投稿日: Sep 18, 2016 4:50:41 PM
いくつかの幼保の協同的な学びの活動の実践記録とそれへの編者のコメントによる考察がついている。協同的な学びの活動ないしプロジェクト活動について、現在、手に入る最も優れた手引き書。
仁慈保幼園、東京学芸大学附属幼稚園小金井園舎、RISSHO KID'S きらり、北見幼稚園、赤碕保育園、せんりひじり幼稚園、ゆうゆうのもり幼保園、和光保育園の実践である。おのおの特徴があるが、一つのテーマを子どもが環境にあるものへの出会いから見いだし、それを追求する活動を展開すること、その記録を保育者が取り発展を支援すること、記録を子どもが行い共有すること、適宜話し合うこと、計画的に進めつつその都度の思いつきや出会いを活かすこと、発表やまとめの...場面があることなどが共通している。
編者は、人やモノ(教材)との対話を強調する。話し合いであり、モノを活かし探究することである。写真とエピソードを使い、子どもの学びを具体的に記録し、保育者、保護者、子どもがそれを共有することも要となる。
今後、本書を手がかりとして、日本の多くの園で多様な形での展開が広がり、またすでにある実践が発掘されることと、実践についての研究的分析が進展することを期待したい。その展開の先に、日本の子どもたちの「協同的知性」の育ちが見えてくるだろう。それがたとえば、幼児教育の義務化などのあり方を方向付けるに違いない。
(紹介:無藤 隆,2014年7月13日)