黄泉国 (よもつくに)。
神々の宝座。(●) 黄泉の国。
≪ 客観世界自身の動態 ≫
≪ 黄泉の国。主体内自証から他証へ、客観世界での伊耶那岐の仕事。≫
≪ 共同創造の終り。客観世界への愛着、禍作り ≫・・相見まくおもほして。
≪ 主体規範の試し斬り。主体側の執着と他証。≫・・高天原精神世界から出る。
≪ 客観世界からの返事 ≫・・黄泉へぐいしつ。
≪ 客観世界の在り方 ≫・・いかつち(雷、五十神土)
≪ 客観世界の研究取り込み ≫・・高天原精神世界に戻る為に。
≪ 客観世界の最後の砦 ≫・・八くさの雷神、千五百の黄泉軍。
≪ 主客の決定的な相違点 ≫・・桃の子三つ。
≪ 高天原精神世界からの借りものの威力 ≫・・おほかむづみ(みいず)
032 【 ここにその妹伊耶那美の命を相見まくおもほして、黄泉国(よもつくに)に追ひ往(い)でましき。
033 【ここに殿の縢戸(くみど)より出で向へたまふ時に、
034 【伊耶那岐の命語らひて詔りたまひしく、「愛(うつく)しき我が汝妹(なにも)の命、吾と我と作れる国、いまだ作り竟(を)へずあれば、還りまさね」と詔りたまひき。
035 【 ここに伊耶那美の命の答へたまはく、「悔(くや)しかも、速(と)く来まさず。吾は黄泉戸喫(へぐひ)しつ。
036 【然れども愛しき我が汝兄(なせ)の命、入り来ませること恐(かしこ)し。かれ還りなむを。しまらく黄泉神(よもつかみ)と論(あげつら)はむ。我をな視たまひそ」と、
037 【かく白(もお)して、その殿内(とのぬち)に還り入りませるほど、いと久しくて待ちかねたまひき。
038 【 かれ左の御髻(みみづら)に刺させる湯津爪櫛(ゆつつまくし)の男柱一箇(をはしらひとつ)取り闕(か)きて、一(ひと)つ火燭(びとも)して入り見たまふ時に、
039 【蛆(うじ)たかれころろぎて、
040 【 頭(かしら)には大雷(おほいかづち)居り、
【 胸には火(ほ)の雷居り、
【 腹には黒雷居り、
【 陰(ほと)には柝(さく)雷居り、
【 左の手には若(わき)雷居り、
【 右の手には土雷居り、
【 左の足には鳴(なる)雷居り、
【 右の足には伏(ふし)雷居り、
041 【 并せて八くさの雷神成り居りき。
042 【 ここに伊耶那岐の命、見畏(みかしこ)みて逃げ還りたまふ時に、その妹伊耶那美の命、「吾に辱(はじ)見せつ」と言ひて、すなはち黄泉醜女(よもつしこめ)を遺(つかわ)して追はしめき。
043 【 ここに伊耶那岐の命、黒御縵(くろみかづら)を投げ棄(う)てたまひしかば、すなはち蒲子生(えびかづらな)りき。
044 【こをひりひ食(は)む間に逃げ行でますを、なほ追ひしかば、 【 またその右の御髻(みみづら)に刺させる湯津爪櫛を引き闕きて投げ棄(う)てたまへば、すなはち笋(たかむな)生りき。
045 【こを抜き食(は)む間に、逃げ行でましき。 【 また後にはかの八くさの雷神に、千五百(ちいほ)の黄泉軍(よもついくさ)を副(たぐ)へて追はしめき。
046 【ここに御佩(みはかし)の十拳の剣を抜きて、後手(しりで)に振(ふ)きつつ逃げませるを、
047 【 なほ追ひて黄泉比良坂(よもつひらさか)の坂本に到る時に、
048 その坂本なる桃の子(み)三つをとりて持ち撃ちたまひしかば、悉に引き返りき。
049 【 ここに伊耶那岐の命、桃の子に告(の)りたまはく、「汝(いまし)、吾を助けしがごと、葦原の中つ国にあらゆる現しき青人草の、苦(う)き瀬に落ちて、患惚(たしな)まむ時に助けてよ」とのりたまひて、意富加牟豆美(おほかむづみ)の命といふ名を賜ひき。
050 【 最後(いやはて)にその妹伊耶那美の命、身みづから追ひ来ましき。
051 【ここに千引(ちびき)の石(いは)をその黄泉比良坂に引き塞(さ)へて、その石を中に置きて、その石を中に置きて、おのもおのも対(む)き立たして、
052 【 事戸(ことど)を度(わた)す時に、
053 【伊耶那美の命のりたまはく、「愛(うつく)しき我が汝兄(なせ)の命、かくしたまはば、汝の国の人草、一日(ひとひ)に千頭絞(ちかしらくび)り殺さむ」とのりたまひき。
【 ここに伊耶那岐の命、詔りたまはく、「愛しき我が汝妹の命、汝(みまし)然したまはば、吾(あ)は一日に千五百の産屋を立てむ」とのりたまひき。ここを以(も)ちて一日にかならず千人(ちたり)死に、一日にかならず千五百人(ちいほたり)なも生まるる。
054 【 かれその伊耶那美の命に号(なづ)けて黄泉津(よもつ)大神といふ。
055 【またその追ひ及(し)きしをもちて、道敷(ちしき)の大神といへり。
056 【またその黄泉の坂に塞れる石は、道反(ちかへし)の大神ともいひ、塞へます黄泉戸(よみど)の大神ともいふ。
057 【 かれそのいはゆる黄泉比良坂(よもつひらさか)は、今、出雲の国の伊織夜(いふや)坂といふ。
058 死と死後
059 あの世
060 客観世界
061 事戸
062 逸脱論
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