投稿日: Sep 19, 2016 1:0:37 AM
立川談志の弟子で、今や人気ナンバーワンかもしれない、談春が前座から二つ目、真打ちになるまでの物語。
的確で無駄を省いた文章にユーモアが漂い、同時にすごみがある。ここまで自らを追い詰めていくのはおそらく苦しくもあり、充実してもしているのであろうけれど。芸への修行のすさまじい記録である。
親しいさだまさしから受けた忠告が出てくる。
憧れるのは勝手だがつらいだけだよ。談春は談志にはなれないんだ。でも談春にしかできないことはきっとあるんだ。それを実現するために談志の一部を切り取って、近づき追い詰めることは、恥ずかしいことでも、逃げることでもない。談春にしかできないことを、本気で命がけで探してみろ。
くさい台詞のようだけれど、そうではない。本当に一生を掛けての追究が行われるのだから。
(紹介:無藤 隆,2014年10月23日)