投稿日: Sep 23, 2016 10:49:13 AM
記念すべき一回目のピックアップは、無藤隆デスクによるアクティブ・ラーニングについての投稿と、コメント欄でのやり取りです。
投稿者:無藤 隆
投稿日:2016年8月4日
Facebook記事からの転載
幼児教育において「アクティブ・ラーニング」の視点がどう生きるか。
まず、幼児教育の「見方・考え方」を見てみよう。
幼児教育における「見方・考え方」は、幼児がそれぞれの発達に即しながら身近な環境に主体的に関わり、心動かされる体験を重ね遊びが発展し生活が広がる中で、環境との関わり方や意味に気付き、これらを取り込もうとして、諸感覚を働かせながら、試行錯誤したり、思い巡らしたりすることである。
それを実現していくことが幼児教育の本質であり、それはまさにアクティブな学びを可能にすることでもある。
だが、実際にはそれをすぐに多くの園で十全に実現することは難しい。そこで改善すべき方向性を明確にする必要がある。
その方向性の視点が三つの学びである。
幼児教育における重要な学習としての遊びは、環境の中で様々な形態により行われており、以下のアクティブ・ラーニングの視点から、絶えず指導の改善を図っていく必要がある。その際、発達の過程により幼児の実態は大きく異なることから、柔軟に対応していくことが必要である。
① 直接的・具体的な体験の中で、「見方・考え方」を働かせて対象と関わって心を動かし、幼児なりのやり方やペースで試行錯誤を繰り返し、生活を意味あるものとして捉える「深い学び」が実現できているか。
② 他者との関わりを深める中で、自分の思いや考えを表現し、伝え合ったり、考えを出し合ったり、協力したりして自らの考えを広げ深める「対話的な学び」が実現できているか。
③ 周囲の環境に興味や関心を持って積極的に働き掛け、見通しを持って粘り強く取り組み、自らの遊びを振り返って、期待を持ちながら、次につなげる「主体的な学び」が実現できているか。
試行錯誤を通して意味を見出す過程として、また、他の人とやりとりする中で互いの考えを出し合い協力する中で、さらに、興味・関心から見通しを持ったり振り返ったりして、遊びを発展させていくことを通して、子どもの活動は幼児教育の本質を実現するものとなっていく。
その過程の実現の改善のために何をしたらよいのか。その方向を示すものをアクティブ・ラーニングの視点と呼んでいる。
※この記事の転載については,ご本人の了解を得ています。
この投稿に対して読者から「『クラス活動中心・行事中心』の施設を対象にした『深く・対話的で・主体的な学び』の実現に向けたカリキュラムマネジメントのメニューが必要ではないか」、とのコメントが寄せられました。実際に研修講師として、保育者が主導して進めるクラス活動を「単発に終わらせない工夫」、どの子どもも参加し経験させたい活動を「一斉に行わないための工夫」を広めているとのことです。
無藤デスクは、クラス活動・行事は、早急に全廃するより徐々に改変した方がうまくいくことが多く、自分ならば、まず一斉活動(クラスの時間)と自由に遊ぶ時間をつなぐ助言をすると回答しています。
(執筆:中村章啓,2016年9月20日)