投稿日: Sep 19, 2016 4:22:37 AM
「切れ目のない保育のための対策」(H28.9.2公表)
消費増税が延期されて財源確保が懸念されましたが、安倍首相は待機児童対策については計画通り実施するとしています。「待機児童解消加速化プラン」により平成25年度から3年間で約31万人分の受け皿を増やし、今後2年間でさらに17万人分増やす計画です。また今年度より推進している「企業主導型保育事業」により5万人の増加を見込んでいます。
しかし、待機児童数は今年度も減少せず2万5千人を超えています。保育の利用率が増加し続けており、特に1・2歳児の増加は著しいものがあります。平成23年度→28年度で見ると、全体が33.1%→39.9%、1・2歳児が31.0%→41.1%であり、0-2歳児が待機児童の80%を占めています。
(この概況は、官邸ウェブサイトの「待機児童対策~これからも、安心して子育てできる環境作りに取り組みます!~」で見ることができます。http://www.kantei.go.jp/jp/headline/taikijido/)
こうした状況を改善するために、厚生労働省は9月2日に「切れ目のない保育のための対策」を取りまとめて公表しました。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000135503.html
課題として、①「市区町村の取組の底上げが必要」、②「保育の受け皿整備が必要」、③「土地が確保しにくい」、④「保育人材の確保が難しい・保育の質の確保が必要」、⑤「地域住民の協力が必要」、⑥「多様な働き方への支援が必要」の6つを挙げ、それぞれについて具体的な施策を示しています。
詳細は上記のサイトと添付のファイル(概要の図)をご覧ください。
ここで注目すべきことの一つは、④の施策です。主な取組を詳しく見ていくと、「保育人材の資質向上・キャリアアップのための研修の推進」という事項があり、
保育士養成校の学生が現場実習する際の指導者の資質向上を目的とした研修
新任保育士が円滑に職場に定着し、就業継続していくことを目的とした研修
保護者支援、保護者対応等、保育士にとって負荷の大きい業務について主任保育士等を対象とした研修
保育園等の管理者を対象としたマネジメント等の研修
の4点が挙げられています。これらは保育の質の向上のために、団体や自治体のいくつかで、あるいは研究者が取組んできていることですが、国が明確に予算措置の対象としたことは前進といえるでしょう。
一時的な対策に留まるか、制度化に向かうのかは、国の考えだけでなく、私たちを含めた保育に携わる人たちの取組にもかかっています。
(執筆:矢藤誠慈郎,2016年9月19日)
(添付ファイル)
切れ目のない保育のための対策(概要) 厚生労働省