伊岐(いき)の島
伊岐(いき)の島を生みたまひき。またの名は天比登都柱(あめひとつはしら)といふ。
まず引用です。
『伊岐(いき)の島またの名は天比登都柱(あめひとつはしら)。
言霊イヰの精神宇宙に於いての区分。
伊耶那岐の神・伊耶那美の神の宝座。伊岐の島とは伊の気の島の意でイ(ヰ)言霊のこと。
天比登都柱とは先天構造の一つ柱の意であります。絶対観の立場から見ると、言霊イとヰは一つとなり、母音の縦の並びアオウエイと半母音の並びワヲウヱヰの五段階の宇宙を縦の一本の柱として統一しています。
この統一した一本の柱を天之御柱と呼びます。伊勢神宮内外宮の本殿の床中央の床下にこの柱を斎き立て、これを心柱・忌柱または御量柱と呼び神宮の最奥の秘儀とされています。
この心の御柱は人間に自覚された五次元界層の姿として、人間の精神宇宙の時は今、場所は此処の中今に天地を貫いてスックと立っています。一切の心の現象は此処から発現し、また此処へ帰って行きます。天比登都柱の荘厳この上ない意義を推察する事が出来るでありましょう。』
オノゴロ島上に立てた「天の御柱」は今度は天比登都柱(あめひとつはしら)となります。オノゴロ上の御柱は先天十七神から与えられ使用法も分からずまるで天の岩戸の中に居るように真っ暗状態だが、心の存在は確認できていたことをいいます。
伊岐の島上の柱は正式な御合いを修得した後次々と生んでいった心の領域の上に自覚的に立てられたものです。自他への意識の分割、その中から欲望本能五感による感受、経験知へそして実践智へと向かう意識の表出、主体と客体の両者間を取り結び行き来して創造行為を行う、いわば意志・自覚という柱です。
前段での表象は天の沼矛と天の浮橋でした。天降りて天の御柱を立て八尋殿立て先天構造内での柱が端緒の自己意識内での柱になり、ここでは意識して作り出した柱に成ったわけです。どの場合も同じ先天十七神の構造を持っていて、潜在から現象への変化、現象から創造への変化を経てきたわけです。
表象の仕方は時と場合によって変化していき、ある時は二本の柱と成り、ある時は田んぼの形をとり、夫婦岩だったり、鳥居だったり、ピラミッドだったり、ここでは、一体となった十七神、一体となった橋と柱、一体となった柱と八尋殿、要するに柱として語られた天の御中主の神のことです。
オノゴロ島上に伊岐の島が打ち立てられ岐・美の命が鎮座して先天の準備が整いました。今は意識的な御柱が立っています。
次の島は津島と名付けられ、津とは船着場つまり新たな出発を意味します。ここからは別次元への移動が始まります。頭脳内の働き、意識の働きが次の場面へと移るのは働きを表明する事です。つまり、言葉の発生を扱う領域に移っていきます。
古事記の国(島)生みが続きます。前もって概略を引用しておきます。
次に津(つ)島。。。津島の津とは渡し場の意 未だ言葉として名のつかない、秘められている区分 先天構造内に起った活動が津島という十言霊の現象を経て、頭脳内で実際のイメージにまとめられ行く過程です
次に佐渡(さど)の島。。。佐渡とは助け(佐)渡す(渡)の意 何を助け何を渡すのかといいますと先天の活動が一つのイメージ化され、そのイメージを誰にどのような表現で伝えたらよいか、が検討されて言葉として表現・発生される処の区分
次に大倭豊秋津(おほやまととよあきつ)島。。。大倭は大和とも書きます すべてが共存調和するという意 三十二個の言霊がこの区分の言霊の誕生によって全部で揃い、それが豊かに明らかに現われる(津)区分(島)という意味となります
(ここで伊耶那美は病気になります。新しい次元へ上昇するため場面の設定です。というのも五十の言霊が出揃ったからです。以下は言葉の整理、使用法です。)
吉備(きび)の児島(こじま)。。。吉く備(吉備)わった初期(児)の締まり(島)と言った意 五十個の言霊を集めて形だけは五十音図としてまとめたけれど、その内容はまだ詳細には確認されていない段階ということです
小豆島(あづきしま)。。。音図上で初めて確認された八つの父韻の締めくくりの区分 八父韻は音図上で小豆即ち明らかに続く気の区分のこと
、
大島(おほしま)。。。大きな価値・権威を持った心の締まりという意 別名の大多麻流別は大いなる(大)言霊(多麻)が流露・発揚(流)する心の区分、ということです
女島(ひめしま)。。。八つの神代表音神名文字(八種の文字原理)が心の宇宙の中に占める位置・区分
知珂(ちか)の島。。。これよりは言霊学奥義である禊祓の区分となります
両児(ふたご)の島を生みたまひき。。。言霊布斗麻邇の原理は心の要素である五十個の言霊とその運用法五十、計百の原理から成り立っています その要素五十言霊を上の五十音に、運用法五十を下の段にとりますと百音図ができます これを図の上と下が完成した原理として両児の島と名付けました
概略は以上の通りで、始にタの言霊を生みます。何故現象の始まりがタなのでしょう。
自分の意識から見て、自分で無いものは他です。その他の他・タ・ここが始まりです。タはその他の全体が含まれています。御中主の神の出現です。
既に国を生み竟(を)へて、更に神を生みたまひき。かれ生みたまふ神の名は大事忍男(おおことおしを)の神、言霊タ。
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