精神元素「ニ」の言霊と古事記。 その1 。
古事記神代の巻冒頭百神によって与えられた神名・ 妹阿夜訶志古泥(あやかしこね)」の神。 言霊 ニ
・神名の解。
阿夜・「あゝ、本当に」の古代の感嘆詞。訶志古泥(かしこね)は賢(かしこ)い音(ね)の意です。
訶志古泥・(かしこね)は賢(かしこ)い音(ね)の意です。
・神名全体の意味。
心の中心に物事の発想や記憶の内容が煮詰(につ)まってくる原動韻
・言霊「ニ」の意味。
この心の奥に一つの事の原因となるものが煮つめられて行く力動韻、これが父韻ニであります。
❽ 妹阿夜訶志古泥(いも・あやかしこね)の神・父韻ニ
神名をこのように解釈した上で、先の於母陀流(おもだる)が面足と言葉が心の表面にパッと完成する原動韻であり、それと阿夜訶志古泥が陰陽、作用・反作用の関係にあることから考慮しますと、阿夜訶志古泥は「心の中心に物事の発想や記憶の内容が煮詰(につ)まってくる原動韻」と推定することが出来ます。
心の中心に於ける現象なので阿夜と夜という字が用いられ、暗い所という意味を強調しています。この原動韻が父韻ニであります。
この状況を、前の於母陀流の神の説明の例をもう一度振り返ってお話してみましょう。自分の名も告げずに「M会社の中村さんですな。ご無沙汰しております。」と話しかけて、そのまま去って行った人を、「誰だったか、何処であった人か、……」と直ぐにも思い出しそうで思い出せない。そのままその日は終り、翌朝になってやっと「N販売の木村さんと言ったな」と気付いた時、念頭に相手の名前が浮かんだ時、その時には既に「二年程前に披露宴で隣の席にいた人、どんな話をしたか」の記憶が蘇えっていた筈です。心の表面に相手の名前が「木村さんと言ったな」と言葉が完成した時(父韻ヒ)、心の中では披露宴の状況も煮詰まっていたのです。これが父韻ニということになります。
父韻ヒと父韻ニは確かに陰陽、作用・反作用の関係にあることが確認されます。
これで八父韻が揃いました。
①言霊チ。宇比地邇(うひぢに)の神。
❷言霊イ。妹須比智邇(いもすひぢに)の神。
③言霊キ。角杙(つのぐひ)の神。
❹言霊ミ。妹活杙(いくぐひ)の神。
⑤言霊シ。意富斗能地(おほとのぢ)の神。
❻言霊リ。妹大斗乃弁(おほとのべ)の神。
⑦言霊ヒ。於母陀流(おもだる)の神。
❽言霊ニ。妹阿夜訶志古泥(あやかしこね)の神。
○○○
ネット上では言霊を使用した商売が結構あります。全てその力を利用するというご利益信仰のようなものから始まっているようです。利益というのは良い方向へも悪い方向へも行きますから、泥棒などもどうか上手く盗みができますようになどと言って利用していることでしょう。それに対して悪い言霊は実現しないのだというのまであります。悪さに利用する人は黙っているでしょうから実体は分かりませんよ。
波動と組み合わせた水の結晶という写真集があります。水に言葉を与えて氷の結晶の写真を撮ったり、植物の成長、発芽等に言葉の波動での変化をみているようです。「愛」と題された結晶写真はそれは見事なすばらしいものです。一方「ばかやろう」と声をかけられた氷の結晶の形にまでなっていません。実際に言葉の内容が乗り移ったような錯覚を覚えます。
でも発表された写真はかけられた言葉のイメージに沿って切り取られたものです。愛といえば全部が写真のような結晶になるのではなく、いろいろある内の編集者のイメージに合致したものが作品となっているものです。馬鹿野郎というのも同様です。もっとましなやつもあったはずですが、篩にかけられているのです。
それでも掛け声で変化しているということはあるのでしょう。これらに対して化学実験のような厳密さを要求したり、遠隔で言霊を送るとどうなるかなどというつもりはありません。そんなことよりも、あの「愛」と題された写真を見ていれば心が豊になっていきます。
優しい言霊勇気を与える言霊が増えたからといっても、犯罪が減ったわけでも無いし、悪い言葉が消滅したわけでもありません。人殺しと犯罪の世は続いています。政治は人々を救うことなく、経済金融犯罪の片棒を担っています。言霊をいう人は言霊のご利益信仰を煽り、自我を失わせようとしています。
さて、今回は言霊ニです。煮詰められ抽出される律動です。これで八つの言霊が揃うので何か気の利いたコト書きたいのですがまだ見つかりません。
。。。。。
父韻は私とあなたとの結びつきに関わるものです。分類し種類に分けるなら、対になった四種類です。その分け方が判れば言霊の秘密に少しだけ踏み込んだことになります。いまごろこんなことを書くと、なんだお前は何も分かっていないのか、となりますが、その通りです。何しろ一万年前の大発明です、そう簡単に分かってたまるか、そうかい、分かってやらないよ、というような変な関係です。漫談は置いといて。
対の関係は字面から分かります。ではなにを基準にした四つになっているのでしょうか。
