投稿日: Sep 17, 2016 5:16:55 PM
三宮麻由子 ぶん
ふくしまあきえ え
福音館書店
ちいさなかがくのとも 2002年6月号 / 2008年12月単行本
「いだだきまーす はるまきたべよう
カコッ ホッ カル カル カル カルカル ああおいしい」
でこの本は始まる。
初めてこの本を見たとき、さすがにこの食べたときの音には違和感があった。
ほうれんそうは「ズック ズック ズック ズック ズック ズックズ」
ごはんは「ポポッ モワーン ムッチ ムッチ ムッチ」と続く。
子どもたちにもむずかしいだろうとも思った。
福音館の研修で作者の三宮さんのお話しを聞く機会があった。
三宮さんは4歳の時に視力を失い光も感じない全盲。
「自分はシーンレスであるけれど、その分たくさん感じることができる」と言われた。
わたしが違和感があると感じた言葉は
形や色が見えていない彼女が食感を感じて言葉にしたものだった。
さっそく購入し1歳児の部屋で読んでみた。
子どもたちは読んでいるわたしの口元を見たり、絵をみたりしながらじっと聞いていて、
読み終わると「もっかい!」と小さな指を1本たてた。
わたしは食事の時に「もぐもぐ」や「カミカミ」しか使ってこなかった。
そうやって子どもたちに言葉を刷り込んでいってしまうのだけれど、
この本は、子どもたちはどんなふうに感じているのだろう?と
立ち止まって考えさせてくれる大事な一冊となった。
最後にガラスの器にデザートが入っているページがある。
シャーベットだとはどこにも書いてない。
でもわたしが「サシュ スウィーン」と読むと
けんちゃんは「つめたーい!」て肩をすくめた。
ちょっとけんちゃんがうらやましかった。
(紹介:安井 素子,2015年1月28日)