投稿日: Oct 21, 2016 3:31:23 AM
3回目にピックアップするのは、近年、保育・幼児教育の分野で話題に上ることの多いドキュメンテーションについての無藤デスクの投稿です。
投稿者:無藤 隆
投稿日:2016年8月11日
Facebook記事からの転載
ドキュメンテーションは子どもと保育者が作る学びの地図である。
映像を中心として子どもの活動を振り返り、時にこれからの先の活動をイメージとして描くことを広義の「ドキュメンテーション」と呼ぶことが増えました。
これがまさに学びの地図作りの活動です。それが活動そのものに付随し、豊かにしていくのだというのが、現在の幼児教育革命(今後広めたい私の用語)の中核の一つです。
生活科の教科書などがなぜあるかと言えば、小学校では高度な高みを目指して、それを考慮しつつ、自分たちの活動の独自の構想を立てることが可能になるからです。教科書を真似るのではない。といって、ともあれ活動をして、思いつきを進めるのでもない。高いところを示しつつ、子どもの活動を豊かにする。
そのためには三つのことが必要です。
第一、子どもの活動それ自体。
第二、子どものドキュメンテーション。
第三、教科書で今後の方向へのイメージの形成やまとめ方のヒントを得る。
(第三の部分に幼児教育で相当するのは、「あこがれの学び」と私が呼ぶもので、年長児や小学生の活動に触れるとか、雑誌等で見るといったことになります。)
※この記事の転載については,ご本人の了解を得ています。
この投稿に対して読者から「小学校の生活科の教科書には、導入から表現までの活動のプロセスがストーリーとして示されているが、それは幾つかあるうちの一つの方向であるに過ぎないことを、経験の少ない教師はどのようにしたら理解できるのか」と疑問が投げかけられました。これに対して無藤デスクは、「それが今後の小学校の授業の一つの挑戦となる。教科書を地図として使いつつ、独自な教材を組み合わせていく。生活科の場合、ドキュメンテーションとの組合せで独自なストーリーを作るのでしょう」と回答されています。
また、「ドキュメンテーションを保育者のリフレクションに用いるだけでなく、子どもと共有または協同的に作成することで、子ども自身のリフレクション(学びの確認)につなげることが大切だと思う」との意見に対しては「学びを具体的に活動に即して見えるようにすることだと思う」と答えています。
私は、保育の実践の場でドキュメンテーションに取り組み、また保育者にそれを推奨している立場から、保育者が活動のプロセスを可視化することを通じて、自身の保育観・子ども観を自覚するためのツールでもあると付け加えたいです。
なお、保育・幼児教育におけるドキュメンテーションの意義・活用方法について、具体的な事例を紹介している書籍を2冊紹介しておきます。
「子ども主体の協同的な学び」が生まれる保育【保育Lab・ブックレビュー】【Google Books】
秋田喜代美と安見克夫が語る写真で見るホンモノ保育 ~憧れを育てる~【保育Lab・ブックレビュー】【Google Books】
(執筆:中村章啓,2016年10月6日)