投稿日: Sep 18, 2016 4:22:42 PM
著者は歌人。エッセイも多い。本書は愛好する絵本を紹介したもの。その絵が大きく紹介されていて、美しい。
著者によると、
絵本は一冊ごとの大きさや質感がばらばらだ。
絵本は手に取れるモノ自体と作品の本質が近いジャンルってことになる。けれども絵画のように両者が完全に重なっていない。その距離感に惹かれる。
実際には、そんな理屈を考える前に私は絵本を買い始めていた。だから絵本にはさまざまなジャンルの才能が意外なかたちで、多くはとても純粋な動機から、関わり続けてきた。その一方で、子供向けとみなされたために扱いの不遇さがつきまとう。
私たちは成長とともに好きな絵本を手放して忘れてしまう。そして、歳を取った或る日、子供の頃読んだあれがもう一度読みたい、と不意におもったりするのだ。
私などは絵本への興味より先に子どもへの関心があり、小さな子どもが絵本をどう受け止めるのかを知りたいと思う。それとは違い、この著者は絵本の美術としてのあり方に魅惑を感じているのであろう。改めて絵本の魅力の多様性を思う。
(紹介:無藤 隆,2014年7月26日)