊子音が出揃い、調和して(大倭)豊かに明らかに(豊秋)現われる(津)区分(島)の意です。
【 この大山津見の神、野槌(のづち)の神の二柱(ふたはしら)、山野によりて持ち別けて生みたまふ神の名は、】
【 言霊 ラ】天の狭土(さづち)の神。次に。 (受け入れ側のこころの表現形成)
言霊ラ、サ 狭土の狭は耳の中の狭い所、土は椎(つち)で、耳の鼓膜を叩く槌の意。この場合も天の狭土は霊を、国の狭土は音声を受け持ちます。
言霊ラは螺(ら)に示されますように螺旋運動のこと、言霊サは坂(さか)・狭(さ)・差(さす)・指(さす)・咲(さく)・性(さが)・酒(さけ)・裂(さく)・先(さき)・柵(さく)等に用いられます。言霊ラは螺旋状に、言霊サは一定方向に、共に進む動きを示します。
言霊ロ、レ 天の狭霧・国の狭霧の狭霧とは霧の様に耳の孔にぐるぐる廻りながら入り込んで行く様を示しています。天は霊を、国は音を分担しています。言霊ロ・レは共に螺旋運動の状態を示します。
言霊ノ、ネ 闇戸(くらど)とは文字通り「暗(くら)い戸」で、耳の中の戸、即ち聴覚器官の事でありましょう。耳の中へ入り込んで行った言葉はこの闇戸に当って、そこで更めて復誦されます。言霊ノネは「宣(の)る音(ね)」に通じます。ここでも天の闇戸は霊を、国の闇戸は音を受け持ちます。闇戸で復誦されることによって空中を飛んで来た神名が再び真名に還元されて行きます
言霊カ、マ 耳の孔に入って来た言葉は復誦され、次にその意味・内容は「こうかな、ああかな」と考えられます。掻(か)き混(ま)ぜられ、次第に煮(に)つめられます。煮つめの道具を釜(かま)と呼びます。この作業で言葉の意味・内容が明らかにとなり、有音の神名は完全に真名に還ります。大戸惑子の神は霊を、大戸惑女の神は音を受け持ちます。
『次に生みたまふ神の名は、
【 言霊ナ】鳥の石楠船(いわくすふね)の神、またの名は天(あめ)の鳥船(とりふね)といふ。次に。 (先天回帰)
言霊ナ 鳥の石楠船の鳥は十理(とり)の意で、五十音図の母音アと半母音ワとの間に八つの父韻が入って現象子音を生みます。母音・八父韻・半母音合計十の道理で現象が起るのは、主体と客体との間を鳥が飛び交うのに譬えられます。石楠船(いはくすふね)とは、五十葉(いは)である五十の言霊を組(く)んで澄(す)ます(楠)と五十音言霊図が出来上がること。船とは人を乗せて渡す乗物。言葉は人の心を乗せて渡す乗物。そこで鳥の石楠船の神とは「言霊の原理に則って五十音言霊図上で確かめられた言葉の内容」という意味となります。天の鳥船とは「先天(天)の十の原理(母音・八父韻・半母音)の意図(鳥)を運ぶもの(船)」となり、鳥の石楠船と同じ意味となります。
言葉が耳に入り、復誦・検討され、煮つめられて「あゝ、こういう意味だったのだ」と了解されます。その了解された意味・内容が名(言霊ナ)であります。昔より「名は体をあらわす」と言われます。言葉が名となった事で内容は確定し、私と貴方との間の現象(子)が了解された事となります。言霊ナは言霊コの内容という事です。
【 言霊 コ】大宜都比売(おほげつひめ)の神を生みたまひ、……』 『 次に
言霊コ 言葉が耳に入り、復誦・検討され、内容が確定し、了解されますと、終りとして一つの出来事が完結します。事実として収(おさ)まります。父と母が婚(よば)いして子が生まれます。それが言霊コであります。それは物事のまぎれもない実相であり、言霊コはその実相の単位です。大宜都比売とは大いに宜(よろ)しき都(霊屋子)(みやこ)である言葉を秘めている(比売)の意であります。
言葉が最終的にその内容が確認され(言霊ナ)、事実として承認されます(言霊コ)と、三十二個の言霊子音は全部出尽くし、言霊の宇宙循環はここで終り、先天に帰ります。跡(あと)に記憶が残ります。この世の中には千差万別いろいろな出来事が雑然と起るように見えますが、親音言霊イの次元に視点を置いて見る時、世界の現象のすべては僅か三十二個の子音言霊によって構成されており、十七先天言霊によるいとも合理的に生産された出来事なのだ、という事が理解されて来ます。その理解を自分のものとする為には、言霊コである物事の実相を見る立場が要求される事を御理解頂けたでありましょうか。
火の夜芸速男の神。
----神名の火とは言霊のこと、夜芸の夜は夜の国、夜見または読みとなります 芸は芸術のことで火の夜芸速男の神とは、言霊を読む芸術(業-わざ)が早く示されている働きということになり 明瞭に文字の事を指しています 真言に「言霊即実相、文字即涅槃」とあり、文字とは言葉が眠っているものという意味で、生きた人間がそれを読むと直ちにその文字の事が実相となって蘇ってきます
【 言霊 ン】火(ほ)の夜芸速男(やぎはやお)の神を生みたまひき。またの名は火(ほ)の輝毘古(かがやびこ)の神といひ、またの名は火(ほ)の迦具土(かぐつち)の神といふ。 』。 (こころの現象表現、言霊表現、文字)
言霊ン 火の夜芸速男の神の火(ほ)は言霊、夜芸(やぎ)とは夜の芸術の意、速男(はやお)とは速やかな働きという事。神とは実体という程の意です。これではまだその内容は明らかには分りません。そこで「またの名」を取り上げて見ましょう。火の炫毘古の神の火(ほ)は言霊、炫(かがや)毘古とは輝(かがや)いている働きの意。またの名火の迦具土の神の火(ほ)は言霊、迦具土(かぐつち)とは「書く土(つち)」の意です。昔は言霊一音一音を神代文字として粘土板に刻み、素焼きにしてclay tabletにしました。これを甕(みか)と呼びました。甕の神は御鏡(みかがみ)に通じます。
ここまで来ますと、火の夜芸速男の神とは昔の神代文字の事であることが分ります。文字は言葉が眠っている状態です。夜芸速男とは夜芸即ち読みの芸術である文字として言霊を速やかに示している働きの意であります。またの名、火の炫毘古とは文字を見ると其処に言霊が輝いているのが分ります。以上の事から五十番目の神、火の夜芸速男の神、言霊ンとは神代文字の事であると言う事が出来ます。太古の神代文字は言霊の原理に則って考案されたものでありました。言霊ンのンは「運ぶ」の意だそうであります。確かに文字は言葉を運びます。それを読めば言葉が蘇ってきます。
------------------------------------------------------------
------------------------------------------------------------