分類は材料、データを必要に応じた属性で区切っていくことですが、へんてこな名前の神様達のどこにそのような属性があるのでしょうか。科学的な分類ならデータが集められるので楽ちんですが、意識のどこにデータがあるのでしょうか。例えば無門関という書物はありますが、そこに書かれていること、「答えなければ猫を斬る」ということに、われわれはどのように対処すればいいのか。音楽を聴いて楽しんでいるその心をどうするのか、などはさっぱり返答のしようがありません。
古事記には、
『次に竺紫(つくし)の島を生みたまひき。この島も身一つにして面四つあり。面ごとに名あり。かれ竺紫の国を白日別(しらひわけ)といひ、豊の国を豊日別(とよひわけ)といひ、肥(ひ)の国を建日向日豊久志比泥別(たけひむかひとよくじひねわけ)といひ、熊曽(くまそ)の国を建日別(たけひわけ)といふ。』
と記されています。この解読を引用します。(一言メッセージ欄に引用元のアドレスがあります。)
『 父韻チイキミシリヒニの八言霊の精神宇宙内の区分。宇比地邇の神・妹須比智邇の神、以下妹阿夜訶志古泥の神計八神の宝座のことであります。これ等八父韻言霊、八神は母音宇宙言霊に働きかけて子音言霊を生む人間の創造意志の智性の原律をすべて尽くしている、即ち竺紫(つくし)の島である、という事です。この島も身一つにして面四つあり、とあります。八父韻すべては言霊イ(親音)の働きであります。身一つといわれます。その働きは二言霊一組の四組から成っています。面四つあり、の意です。この面四つ、四組の区別を左に並べます。
竺紫の国 白日別 言霊シリ --------白。し、ら、サ行とラ行
豊の国 豊日別 言霊チイ --------豊。と、よ、タ行とヤ行
肥の国 建日向日豊久志比泥別 言霊ヒニ--比泥。ひ、ね、ハ行とナ行
熊曽の国 建日別 言霊キミ --------熊。く、ま、カ行とマ行
右の如く並べて書きますと、三列目の肥の国を除く三行は白日別と言霊シリ、豊日別と言霊チイ、熊曽の国と言霊キミとしてそれぞれ五十音図表のサ行とラ行、タ行とヤ行、カ行とマ行と同じ行である事が分ります。また白日、豊日、建日と日の文字があり、日即ち霊(父韻)を意味します。以上の事から容易に古事記の編者太安万侶の意図を察する事が出来ます。然も編者は容易に謎を解かれるのを嫌ってか、三行目の肥の国だけは長い別の名を用いました。しかしこの長い名前も、八父韻解説の章で述べました如く、於母陀流(面足)が言霊ヒ、妹阿夜訶志古泥が言霊ニと解けてしまっている今では、建日向(面足)と日豊久志比泥(阿夜訶志古泥)は容易にその類似を知る事が出来ます。父韻ヒが心の表面に表現の言葉が完成する韻であり、その反作用として父韻ニが心の中心にすべての思いの内容が煮詰まる韻と分ってしまっているからであります』
これが八父韻となります。
ここで分かることは、データを集めて属性で科学的分類をするというのは、言霊キ、ミ段階を指しているだけということです。言霊学の分類はそれをはるかに超克、超越して五十音図全体の問題、つまり心全体から来ているだろうということです。
ウ次元主体側タ行①言霊チ。宇比地邇(うひぢに)の神。
ウ次元客体側ヤ行❷言霊イ。妹須比智邇(いもすひぢに)の神。
オ次元主体側カ行③言霊キ。角杙(つのぐひ)の神。
オ次元客体側マ行❹言霊ミ。妹活杙(いくぐひ)の神。
エ次元主体側サ行⑤言霊シ。意富斗能地(おほとのぢ)の神。
エ次元客体側ラ行❻言霊リ。妹大斗乃弁(おほとのべ)の神。
ア次元主体側ハ行⑦言霊ヒ。於母陀流(おもだる)の神。
ア次元客体側ナ行❽言霊ニ。妹阿夜訶志古泥(あやかしこね)の神。
という予想をしています。(予想というのは無いものへの概念思考ですので全く駄目なやり方ですが、不要というものではありません。この後を突破できなければパーですけど。)
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精神元素「ニ」の言霊と古事記。 その2 。
八父韻はどのようにして、なにを基準にした四対になっているのでしょうか。
ウ)
ウ次元主体側タ行①言霊チ。宇比地邇(うひぢに)の神。
ウ次元客体側ヤ行❷言霊イ。妹須比智邇(いもすひぢに)の神。
五感欲望の対照は欲望自体でウ-ウの現在。
対象客体へ猪突型。
オ)
オ次元主体側カ行③言霊キ。角杙(つのぐひ)の神。
オ次元客体側マ行❹言霊ミ。妹活杙(いくぐひ)の神。
経験知の対照は過去の過去の概念記憶でオ-ヲの過去。
対象客体への乱取り型。
エ)
エ次元主体側サ行⑤言霊シ。意富斗能地(おほとのぢ)の神。
エ次元客体側ラ行❻言霊リ。妹大斗乃弁(おほとのべ)の神。
実践智の対照は選択未来の今後の事でエ-ヱの将来。
自他への選択託宣型。
ア)
ア次元主体側ハ行⑦言霊ヒ。於母陀流(おもだる)の神。
