Chapter 12 Play
Pellegrini, A. D. (2013).
pp. 276-299.
この章において、筆者は遊びの定義を提案し、身体を動かす遊び、もの遊び、社会的遊び、ふり遊びの個体発生を描きだすとともに、それぞれに可能性のある機能を検討しています。
今まで、遊び研究は、ピアジェなどの発達心理学者を始めとしたさまざまな学問領域で研究されてきました。例えば、文化人類学、歴史学、哲学、心理学、動物学などです。これらの学問領域において、遊びを定義することが重要であるとする研究者もいれば、遊び行動の次元を経験的に証明しようとする研究者もいます。
遊びの機能に関する仮説についてもさまざまです。行動心理学者は、遊びという構成概念は重要でないと述べていますが、その一方で、子どもの遊び研究者は、遊びという構成概念が社会、情動、認知の様々な領域で利点があるとしています。
本章では、遊びに関するさまざまな研究領域の考え方を紹介しながら、遊びの形態の中には実際に機能を持つこと、そして、系統発生を引き起こす元となるかもしれないことについて論じています。
人間発達における遊びの役割は、論争の的である。一部では子どもの健全な発達や教育にとって必要不可欠なものと見なされているが、他方では研究の価値のない、不確かな機能的有意性のトピックとして周辺的に扱われている。私が提案するのは、遊びが定義される方法とその機能が概念化される方法の違いが、この誤った理解を導いているということである。社会的遊び、もの遊び、身体を動かす遊び、ふり遊びの個体発生と、それらの生じうる機能について、概略を示す。また、子どもの生活における遊びの役割を推奨する教育的政策と研究を行う。
キーワード:遊び(play)、身体を動かす遊び(locomotor play)、もの遊び(object play)、探索(exploration)、社会的遊び(social play)、ふり遊び(pretend play)、新奇性(novelty)、機能(function)、自然淘汰(national selection)、個体発生(ontogeny)、系統発生(phylogeny)
遊びは、連続的にではなく、分類的に定義されるべきである。
目的でない手段や、機能的でないことへ注目することは、行動を遊びとして分類するのに必要である。
おそらく遊びには、即時的な利益と遅延的な利益がある。
遊びの考えうる利点を認識することが重要である一方で、その重要性が限定的かもしれないことを認識することも重要である。
ある遊びの剥奪は、概して他の形態の剥奪と混同する。
異なる形態の遊びは、逆U字型発達曲線を描く。
ものの使用は、多次元的な構成概念であり、探索、遊び、構成、道具使用から成る。
構成は遊びではない。
仲間との相互作用は、常に社会的「遊び」というわけではない。
じゃれ合い遊び(rough & tumble)は、攻撃ではない。
(発表担当者および発表日:堀越紀香/2013年10月)
(まとめ:白川佳子)