投稿日: Sep 17, 2016 5:16:6 PM
詩 長田弘
絵 いせひでこ
講談社
2013年7月
この絵本は中学3年生の国語の教科書(学校図書)にも掲載されている
長田弘さんの詩にいせひでこさんが絵を描いて絵本にしたもの。
「今日、あなたは空をみあげましたか。」
ではじまり、たくさんの質問が並んでいる。
そこに流れる空気がそのまま伝わってくるようないせさんの絵をみながら、
ゆっくりと質問の答えを考える。
子育て中のお母さんたちに、絵本の話を頼まれたときにこの本を読むと
「子育ての忙しさで忘れていたものが自分の中に戻ってくる感じがした」と
途中から涙ぐむお母さんがいた。
わたしは初めてこの本を手にしたとき
「世界という言葉で思いえがく風景はどんな風景ですか」
「人生の材料は何だと思いますか」等、
すぐに答えられない質問に戸惑いながら読み進み、
最後の絵のないページで一瞬息が止まるような気持ちに襲われた。
そこには
時代は言葉をないがしろにしている
あなたは言葉を信じていますか
と書かれていた。
子どもにかかわる大人として、子どもたちに信頼されるには
ちゃんとした言葉を持っていなければと思う。
残念だけれど、この本のたくさんの質問に対して
わたしにしか答えられない具体的な言葉はすらすらとは出てこなかった。
それでもこの本を開くと、気持ちが落ち着つくから不思議。
ゆっくり考えるということはとてもいいことなのだと思う。
言葉を信じることができるためには・・。
いろんな意味で心を動かされる存在感のある一冊です。
(紹介:安井 素子,2015年1月28日)