ア次元客体側ナ行❽言霊ニ。妹阿夜訶志古泥(あやかしこね)の神。
感情情感の対照感情の今現在でア-ワの現在。
主体への自己回帰型。
アイウエオ五十音図は両サイドに母音と半母音、中をKSTNHMYR の子音頭を持った子音で構成されています。KSTNHMYRは言霊学で言う父韻に相当します。音図は国語学者教科書の常識をはるかに超えた大昔に完成されていました。また現在では母音行アイウエオの音図を特に指して言っていますが、実際には人間性能の次元に合わせた母音行があります。伊勢神宮の心の御柱はイエウオアの順で五分の二のイエ部分は地中に埋まって立てられています。
言霊五十音に関しては立太子の礼があります。
『立太子式の一つの行事として壷切(つぼきり)の儀というのがあります。皇太子として立つ人は、立太子式に際して天皇から「壷切りの太刀(たち)」を授かります。壷切りとは壷を切ることではなく、壷の封印を切って中に入っているものを見ることです。壷の中には何が入っているのでしょうか。
壷の中には、アイウエオ五十音を一音ずつ粘土板に刻んで焼いた素焼の板が入っています。その五十枚の素焼の板を見る、それが皇太子として立つ徴(しるし)となることを意味するのです。
古代の天皇(スメラミコトといいました)は人間の精神の構造を明らかにした言霊の原理を知った人でありました。霊知(ひし)り(聖)です。人間の心のすべてを言霊の原理によって把握して、その上で政治を行っていたのです。古代の精神文明の時代がそうでした。それが今から約二千年前、第十代崇神天皇の時、言霊の原理は世の中の表面から隠されてしまい、それ以後の世の中は言霊の自覚のない天皇の時代となったのです。言霊の原理は政治との縁を全く切られてしまったのでした。
しかし時が来たならば、天皇となる人は古代にそうであったように、御自身が霊知りのスメラミコトに返り、言霊の原理を自覚して道徳の政治を行うようにとの教えを遺すために、立太子の儀式の形式として壷切りの儀を定めたのです。皇太子として立つ人は壷の中を見て、そこにあるアイウエオ五十音の学を勉強し、天皇(すめらみこと)となる時の準備をすべしという黙示なのであります。』
壺の中には子供のおもちゃみたいな五十音の粘土板が入っているのです。(見たことはありませんが) 壷切りの太刀というのは判断力の象徴で、チイキミシリヒニの八父韻のことです。太刀に限らず天の浮橋とか鳥居とかしめ縄とか横に並んだものは神道では父韻の象徴です。中味はおもちゃみたいな粘土板ですがその力は絶大です。天の岩戸の物語ではその力の偉大さを天手力の男の神と名付けています。ところがこの神は常に「隠り立ち」ているのでこちらが勉強するのも大変なこととなっています。
今回は学問的や実用的なそこにある出来上がったものを分類するだけのものではなく、言霊学上の四対の根拠を探しています。この回答はどうやら天の岩戸の物語にありそうなのはわかりましたが、まだはっきりしていません。天照大御神が隠れたというのは言語活動の停止を意味します。スサノオの目茶苦茶行為がある程度まで許されているというのも、われわれが、自分の意見だ自分の考えだと称して主張することをさしています。ヒル子と淡島のことです。そこまでは凡人の通常の姿です。
そもそも分類するというわれわれの考え自体が経験概念の言霊オ次元の世界のことですから、言霊の全体をカバーするには到底もの足りないものですが、便利な実用次元のこととして許されています。しかしその限度を超えることは許されません。している当人には自覚が無いので気づかないことですが、天照大御神(真実)を葬り去るものとなるものです。古事記では『服屋の頂きを穿ち』とあります。服屋は布を織る小屋で、布とは縦横の言霊音図のことです。言霊音図の完成した姿である(両児島のこと)その頂きを穿つことである、三貴子の順を入れ換え破壊すること(汝命は高天原を知らせのこと)は許されません。
この修復には非常に細かく要素を提示して記されていますが、返ってこちらには分かりづらいこととなっています。安万侶さんの思った通りでしょう。どこから始めるというのはあるようで無いような八百万の神からということで、「八父韻はどのようにして、なにを基準にした四対になっているのでしょうか。」の答えも八百万の神からということらしい。そこから徐々に、伊斯許理度売に命じて『八尺鏡』を作らせというところまで来ると、意志(いし)を固めて創造していく(こり)度量の基準(ど)が秘められた(ひめ)を八尺鏡として創ると言うことになってくる。そして、点々点々、、、。
今のところは分類という言葉しか使えないわたしのもの足りなさ、力量不足ですから、この辺にしておきましょう。天の岩戸まで辿り着ければいいのですが。。。。。。
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