蛆たかれころろぎて、
伊耶那岐の命が黄泉国の中をのぞいて見ると、伊耶那美の命の身体には蛆(うじ)が沢山たかっていた、という事です。蛆(うじ)とは言霊ウの字の事を指します。言霊ウの性能である人間の五官感覚に基づく欲望の所産である種々の文化の事を謂います。この頃の客観世界の物質文化はまだそれ程発達しておらず、高天原の精神文化程整然としたものではなかったのです。その雑多の物質科学の研究の自己主張が伊耶那美の命にたかり附いて、音をたてていた、という事であります。「ころろきて」とは辞書に「喉(のど)がコロコロと鳴る様」とあります。 (島田正路著 「古事記と言霊」講座 より)
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