訓読:かれここにアメノコヤネのミコト・フトダマのミコト・アメノウズメのミコト・イシコリドメのミコト・タマのヤのミコト、あわせてイツのトモのおをクマリくわえて、あまくだりまさしめたまいき。
口語訳:そこで天兒屋命・布刀玉命・天宇受賣命・伊斯許理度賣命・玉祖命、合わせて五柱の神を伴の緒としてお伴させ、天降りさせた。
読:ここにかのおきしヤサカのマガタマカガミ、またクサナギのツルギ、またトコヨのオモイカネのカミ・タヂカラオのカミ・アメのイワトワケのカミをそえたまいて、ノリたまいつらくは、「これのカガミは、もはらアがミタマとして、アがみまえにイツクがごとイツキまつりたまえ。つぎにオモイカネのカミは、みまえのことをとりもちてもうしたまえ」とノリたまいき。
口語訳:このとき、かつて(天石屋戸で)神招寿(かむおき)した八尺勾王と鏡、草薙の剣と思金神・手力男神・天石門別神を添えて、詔して「この鏡は、私の御魂として、私の前に仕えるように、祭祀せよ。また思金神は、もっぱら政治向きのことを判断して奏上せよ」と言った。
訓読:このふたばしらのカミは、さくくしろイスズのミヤにいつきたてまつる。つぎにトヨウケのカミ。こはトツミヤのワタライにいますカミなり。つぎにアメのイワトワケのカミ、またのナはクシイワマドのカミともうし、またのナはトヨイワマドのカミとももうす。このカミはミカドのカミなり。つぎにタヂカラオのカミはサナガタにませり。
口語訳:この二柱の神は、さくくしろ五十鈴の宮に祭られている。次に豊受大神は、外宮の度会にいる神である。次に天石門別の神は、一名櫛石窓の神、また豊石窓の神とも言い、御門の神である。次に手力男の神は佐那縣にいる。
訓読:かれそのアメノコヤネのミコトは、〔ナカトミのムラジらがオヤ。〕フトタマのミコトは、〔イミベのオビトらがオヤ。〕アメノウズメのミコトは、〔サルメのキミらがオヤ。〕イシコリドメのミコトは、〔カガミツクリのムラジらがオヤ。〕タマノヤのミコトは、〔タマノヤのムラジらがオヤ。〕
口語訳:その天兒屋命は、〔中臣連たちの先祖である。〕布刀玉命は、〔忌部の首たちの先祖である。〕天宇受賣命は、〔猿女の君たちの先祖である。〕伊斯許理度賣命は、〔鏡作の連たちの先祖である。〕玉祖命は、〔玉祖の連たちの先祖である。〕
訓読:かれここにアマツヒコホノニニギノミコト、アマのイワクラをはなれ、アメのヤエタナグモをおしわけて、イツのちわきちわきて、アメのウキハシに、うきじまり、ソリたたして、ツクシのヒムカのタカチホのクジフルタケにあもりましき。
口語訳:そこで天津日子番能邇邇藝命は、天の石座を離れた。天にたなびく雲を押し分け、神威によって道を押し開いて、天の浮き橋に立ち、ついに筑紫の日向の高千穂の久士布流多氣に降り立った。
訓読:かれここにアメノオシヒのミコト・アマツクメのミコトふたり、アメのイワユギをとりおい、クブツチのタチをとりはき、アメのハジユミをとりもち、アメのマカゴヤをたばさみ、ミサキにたたしてつかえまつりき。かれそのアメノオシヒのミコト。<こはオオトモのムラジらがオヤなり。>アマツクメのミコト。<こはクメのアタエらがオヤなり。>
口語訳:このとき、天忍日命と天津久米命は天之石靫を負い、頭椎之大刀を佩き、天之波士弓と天之眞鹿兒矢を持って、皇孫の先に立ってお仕えした。この天忍日命は<大伴の連の先祖である。>また天津久米命は<久米の直らの先祖である。>
訓読:ここにソジシのカラクニをカササのミサキにまぎとおりてノリたまわく、「ここはあさひのたださすくに、ゆうひのひでるくになり。かれココゾいとよきところ」とノリたまいて、ソコツイワネにミヤバシラふとしり、タカマノハラにヒギたかしりて、ましましき。
口語訳:皇孫は住むべき地を求めて、(そじし:旅の下に肉)の空国を経て笠沙の岬に到り、「ここは朝日がまっすぐに刺してくる土地で、夕日も広々と照らしている国だ。これこそ住むによい国である」と言い、宮柱を深くしっかりと立て、屋根を高く掲げて宮を建て、そこに住んだ。