投稿日: Sep 19, 2016 5:40:46 AM
「心理学エッセンシャルズ」のシリーズの中でも特に勧めたい一冊。
心理学の知識が戦争や権力や広告によって使われる危険と実例。心理学の研究における女性や人種の差別を助長する意識されざる歪み、などについて、多くの古典的な研究を挙げつつ、分かりやすく整理している。その批判の元となる研究やそこで使われる心理的機構は、多くは社会心理学から来ているので、社会心理入門にもなる。心理学を真剣に学びたい学生には必ず読んでほしいものだ。
なお、この本は心理学の無効性という意味での批判ではない。心理学の有効性を示す議論である。批判もまた心理学の成果に基づいて行われていることに注意してほしい。
(紹介:無藤 隆,2015年3月14日)